鶴の恩返しは終わらない
むかしむかし、おじいさんが芝刈りをしていると、罠にかかったツルを見つけました。
「これはこれはつらかろう。今助けてやるからな」
おじいさんはツルを罠から外してやると、ツルは振り返ること無く飛び去ってしまいました。
ある雪深い日の事でした。
深夜に戸を叩く音が聞こえ、おじいさんが扉を開けると、そのには頭や肩に雪を積もらせた女がおりました。
「道に迷ってしまいました。この雪では歩くことも出来ません。どうか泊めて頂けますでしょうか?」
「こんな荒ら家で良ければいくらでも泊まって下され」
おじいさんは喜んで女を家に泊めました。おばあさんが温かい食事を出すと、女は喜び、食べ終わった後に部屋へと向かいました。
「どうか決して覗きませんように…………」
女は一言だけお願いをすると、中からカッタンコットンと音が鳴り始めました。
「……ばあさんや」
「はい、何でしょう?」
おじいさんがおばあさんを手招きすると、今流行りの5Gスマホの画面に、ツルが部屋ではたを織る姿が映し出されていました。
「こんなこともあろうかと、カメラを仕掛けておいたんじゃ」
「流石じいさん、賢いねぇ」
おじいさんとおばあさんは部屋の様子が手に取るように分かった為、部屋を覗くこと無く、ツルは一生はたを織り続けましたとさ。
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(*´д`*)