装備しよう
過去のことは一先ずおいといて、重要なのは今からどうするべきかだ。
「問題は山積みだけれど、ここが探索世界ならモンスターがいるんだろう、でも僕の設定が幻想世界観だとしたら、死んだら終わりなんだろうな・・・。」
召喚直後の説明でも、死んだ後教会で復活するなんていってなかったから、たぶん全員死んだら死にっぱなしなんだろうけどね。でも、オンライン版ならワンチャンあるのかも?
そういえば、僕以外のみんなは探索世界の装備っぽかったから、装備や持ち物はゲーム世界からの引継ぎなのかな?ということは・・・。
「アイテム」
お、やっぱりあった。幻想世界では下着装備の手ぶら状態でも、アイテムメニューをひらくと『手裏剣x99』とか『ミスリルのヨロイx50』とか、明らかに物理法則を無視した数を持ち歩けたから。見た目布装備の貧弱一般人の僕でも10年掛けて収集した廃装備や転職直後に必要となるLv1装備、そして初期クラスへの転職水晶、その他もろもろの使えない貴重品や高級消耗品、思い出の不用品が満載されている。具体的には所持限界ギリギリの255種類x3(課金拡張)。正直全てのアイテムを把握できていない。
まず喫緊の課題は装備とスキルと魔法かな。
幻想世界の装備はざっくりと『頭』『上半身』『下半身』『足』『アクセサリー』『盾』『武器』に分けられている。現在の装備は初期防具の布の服と布のズボン。倉庫キャラの宿命装備だあるある。いざ自分がその宿命を負ってみたら心細いこと風前の柳の如しだ。いや、現状を鑑みると風前の灯か。早急に装備の改善が必要だ。
幸いといって良いのかどうなのか、見習い冒険者の防具は全武装装備可なので、あとは装備Lv1に対応した防具を見繕うだけ・・・なんだけれど、複数の職業の初期防具を組み合わせると見た目がアレなんだよね。
たとえば『戦士』の初期武装は、『布の服の上下』『木の盾』『青銅の剣』『サンダル』。
『盗賊』なら、『盗賊の帽子』『布の靴』『布のローブ』『青銅のナイフ』。
『拳法家』なら、『布の手袋』『拳法着の上下』『布の靴』
『魔術師』なら、『布のローブ』『木の杖』
これらを守備力重視で組み合わせると、『盗賊の帽子』『拳法着の上下』『木の盾』『サンダル』となる。『盗賊の帽子』は目と口元が露出しているアラビアンな夜の盗賊で、『拳法着』は少林寺的な稽古着、『木の盾』はお鍋の蓋、サンダルは草履。これにアクセサリーの『マント』を着用したら、初期地域の敵なら十分対応できるだろうけれど、見た目で負けた気分になれるだろう。ここは見た目重視で布装備一式で統一コーデ一択だろう。マントは・・・一先ず見送りで、リングとネックレスの装備特典でHPを底上げしておく。
武器は使いやすい『青銅のナイフ』と『木の盾』、転職後の初期武装特典であるスキル宝珠のスロットが3つもついた一品だ。まあ、攻撃力はお察しだが。
早急に欲しいスキルは『ラーニング』と『白魔法』、あとは『見破り』『逃走』『ダッシュ』の何れかといったところだろうか。
「さて、装備はよし。地図もよし・・・なんだけれど、この地図じゃ町の場所が分からんな。」
これもゲームと同じ仕様の様で、行った事のある場所だけが表示されるみたいだ。
「でもまあ、ここで立ち止まっていても仕方ないか、川沿いに下って進めばいずれ町に出るだろうし。」
僕の冒険はここから始まる!