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「「「「「!!!?」」」」」


視線が一気にこちらに集まる。弓矢もこちらに向く。

さて、どうするか。


とりあえず、少女の前に立つか。


さっきまでいた場所から走って、庇うように前へ出る。


叫びながら。


……自分で言うのもなんだが、ある意味アンデッドでよかった。人間だったら頭おかしいようにしか見えないからな。


アンデッドなら、人類の敵っていうことだけだから問題無いな!


とりあえず、狩猟隊の人数を確認する。頭に赤の布を巻いている奴が一人、巻いてないので三人、計四人か。


「ギャーーーーーーーー」


何か言おうとした赤布ゴブリンの頭を『黄昏』でかち割る。

可哀想な気もするが、これも戦い。情け無用、容赦無し。


「ギャギャギャーー!」


隊長格を沈黙させたのを見て、即座に弓矢を投げ捨て、ゴブリン達が腰に差した棍棒で殴りかかってくる。

良い練度だな。躊躇いがない。


まっすぐ骨を打ち砕かんと振り下ろされる一本目の棍棒を、体を捻り避ける。


二本目の棍棒は右手で掴んで受け止める。


ミシッ…


不快な音が自分の骨から鳴るが、何とか受け止める。


そして三本目…って、もう対処出来ねぇな!?


「ギィィィィィィィ…ギャァァァァァァ!!」


気合一閃、ゴブリンの棍棒は俺のあばらを叩き折った、が。


「ーーーーーーーーギャ?」


本来なら、そのまま軽い体である俺は吹っ飛ばされてバラバラになる。骨だしな。


だぁが、残念ながら俺は成長するスケルトン。ちょっと前に思いついた事をして対策していたのだ!

魔力で動くこの体、魔力を込め過ぎれば輝指になるとすると、その中間はどうなるのか。


固定されるのだ。今知ったが。

……それは対策と言っていいのだろうか?

いやダメだな。うん。


砕けた肋はそのままだが背骨は折れず、飛ばされるのは踏ん張った。


じゃあ、こっちの番だな。


『オ゛ア゛!』


右手で受け止めた棍棒を無理やりゴブリンの手から奪い取り、持ち手で殴る。


ベキッ!


「ギッ!?」


棍棒がへし折れ、ゴブリンも倒れ込む。

自分ながら、気味の悪い力強さだ。


「ギギャギャ!?」


俺の肋を砕いたゴブリンが棍棒を投げ捨て、全力で逃亡するのを眺めながら、俺は後ろを振り向き、攻撃を避けたゴブリンを確認した。


「ギョッ!?」



いつの間にか赤い布を巻いたゴブリンを引きずっていたゴブリンが、「やべっ」という顔をしてこちらを見る。



……あの赤布、頭かち割ったのに生きてるのか。強靭だな。

とりあえず俺の近くで倒れているゴブリンを抱え上げると、ポイと放ってやる。


まぁ、別にこいつら悪いこと何もしてないしな…。ご飯狩りに来ただけだろ。

そもそもゴブリンが本気で戦うならこんなものじゃ済まないし…。


まぁ、これが討伐依頼ならこいつらを殺していたが。


「……ギュギュ」


こちらの様子を見ながら、ゆっくりと投げられたゴブリンの様子を見るゴブリン。

生きていたのか、ふぅと息を吐きながらこちらもズルズルと引きずり、やっぱりこちらを見ながら去っていった。


さぁてと、終わった終わった……やっぱり生前より手札が足りないのが面倒だな。どうにか道具を手に入れたい。

今は体の性能でゴリ押ししてるだけだからなぁ。


去っていくゴブリンを見送りながら、そう思う。どこの誰がくれた体かは知らないが、そんなものにいつまでも頼ってると、何かあったときに何も出来ませんでしたって事になりかねない。

さっきのスタンピードのように……まぁ、手札があっても無理か。

そう思いながら、次の対処が必要な奴を見る。


「jppoq…amtpn?」


そう、尻餅をついた状態のこいつをどうするか、だ。

というか!『黄昏』!!

翻訳されてないけどォ!?


ーー………ん…何かあったのか?ーー

《…何かあった?》


呼びかけると、何故か反応がおかしい。まるでさっきまで起きてたことを知らないみたいな…。


おい『黄昏』。さっき何があったのか分かるか?


ーー……すまん。ちょっと寝てたーー

《……私も》


おいおいおい…仲良く居眠りか。

まぁ、何事も無く終わったからいいか。


そんな事より。


『黄昏』、翻訳頼む。このままだと、意思疎通がしづらい。


そう言って頼む。しかし。


ーー……すまん、翻訳できないーー


という衝撃の答えが返ってきた。


ちょいちょい。無理なのかよ?


そう返すと、困惑したかのような『黄昏』の声が返ってきた。


ーー…基本的にこの地上にいる大体の言語は翻訳出来るはずなんだが…すまんーー


そう、申し訳なさそうな声が聞こえてきた。

いや凄いこと言ってんなこの魔剣。


まぁ、ええよええよ。そもそも、自分で何とかしなくちゃいけないものを他の奴に任せてたんだ。何とかしてみるさ。


ーー……すまん。翻訳できたらすぐにするーー


いや、いつもありがとさん。


ここで会話が途切れる。

さて。


ガタガタ震え始めたこいつをどうするか。

というか半分涙目になっている。


「mgjmagp…amjpjnd…」


何か言いながら尻餅をついて後退りしようとする少女。


こういう時、最も取るべき行動。

それ即ち!



『黄昏』を脇に投げ捨て、両手を高く挙げ、攻撃の意思が無いことを証明しつつ、こちらも後退りする事だ!!



「………………………………e?」


俺の唐突な行動に、ぽかんとした表情を浮かべる少女。そして沈黙が辺りに満ちた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



……結構時間が経ったが、俺もあっちも何も行動を起こさないせいで、沈黙が続いている。


向こうは、困惑、疑念、恐怖が入り混じった顔をしているものの、逃げ出そうとはしない。


……試しに一歩近づいてみる。


「………!」


ビクゥ!?


とんでもない反応を見せる少女。体が震え、頭に生えた獣の耳がぴんと天を突くように立ち上がり、ピクピクしている。


だが。


「………」


何もしない。逃げようとしない。


とりあえず、『黄昏』を投げ捨てたままゆっくりと近づいてみる。


「………っ」


歯を噛みしめ、両手に地面を握り込みそれでも、逃げようとせず耐えている。


そして、俺は少女の目の前に立った。


『…ア゛ア゛』

「!?」


半分泣きかけの顔を見ながら、とりあえず俺もしゃがみ込む。

そして目の前で手を振り、敵意が無いことを示してみる。


「……っ…agjmtkapgmw」


何か言っているが、俺にはやっぱり何のことだかさっぱりわからない。

それを伝えるために首を傾げてみる。

すると向こうも傾げる。


手を広げてひらひらしてみる。

向こうもひらひらする。


…ん?


なんか真似されてないか?


俺の困惑をよそに、少女は何かを悩むように眉をしかめ、そして。


「………n」


俺になぜか右の手のひらを向けてきた。

魔術か何か飛んでくるのか、警戒するが……何も起きなかった。


固まったままの俺にさらに手のひらを近づけて、


「n!」


やはり何事か言いながら、手のひらを強調する。


……ちょっと待て、何を伝えようとしてる?


とりあえず、俺も右の手のひらを開き少女に向ける。


すると少女は首を横に振り、左手を握ったり開いたりするのを俺に見せてきた。


…ふむ。大体分かった。


俺は左の手のひらを開き、少女の右手に近づける。


そして触れ合った瞬間。



ザ……ザザ……


「聞こえますか?きーこーえーまーすーかー?」


雑音の後、元気な声が頭の中に響いてきた。





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