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さてと、探索に戻ろう。


……と思ったんだが。

なんか喉のあたりが痒いんだよな。


ゴリゴリ。


……治んないな。

こう、ムズムズするというか、とにかくイライラする感覚だ。

喉も何も無いのになんで痒くなるんだよ。


ゴリゴリゴリゴリゴリッ!!





『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛アッッッ!!!ア゛ウ゛イ゛ウ゛ア゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!(訳:あああああああああああああ!!!痒いんだよおおおおおおおお!!!)』




うるさっ!!


凄まじい叫び声が響いた。

バサバサと鳥が飛び立つ音を最後に、辺りがシン……と静まり返る。



俺は慌てて口を抑える。



聞いたこともないような声だった。いや、声というよりも絶叫に近いような……。


…というかおそらくこれ俺の声……だよな?


だとするとおかしな話だ。俺は死んで骨だけとなっている状態で声なんて出るはずもない。スケルトンが喋るなんて話は聞いたこともないし、何かで読んだ記憶もない。

……まぁ、最近分かったとかだったら、分からないのも無理はない……が。


……一応、声が出ないか確認はしていたんだがな……?


……そういえばさっきトレントが絶叫していたな。よくよく考えるとあれもおかしな話ではあるんだ。となるとスケルトンが喋る(叫ぶ?)のもあり得ない話では……無いのかもしれない…。


……唐突に過ぎて、なんともしっくりこないな。


何か原因があるんだろうが……。むぅ、分からん。


とりあえずもう一回声を出してみるか。



『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!』



……うるさっ。

音量調節が難しいなこれ!

……喋るにしてもこの状態じゃまともに意思疎通を図ることができるかどうか……。


こんな声出しながらスケルトンが近づいてきたら、俺なら普通に逃げるしな。


恐怖でしかない。


腕の立つ奴ならそのまま討伐するだろうな。



……装備は手に入れられるかも分からないし、なんか声が出るようになったかと思えば叫び声しか出ないし……。


なかなか上手い具合にはならないもんだな。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





とりあえず気を取り直して探索再開だ。

今度は道を見失わないように、木に傷をつけていくことにした。トレントがいたら即座に殺しに来ていただろうが、幸いなことに傷をつけた木の中にトレントは居なかった。


そして探索した結果だが。







俺は茂みを手刀で切り払う。


この茂みの奥に、何か人工物が建っているのを見つけたのだ。

遺跡……のように見えたが、詳しいことは分からない。茂みが邪魔なら回り道していくべきだろうが、それは出来なかった。


その遺跡のようなものは、まるで森に守られているかのように、ぐるっと木々が生い茂り、絡みつき、巨大な壁となっていたのだ。


手刀で木々の枝を切断できないかと試行錯誤したのだが、全く手刀を通さなかったのだ。

登ろうと足を引っ掛けようとしたところ、ずるっと滑る始末だ。木々の絡みつく間には間違いなく隙間があり、簡単に登れそうなのにもかかわらず、だ。


…いやまあ、骨だから滑っているのかもしれないが……。



というわけで、意地になった俺は探索を放り出し奥に見える遺跡に何としてでも入り込もうと四苦八苦しているというわけだ。


ていうかこの茂み邪魔すぎるわ!


切っても切ってもまた生えてきて邪魔してくるんだが!

しかもだんだん丈夫になり始めているような気もする。最初は一回で切断できたこの謎の植物だが、すでに四回は切りつけないと切断出来なくなっている。急いで通り抜けないと、行くのはともかく帰ることができなくなるかもしれない。

それは困る。ここで永遠に守衛として就職したくはない。


俺は茂みを切り払う速度を上げた。




邪魔してくる茂みと格闘すること、だいたい五分ほど。



茂みを何とか通り抜けた俺は地面にへたり込んだ。精神的に疲れた……。

後ろではガサガサもさもさとまた茂みが生え始めている。



……どうなってるんだあれ?


それはともかくとして、俺の前にはやはり建造物が立っていた。


草や苔に覆われて見えにくいが、もともとこの辺りの地面は石畳だったようで緑の隙間からちらほらと昔は綺麗だったのだろう石畳が見えている。

建物はなんと言ったら良いのだろうか……、四方の隅を白い石の柱で囲まれており、中には祭壇のようなものが鎮座しているのがわかる。


その上には……あれはなんだ?

祭壇には金属の棒のようなものが突き刺さっている。そして突き出た棒の上部にはボロボロになった布が巻き付けられている。

握る部分とでもいうのだろうか。


その棒は布のボロボロさに比べて明らかに異常だった。


なんの汚れも錆も付いていないのだ。鈍色に輝くその棒は今さっき洗ってここに突き刺されたと言われても信じられるほどにピカピカだ。

……最近誰かに突き刺されたのなら布も交換しそうなものなんだがな?

俺はフラフラと近寄る。


うーん、裏側も綺麗なもんだな。

どれ、握ってみよう。

俺は布切れの巻かれた部分を引っ掴



ーー……………………ーー


ん?何か聞こえたような?



ーー…………け。……くーー


…………明らかに何か聞こえた。

俺はゆっくりと棒から手を離す。すると何も聞こえなくなった。

……もしかしてコレ触っちゃダメな奴だったのでは無いだろーか?

いや、まだだ。まだ気のせいという可能性が残っている。


俺は棒から目を離さずゆっくりと後ずさりす





ーーとっとと抜けって言ってんだろうがこの骨野郎がァァァァァァァァァァァァ!!!!ーー




やっぱり気のせいじゃないーーーーーー!!





ーーテメェ、抜けって言ってんのにジリジリ後ずさりしやがって完全に逃げようとしてやがったなこのビビリめ!肉も無い死体が今更何に怖がることがあるってんだおおん!?サッサッと抜けやコラぁ!ーー


しかしこの声あの棒からだよなぁ……。棒が喋るなんて聞いたこともない。スケルトンが喋るなら棒も喋るってことなんだろうか……。

世の中は不思議でいっぱいダナー。

ギャーギャー騒ぐ棒?を無視して遠い目をする。なんでこんな吟遊詩人が語る物語のような事になってるんだ俺……。

世界を救う英雄にでもなれるというのだろうか。

はっはっは、駄作間違いなしだな!


……言ってて悲しくなってくるわ。


ーー…おーい。流石に完全に無視されると少し悲しくなってくるから早く抜いてくれないかー?こちとら此処に長いこといるもんで早く抜いてもらって新鮮な空気を感じたいんだがー……ーー


はっ、現実逃避していた!


とりあえず、俺は棒のところまで戻る。


ーーよしよし、戻ってきてくれてありがとう。さぁ、思いっきり抜いてくれや!ーー


戻ったは良いんだが。

俺は棒の前で立ち、考える。

……正直なところ、これが何らかの封印を司っている可能性もないわけじゃない。むしろこんな森の中だ、むしろ高いんだろうが……。

しかし、それならもっと強固な封印を施すだろう。こんな不自然な木々の護りに加え、中途半端な防衛用なのかすらわからない謎の茂みだ。封印だとしてもそう危ないものじゃない……と思いたいが……。

……死んでスケルトンになったからと言って、誰かに自分の好奇心のままに迷惑をかけるってのもな……。


……俺は棒を握りしめる。そして力を込め思い切り上に引っぱる。


ズ……ズズ…………

ゴリッ……パキッ……


石と擦れ、割れる音がしばらく続いた後俺はそれを引き抜いた。


その棒は引き抜かれた瞬間に、喜びにあふれているかのようにその体全体から夕焼けのような橙色の光を放った。


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