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静かだ。
日の当たる通路を進みながら、俺はそう思う。
昨日呼び出された時にはもう少し活気があったのだが、時間帯の問題だろうか?
ーー…索敵、周囲に多数の生存反応。こちらに向かってくる個体反応は見受けられない。引き続き索敵を続けるーー
よろしく頼む。
そう頼むと、おうさと返答が返ってきた。
…あぁ、まったく。俺には過ぎた宝物なのをひしひしと感じる。
そもそもの話からして、大量の魔力を消費するものの、圧倒的な破壊力を誇る謎の力。
さらに意思ある武器として、こちらとの意思疎通に問題がない。
更にはこうして周囲索敵まで行える…。
底が見えない。
というか寧ろ、これ俺いらないんじゃ…。
ーー……いや、まあ。実際オレ自分で動けないだけで色々出来るし、ぶっちゃけて言うと動けるんならお前はいらないと言っていいーー
俺の思考に反応して、『黄昏』が話しかけてきた。
というかぶっちゃけ過ぎだぞー。俺の心が粉砕、破砕、大破損寸前だぞー。
ーー話は最後まで聞け。でもよ、そう卑下する必要は無い。何てったってお前はどんな英傑にも無理な事をしてるのに気づいているか?ーー
んえ?何かしてたっけ。
ーーオレはお前に抜かれた。そして契約した。それはあの時あの時点あの場所で、お前しか出来ない事だったんだ。それを誇れよなーー
『黄昏』の言葉に、「えー」と言いたくなる俺は悪くない。
ーー運も実力だぜ?最後の最後に運が微笑むなら、どんな強敵にだって付け入る隙が生まれるってもんさーー
……まぁ、そこまで言われて悪い気はしないな、うん。
なんか『黄昏』から元気もらった。ダメだな、俺は。しっかりしなきゃ、決別出来ないぞ!
と、俺がそう決意をしている時。
ーーそれよりも、だ。……何か、近づいているなーー
『黄昏』がそう警告した。
マジか。ちなみにどこからだ?
ーーあー、この感じ多分階段を上がってこようとしてるなーー
俺は通路の先に視線をやる。ちょっと先に曲がり角があり、その先がどのようになっているのかは分からない。だが、ここまできた道中には階段は無かった。ならーーー
と、考えるのは後にするか。
近くにあった部屋の扉を開いて飛び込む。そしてしばらくじっとしていると、カツカツカツカツと少し硬質な足音が聞こえてきた。俺の記憶が正しいのなら、これはシャーペの足音では無い。しかし、リーンの足音でもない。
その足音はカツカツカツカツと歩いてきてーーーー
この部屋の前で、ぴたりと止まった。
あっ、やっべ。
咄嗟に隠れられるような場所を探すが見つからず、扉が開こうとするーーーー
ばたん。
開こうとした瞬間に、扉を閉める。
「え?」
扉の向こうから困惑した声が聞こえる。涼やかな女性の声だ。しかし、まだ成熟した女の声では無いように聞こえる。となれば生徒か。
し、しかし、そんな事が分かっても意味がない。どうにか打開策を…
「あのー、誰かいるんですか?扉を開けていただけませんか?」
まぁ、そうなるよね。




