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……………やっと、朝だァァァァァァ!!


長い、長すぎるッ!

何もしないで夜を過ごすのはあまりにも長すぎる!

俺たち人間は人生の大半を寝過ごしているのではないか?

…もう人間じゃないけどな!


あまりの嬉しさに変なことを考えつつ、足をバタバタさせる。


さぁ、早く来るのです!リーンさーん!

…まぁ、まだ来ないよな。


日が昇ったばかりだし。


あまりにも暇すぎて、結局扉から出たり入ったりしながら待っていたぜ。

アンデッドとしては…何日目になるんだろうな、こうなってから。

だが、アンデッド初の、夜明けの目撃だな。

これから何度見るか分かったもんじゃないから、初めてぐらいはしっかり覚えておくとしよう。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


……遅い。

全然来ないじゃないか。

太陽はすでに真上近い。もう完全に昼である。なのにも関わらず、全然来ないとはどういう事だ?

それに、変な事がある。

ここが学園というのなら、若い奴らがたくさんいる訳だろう。


なら、なぜ俺の耳にそれが聞こえない?

いくら耳を澄まして待ってみても、騒ぐ声すら聞こえない。


…まったく、どうなってるんだ。

と、俺がそろそろ本格的に動こうと考え始めた時。


コツ…コツ…コツ…。


硬質の音が、部屋外の通路から聞こえてくる。

状況整理開始。

俺が今いる部屋は、真ん前に窓、右と左に通路が続いていて、右の方はある程度行ったら行き止まり、左の方に曲がり角が一つあって、その奥は行き止まりなのは確認済みだ。

で、今の音は左からだ。


なら…ようやく関係者が来たって事か!

よし、居住まいを正しておこう。

最初の印象は重要だ。

見た目が最悪なんだから、態度ぐらいは…!


台から降りて、扉の前に立ち気をつけの姿勢を取る。

ふっ、我ながら完璧すぎて言葉も出ないな。


そして、音は俺のいる部屋の前でピタリと止まる。


そして、ガチャリと扉が開かれた。


現れたのは…………は?




…スケルトン?

いや、これは…


「…………………」

『…………………』


見つめ合う俺たち。


『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!』

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


全力で叫んでやると、目の前のスケルトンもどきはあっさりと正体を現した。






…メガネをかけた、若い男性だった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「agjpndjtpmwpp?agjgdwpm……agqdwj!」


えー、今俺はどういう状況にあるのかと言いますと。


先ほどの男性から全身を検査されております。

さっき叫んでやった時は、凄まじく驚いていたんだが、即座に復活。


喜色満面でこっちに、手をワキワキさせながら来た時は、顔張り倒してやろうかと本気で考えた。


まぁ、しないけどな。


「aptjmwpkqt………?uurjmtw。うぅーん?」


この男、どうやら俺に興味があるらしく、特にさっきの声について調べようとしているのか、頭蓋骨を取って中を覗いたり、首の骨に触って確かめてみたり、胸の骨触ったりと忙しい。

…美少女に触られるのなら嬉しいんだが、男だからな。全然嬉しくない。


触られ続ける事、およそ三十分。


「apkngtntp…、djpm、apnpjmxpm!」

男は満面の笑顔で何かを言った後に、扉を開けて、手招きした。


…ようやくか。

まったく、長すぎるぜ。


いくつかの部屋の前を通り過ぎ、階段を降りて、さらに何回か道を曲がると、ようやく人の騒ぐ声が聞こえてきた。

…なんか、そう長く離れていた実感は無いんだが、喧騒が懐かしいな。


通り過ぎようとする窓から外を見る。何十人かの若い人族種が互いに向き合って、木剣を構えている。

修練なんだろうか。

そう思いつつ、目を前に戻すと眼鏡の男が興味深そうに観察していた。

…まるで珍獣だな。

しっしと手を前に振ると、笑いながらまた俺を先導し始めた。


さらに少し進み、男が止まる。

「tjnpjdmt」


そう言って男が扉を開け、中にいる誰かに何事かを言う。


そして男が中に入り、俺に手招きをした。


それに従って、中に入る。


「スケルトン!apjmdgpm!?」


と、その瞬間飛んでくるリーンの声。


…うむ。流石にスケルトンの単語はいい加減覚えたぞ。

そう思いながら、声の飛んできた方を見れば、部屋の中にある椅子に座っていたと思しきリーンが、こちらに向かってきていた。


…声色から、心配しているような気がする。

だが喋れないのだ。

すまんな。


リーンはもう何言か言った後、俺が理解できていないことに気がついたのか、はっとした表情をした後、部屋の隅に立てかけてあった『黄昏』を俺のところにまで持ってきてくれた。

俺はリーンに頭を下げながら、『黄昏』を受け取る。


ーーおぉ、スケルトン。生きてたかーー


受け取ると、すぐに聞こえてくる声。

ふぅ、これでようやく元通りだ。

なんだかんだ言って、俺、『黄昏』に愛着を持っているのかもしれないな。

初めての会話は『黄昏』だったからなぁ…。そのせいもあるのかもしれない。


ーー愛着を持ってもらえるのは光栄だね。だが、もう少し長く愛用してから言ってくれるともっと嬉しいがなーー


『黄昏』もどこか嬉しそうに話している。そういえば、こいつも長い間あそこに放置されてたらしいからな…。会話できるのが楽しいのかもしれないな。


そう『黄昏』と会話していると、

「で、スケルトン。大丈夫だった?」

と、リーンが声をかけてきた。

どうやら『黄昏』との会話が終わるのを待てなかったらしい。


俺は大きく頷く。


リーンはふぅ、と息を吐くと笑った。

「良かった、無事で。いきなりバラバラになったから心配した」


……え?バラバラ?

どういうことなんだ?


という訳で『黄昏』とリーンの話によると。


俺がつけられたあの手枷。

本来は魔獣を従魔とした際、街に入っても暴れられないように、魔力を封じ込める為のものらしい。

それを俺につけた瞬間、俺の体が一気にバラバラになったそうだ。


リーンが慌てて手枷を取ったらしいが、一切の反応がなく、仕方がないので箱に俺の部品全部を詰めた後に学園へ持って行ったとの事。

そして『黄昏』は手枷を見た瞬間、あ、アレはまずいなと思いつつも、最早どうにもならない、むしろこいつ何もしないだろという思いから、特に言わなかったとか何とか。


とりあえず『黄昏』、そう思ってもちゃんと言いなさい。


と、リーンの話が終わったのを、ずっと隣にいた男が見計らってこう言った。




「よし、じゃあ今度は私と話しましょうか!」









あ、リーンの口調が小話と違うと思った方もいるとは思いますが、そういう仕様です。『黄昏』の通訳がこんな感じと思ってください。

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