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いや、そんな事よりも実験だ実験。
魔力を込めっぱなしの右腕を見る。
これを、一点に集中させる。
特に指先に。
パキッ…ピシッ……
骨の割れる音が聞こえる。
魔力で治療しながら、さらに込め続ける。
そして、無理に込め続けた結果。
『…ウ゛ウ゛ッ…!』
指先が光り輝いた。
いや正直やり過ぎた感はある。今も制御に必死だ。
しかし、制御に失敗しかねない程の魔力を使っても、一割に満たないのはどういう訳だ。
『黄昏』、アイツ喰いすぎだろッ…!
そしてそのまま台近くで振ってみる。
ガリガリガリガリッ!!!
…うわぁ、魔力の漏れ出した分だけで台が削れるぞ。
木製なのも関係してるだろうが、これはエグいな…。
これで人にでも…いや、魔物でも触れたら、それだけで抉れるんじゃないのか?
…苦労しながら、手から魔力を抜く。
それだけで風じみた何かで、本何冊かがバサバサと落ちる。
…ふぅ、成功成功。
危うく右手が爆発四散して部屋中の本に傷が入るところだった。
やったら怒られる程度では済まないだろうな…。
次、全身に魔力を回してみる。
今までなら回復や、身体能力向上だけでやっていたが、全身にさっきの、破壊力がある状態が出来ないかを試してみたい。
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!』
掛け声と共に全力で魔力を込める。
ビシッという音が全身の至る場所から鳴る。
知らん。
そして、僅かに全身が光り始めたところで魔力を抜く。
シュッと光が抜けたのを確認して、実験の成功を確信した。
ふぅ、これで全身が俺の刃となる事が確定したな。
魔力消費が微妙に重いが、それはこれから修練を重ねれば、ある程度は軽減できるはずだ。
ふふふ、今度あの狼が出てきたら叩きつけに合わせて、これになってやろう。
奴の痛がる様が目に浮かぶわ!
はっはっは。
いや、出来ればもう二度と会いたくないけど。
でもなぁ…なんかあの狼とは縁がある気がしてならないんだよなぁ…。
会いたくなーい。
…まぁ、会うとしても、それまでには強くならなきゃな。
今度会ったときに、見逃してくれるとは思えない。それまでにさっきの状態への移行の速さの改善や、他の対抗策を考えておかなきゃならない。
やる事山積みだ。ま、退屈はしなさそうだな!
と、やる気になる前に、散らばった本を元の場所に戻しておこう。何か言われるのは勘弁だ。
…しかしだ。ここじゃこれ以上の実験は出来ないな。他にも色々、さっきの指先に魔力を…って長いな。
うむ、輝く指というところから、『輝指』と呼ぼうか。
うむ、かっこいいな。自分だけの技みたいで。
いや、他にもやれる奴は居るだろうが…。
とりあえず輝指の威力を確認するためにも、金属相手にやってみたいところだ。
それに、全身を刃にするアレも、威力を確認したい。所要時間を短くするための修練も。
…明日にでも頼みたいが…。
……文字を覚えなきゃ話にもならないか。まずはそこから、始めるとしよう。




