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ガンッ、ガンッ、ガンッ!


ちくしょう、ちくしょう!

俺の怒りに燃える拳が、地面に叩きつけられる。

それを呆れたように、また面倒臭そうに見る少女。

名前をリーンと言い、今の俺のご主人様に当たる存在だ。


ーーまぁ、これも経験のうちの一つだろうさ!アッハッハッハ!ーー


さっきから『黄昏』は笑いっぱなしだ。


ええい、嵌められた!


チッキショー!!!!



話は少し遡る。


〜〜〜〜〜〜〜〜


「私はリーン。よろしく、スケルトン」

そう言って差し出された手を、握るのを俺は少し躊躇った。

触っていいものか?

いや、運ぶときに散々触ったんだが…こう、なんていうべきか、肌には触れていないのだ。


女の子の肌なんて触れなーい!


…みたいなそんなアホなことを言う気はないんだが、安全面の問題なのだ。

要するに、俺の体を俺自身が完全に把握し切れていないことが問題なのだ。

触るだけで命を吸うようなそんな事が無いとは言い切れない。

…だが、拒むのもなぁ…。


よし、本人責任という事で。(思考放棄)


という訳で、迷いながら手を取った瞬間。





バチィッ!


と、全身に電流が走った。


な、なんだ一体…!?

まさか、裏切りですか?


じっとリーンを見つめる俺。

それにリーンはニッコリと無駄にいい笑顔で、

「成功」

と言った。



ーーニャーハハハハハハハハ!!!いっぱい食わされたってことかよ!ーー


ええい、笑い事じゃないぞ!


爆笑する『黄昏』を軽くはたいてから、俺は文句を言う。


ーーーー『黄昏』とリーンの説明によると。


どうやらリーンは自らより魔力が低い魔物を従属させる魔術を展開してから俺に手を差し伸べたらしい。


これ自体はよくある普通の魔術らしい。

だが、相手が術者に対して敵意を持っていない事が条件らしく、本来であればアンデッドや大半の魔物には意味がないらしい。

それに俺は引っかかってしまったと言う訳だ。


流石格上だと褒めてやりたいところだ。

いや、褒めるわけがない。

むしろ、非常に悔しい気分だ。


だが、リーン曰くこれは必要な処置だとのこと。

…やはり、この場所でもアンデッドは普通、従魔とは成らないそうだ。

そのため、無理を通すのであればこういった従属の魔術は必要になるのだとか。


……そう言われちゃあ、なんとも言い返せない。

喋れないから言い返すことすらできないんだがな。


だがまぁ、それでも心に満ちた怒りは消えてくれないので、こうして地面に怒りをぶつけている訳だ。




〜〜〜〜〜〜〜〜


少し経ち、ようやく怒りが収まった俺は、リーンを見る。


……魔導書読んでる。


『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!』

せめてもの嫌がらせに大声で叫んでやると、ぶるりと身震いしながらこちらを見た。

「邪魔しないでください」

と言うリーンに、すっとぼけたように首を傾げてやる。


あ、イラっときた気配がする。

だが知らぬ。何の説明もなしに契約なんか結ばせた奴が悪い。


ーー…ひー、ひー……。あぁ、ようやく収まってきたぜ。そうだな、いきなり契約結ぶなんて非常識だな!ーー


『黄昏』がようやく笑いから復活して、俺に話しかけてくる。


ちなみに言っておくが、お前もだからな?


そう言う俺に『黄昏』から、


ーーオレは剣だから、常識には囚われないのさ!ーー


と、糞のようなお言葉をいただいた。

…そこら辺の地面に埋めてやろうか。


ーーあー、それは勘弁してくれ!悪かった、悪かったよ。……しかし、魔剣の一振りと言ってはみたものの、こういった隠蔽魔術はどうにも難しいな…ま、次は無いようにするから安心しろよーー


ようやくちゃんとした謝罪をした『黄昏』を、軽く撫でてやる。


その様子を興味深そうに見守っていたリーンが、口を開いた。


「それ、知性ある武器でしょう?」

……まぁ、そりゃバレるよな。

隠す意味もないので、頷いておく。

そしてリーンはこう言った。


「貸して?」


ですよねー。というか、仮にもアンデッドの武器に触りたがるのは未熟というか不用心というか、豪胆というか…。

まぁ、呪いの武器というわけではないので貸してやろうではないか。

と、そう思ったが…肝心の『黄昏』の意思を聞いていないことに気が付いた。


…良いよな、『黄昏』?


ーーんー?別に良いが、アイツが期待するような事は何もないと思うぞ?ーー


と、返す『黄昏』。


あ?そりゃどういう


ーーまぁ、貸してみてやればいいんじゃないか?ーー


と、『黄昏』はこれ以上説明する気はなさそうだ。

しょうがない、様子見といこうか。





考えました。

少し思いつきました。

これすなわち見切り発車。

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