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そして、2人はそれぞれの思惑のまま手を握った

スケルトンが棒を手にした瞬間、私は手に炎を展開する。

…くる?


私が身構えていると、スケルトンはその棒を自分の手に持ち、眺めているようだった。

…いや、もしかして、ね?


あの棒っきれ、まさかインテリジェンスウェポンとか言うんじゃないでしょうね…?


正直キャパオーバーなので、やめてほしい。

と思いつつ、油断せずに監視を続ける。

そんな私の目の前で、スケルトンはあぐらをかいて座り込んだ。

そして、両膝に棒を置き……

こちらに頷きかけてきた。


…そう、やっぱり何かあるんでしょうね。その棒に。


私は警戒しつつも、スケルトンに近づき少し離れた所に座り込んだ。…一応、火の魔術は展開しているけれど。

…スケルトンは何処か驚いた様子だったけれど、私が座り込んだのを見るとより一層居住まいを直してこちらに向き合った。


スケルトンは右手に棒を持つと、静かにこちらを見ている。

その暗い眼窩は、光が差し込んでいるはずなのに、一切の光を感じさせなかった。


…私は口を開く。

「あなた、意思を持っている?」

頷くスケルトン。

まぁ、想像通りだ。あんな動きをしておきながら、今更否定された方が不自然だ。


続けて、問いかける。

「あなたが私を助けてくれたの?」

これも肯定。

……だが、何か一瞬妙な気配を感じた気がする。助けたのは事実だが、他にも何かあるって感じね。

不審点一つ。


次。

「何で、助けてくれたの?」

この言葉に、スケルトンは困ったようにすると、左手を開いたり閉じたりしながら頭を横にぶんぶん振った。

…30秒ぐらいそれをやるのを見て、ようやく喋ることが出来ないと判断した。

…聞き取ることが出来て、話せないってのもおかしな話だけれど。さっき、『ウ゛ウ゛〜♪』とかやってたし。

となると、聞き取りもあの棒が担当しているのかしらね。


…質問を変えましょう。


「あなた、私にテイムされているの?」

これなら頭を縦に振るか、横に振るかだけで答えられるはず。

だが、

スケルトンが固まった。

じっと、棒を見つめて何かと交信しあってるかのような雰囲気が出てきている。

…ほぼインテリジェンスウェポンで確定ね…。

学校の先生が、面倒くさくなりそうだ…。

…でも、言葉がさっきまで聞き取れていたのに急に固まるなんて……。

テイムされては、いないのだろうか。

……分からない。

何故助けたのか、何故あの場所にいたのか、何故そんなものを持っているのかーーー

分からないことが多すぎる。

今のところこそ、敵対の意思は見せてはない。

むしろ必死に敵対の意思はない事をアピールしている。

……どうするべきか。

…この何処か間抜けなスケルトン。別に嫌いではない。今のところは恐らく命の恩人とも言える存在だし、不審点こそあるものの、あの間抜け具合を見て敵対しようとはあまり思えない。

…となれば、最終手段かしらね。

まだ交信しているスケルトンに気づかれ無いように、中で魔力を練る。

時間はかかるものの、こうすれば魔力は外に漏れ出にくくなる。

そして私は一つの魔術を完成させると、スケルトンを待つ。


…何らかの結論が出たようね。

こちらに向き直り、頷くスケルトン。

…よし、条件は整った。

私は手の炎を消すと、違う魔術を手に展開しながら手を差し伸べ、こう言った。


「私はリーン。よろしくね、スケルトン」


そしてスケルトンもおずおずと手を伸ばし、私の手を握った。


小話おしまい!疲れた!

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