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リーン、スケルトンとコミュニケーションを取る。

「スケルトンッ!ってあれ…………?」


起き抜けにスケルトンの顔があったので、勢いで吹っ飛ばしてしまった。

というか、いったいどういう状況!?

頭が初手のスケルトンショックから、まだ落ち着かない。

記憶がごちゃごちゃで、なんで、こんな所、にーーーーーー


混乱している私の前で、落下してきた頭を上手いことキャッチして、いそいそと頭を取り付けているスケルトン。


「………………ってスケルトン?」

何故だか、この奇妙なスケルトンの顔には見覚えがあるような……?

残念ながら、私にはスケルトンの知り合いなんて居ないはずだ。


とりあえず、よくスケルトンを観察してみよう。相手も動く気配がない事だし。


そう思いながら、手に魔力を溜めつつジリジリと後ずさる。今襲ってこないからと言って次の瞬間襲いかかってこない保証は、無い。


…容姿をよく見てみる。


…腹あたりから紫色のまだらが点々と続き、胸、そして一番ひどい顔。特に口の当たりがひどい。ほとんど紫に占有されている。

さらに右目には何故か鉄の棒が突き刺さっている。


…こんなの知り合いにいたら忘れるわけもない。

そう観察している間も、ずっとこっちを見るだけのスケルトン。


…もしかすると。

私にテイム、されている…とか…?


……いやいや、考えすぎでしょう?

心当たりがなさすぎる。

残念ながら、スケルトンに対しテイムを仕掛けた記憶はない。

と、この辺りでようやく混乱が収まってきた。


………あぁ!?


私が狼に食べられそうになった時に、草むらから飛び出してきたあの個体か!


…って事は……。


ようやく記憶が戻ってきた。

そうだ、私は狼に負けて…。


風魔術で辺りを窺う。

…何かの息遣いは聞こえない。

と、なれば…助けてくれた、のだろうか?


…分からない。


………よし、少し試してみよう。


私は少ししゃがんで石ころを一つ拾い上げる。それをスケルトンの足元にポイッと投げる。

それに合わせて、スケルトンの頭が下を向く。


…あの鉄の棒、後頭部まで貫通してるのね。


余計な事を知りつつ、スケルトンを観察する。


…スケルトンが動いた。


「…………!」


ボウッ!

知らず知らずのうちに、手から炎が吹き出る。

さて、どうするのスケルトンさん?


スケルトンはちらりとこちらを見たが、それでも小石を拾い上げる。

そして、スケルトンは小石をしばらく弄ぶと何かを思いついたのか、かがみ込み小石を更に二つばかり拾うと。

石を頭上に投げた。


「……ッ!」

緊張が最大まで高まる。一体スケルトンは何をしようと言うのかーーーーー


スケルトンは1個目の石投げを皮切りに、どんどん次の石を投げる。

投げてはキャッチ、投げてはキャッチ…ってジャグリング!?

何故この場で、この状況で、ジャグリング!?


呆然としたまま、私は見続ける。

最初こそ危うかったものの、コツを掴みでもしたのか途中から危なげは無くなる。

華麗かと言われたら、まぁ、そんな事はないのだけれど。

と、見続けている私の耳に、

『ウ゛ウ゛〜♪』

という声が聞こえてきた。

…声、を出せるのね。

話によれば、言葉を話すことができるアンデッドはそれなりに高位の存在らしく、私達の技量ではまず死ぬと言われるほどに強力な個体とされている。

だが…。

「……ジャグリングしているスケルトンが高位…。どうなってるの?」


正直なところ、逃げた方が恐らく賢明だろう。

だが、もしもこの奇妙なスケルトンが本当に私にテイムされていたりする場合は、恐らくついてきてしまうだろう。

…ついてきてくる、相棒ともなり得る存在。

いや、スケルトンが相棒ってなかなかアレな印象を持たれるでしょうけどね…。


って、あ。石を落とした。


固まるスケルトン。

無言の私。


居心地の悪い沈黙が場を満たす。



…固まるスケルトンがどうにも情けないやらで、つい緊張が解けてしまう。

「…はぁ。貴方が助けてくれたの?」

ため息をつくと同時に、手の魔術を解除する。そして質問してみる。

だが、

『………………?』

と、首を傾げるだけだ。


…あぁ、これってもしかして…。

「……言葉が分からないの?」

首を傾げたまま動かない。

…予感的中って、ところね。




…どうしたものかしらね。

考え込む私とスケルトンの間に、ピューと風が吹く。

言葉が分からないのなら、どうやってコミュニケーションが取れるというのだろう。

文字…でも難しいか。

そう、悩んでいると。

スケルトンに動きがあった。

首を傾げるのをやめ、わずかに上を向くような仕草をしたのだ。

それはまるで、何かの意思でも受信しているかのような…。

私が警戒を強める中、


スケルトンは右目の棒に手を掛けた。



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