リーン、森へ行く
小話、リーン目線の森へ来る前のお話。
「グループワーク…ですか?」
そう問いかける私に、先生はあぁと頷いた。
「リーン、君ももう少し周りの生徒と打ち解けなさい。君は努力家だが、他人への交流が無さすぎる。他の学友と交流して、より高め合うのがここ…」
そういう先生の言葉を遮って、私は言う。
「必要ありません。私は早く追いつきたい人が居るんですから。そういうなら先生から、もっとしっかりと魔術を教えていただきたいです」
先生はハァとため息をつくと、
「君にはまだ早いっていつも言っているだろう?本来君がやっている魔術訓練も、本来ならもう少し成長してから行うところを、それを方々に掛け合って、私が監視する中でならという条件の元、指導してるんだ。これ以上の負担はあまり良くないんだよ?君が追いつきたいって言ってる……その、何処かの魔術師さんに追いつく前に、体を壊したら元も子もないだろう?」
そう諭す先生の言葉は決して間違っていない。たしかに、無理ばかりすれば体を壊してあの人に追いつき……いや、追い越すのに支障が出るかもしれない。
「…わかりました。先生にはお世話になっていますし、出来るだけ他の人とも仲良くしてみます」
そういう私に、先生は苦笑し
「まだまだ、難しそうかな?でも、その言葉を信用するね」
と言った。
その先生の言葉がこの会話の最後となり、私はグループワークの地であるエレンカイの森へと行くことになった。