聖夜の誤ちは悪役が救う?
書き溜めた物を小出しにしますが…現在繁忙期の上、絶賛修行中の身…仕事が忙しい(^_^;)
「は〜。なかなかうまくはいかないものだな…。」
ここは空間投影システムを手がける会社ホワールウィンドの営業部…。
デスクで猪俣 冬獅郎は項垂れていた。
今日はクリスマス、息子の颯太へのプレゼントを準備して見つからないようにこっそりと枕元に置いたのは良かったが…。
「間違ったソフトを購入するとは…。」
息子が欲しがっていたソフト【Genetic and Revolutionary Algorithm】(ジェネリック アンド レボリューショナリー アルゴリズム)通称【GRA】は、味方側として惑星の原住民をモンスターの侵略から守り陰ながら支える【heroes】と、悪役 モンスター側として、惑星の生物を倒して、侵略して支配する【villains】があるのだった…。
「あ〜!年末の追い込みで疲れていたとはいえまさか、ボタン押し間違えてたとは〜!」
と嘆く猪俣の背中を思いっきり叩く者が現れる
「猪俣! 何ブツブツ言ってやがる!年末出勤でストレス溜まってんのはわかるが、しっかり手を動かせ! そしてとっとと定時に帰る事だ。 最近はどの部署にも残業するなってうるせ〜からな〜。(そのくせ仕事の量は増える一方だしよ全く…。)」
「あっ!松方部長!すみません。直ぐに再開します」
「おぅ!頼んだぞ!」
そう言いながら松方部長は去っていった。
「は〜。相変わらず、部長は人の扱いが雑だよなぁ。まぁ…良い上司ではあるけど…」
そう言いながら、デスクで資料の製作にとりかかるのだった。
時が経ちそろそろ定時時刻が近づくと…。
「先輩お疲れ様です。お先に失礼します。」
「おー渚沢か お疲れ様。俺ももう少ししたら今日は上がるよ。」
後輩の渚沢はゲームに詳しくて、今回のクリスマスプレゼントの件で相談に乗ってもらっていた。
「そういえば先輩 プレゼント間違って買ったんですね。部長が来る直前に言ってましたけど…。」
「あー聞かれてたか…。 あっ!すまん!相談に乗ってもらってたのに…。」
「あの、事情を話して商品を取り替えて貰えなかったんですか?」
「それが…【heroes】の方はどこも売り切れらしくてな…再入荷は来年になるらしい…。」
「あちゃー。【GRA】は【villains】より【heroes】の方が人気ですからねー。」
そんな事を話していると突如後ろから声がかかる。
「おっ!なんだなんだ〜。猪俣も【GRA】やってるのか!」
「あっ…。松方部長 お疲れ様です!」
「まっ!松方部長!お、お疲れ様です!!」
猪俣、渚沢がそれぞれ挨拶する…。
(渚沢…。部長の事苦手だったなそういえば…。)後輩の慌てた様子を横顔に見ながら、松方部長の言葉に疑問を投げかけた。
「松方部長…VRゲームやるんですか?」
「いや〜それがよ〜。レッドロックスター社の仕事に行った時にお試しって事で体験版やって見たら年甲斐もなくハマっちまってな〜。モンスター側の視点ってのもガキの頃やったゲームと逆で新鮮でな〜。」
(なるほど…。それでか…。んっ待てよ…?)
「えっ…。うちの会社…。レッドロックスター社と提携してましたっけ…。」
自分の新たな疑問を渚沢が代弁してくれた。
松方部長の顔色が変わる。
「あっ!いっけね!これまだ話しちゃいけないんだったな…。」
(おいおい…。)
「悪いけどふたりとも内緒にしといてくれな! 来年に、大体的に発表になるからよ!」
指を口に当てながらそんな事をいい
こちらの呆れと困難にも知らぬが如く話題を変える松方部長
「それよりよ!どうなんだ!猪俣!おまえ前にゲーム酔いが激しくて子供の頃あんまり楽しめなかったとか酒飲んでた時いってなかったか?」
「なんでそれを部長が知ってるんですか…。あーもう…自分じゃなくて息子ですよ…。」
「そういえばお前子供いたな…。小学生だろ?内容的に早くねーか?」
「来年から中学なんで年齢制限的には大丈夫ですよ。」
「んっ?【GRA】の年齢制限って17歳じゃねーのか?」
(えっ?確かCERO B だったから12才以上のはずじゃ…。)
「あの部長…。【GRA】は【heroes】と【villains】で対象年齢が変わるんですよ。正確には倫理コードの調整が必要ですけどね。」
「あ〜。それは知らなかったな…。んっ?そういえば…間違えたとかなんとか言ってたが、お前まさか…。」
(うっ…バレたか。これはなんか企んでるな…?)
「はい…。購入する時に間違えたんですよ…。」
そう言うと、松方部長は顎に手を当てながら
「そう言う事なら、俺がなんとかしてやろうじゃないか。幸い年明けには、また打ち合わせがあるからな。」
「いやっ…公私混同はダメですよ部長…。」
「何心配すんな!ちゃんと交換条件は貰うからよ!」
(うわーめっちゃ顔近い…。何頼まれるんだ…?)
「猪俣には俺と一緒に【villains】をやって貰う!」
「えっ!?」
「そして渚沢には別件でお願いがあるんだよ〜!」
「うぇっ!?」
「おまえさ、知り合いに遺伝子学の大学教授いるだろう?ちょっとアポ取ってくんね?」
「えっ!たっ…確かに、自分の祖父は大学教授ですけど…大の人間嫌いで何年もろくに会った事なんかしてないんですよ〜。」
「な・ぎ・さ・わ!頼むよ〜。どうしても、専門家の知識が必要なんだよ〜。」
「わっわかりましたよ…。でも断られると思いますよ…。」
「サンキューな!細かいことは後で社内メールで連絡するからよ。そんじゃ!おつかれ〜!」
そう言い立てると嵐のように松方部長は去っていった。
「ちょ!ちょっと待って下さいよ部長ー!」
慌てて自分は後を追いかける。
こうして、翌年に猪俣 冬獅郎の息子、颯太にサンタの知り合いから、【heroes】送られることになる…。 かくして悪魔との契約はなされた…。
…to be continued
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