表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/52

Blue Wave 101.3Hz

「皆さんこんばんは!

平野武蔵です!

お聴きの放送はBlue Wave 101.3。

今日もレンガ(みち)スタジオからお送りして参ります!

いやぁ、相変わらず暑いですねえ。

このスタジオもね、通り沿いがガラス張りでしょ。暑いの暑くないのって、暑いんだけどね。

まあ、でも皆さん、もうすぐ夏も終わり。

あと少しの辛抱です!

さて、先週もお伝えした通り今夜の特集は、アメリカン・ロック! こうなったらとことん熱く盛り上がっていきましょうよ!」


九一は電車の窓から過ぎて行く景色をぼんやりと眺めていた。

イヤホンで地元のラジオ放送を聴いていた。列車は県境を越えたがまだ電波が届く範囲のようだった。

よく聴いていた番組だった。

DJは(なま)りのある中年だったが選曲が九一の好みに(かな)っていた。

ときどき短い文章を添えて曲のリクエストを送った。リスナーが少ないのか、度々取り上げられ、常連呼ばわりされて、いつもありがとうー!と感謝された。


ソヨンは九一の肩に持たれて眠っていた。

電車に乗り込んで緊張が解けたのだろう。

発車して5分もしないうにち寝息をたてはじめた。


祭りの人混みにまぎれて組織の追手を撒いた後、二人はタクシーに乗った。

そのまま出来るだけ遠くに行きたかったが、タクシーは金がかかりすぎた。これから二人でどこに行き、何をするのか、まだ決めていなかった。

逃避行が長引くことを見越して節約しなければならなかった。


九一は運転手に行き先を告げた。

隣町の駅だった。

そこに警察が張っていなければ、タクシーを降りて電車に乗り換えるつもりだった。

警察がいたらさらに次の駅にいけばいい。

幸い警察はいなかった。

二人は最初に来た列車に乗って南に向かった。


九一とソヨンは今、警察と「殺家ー(さっかー)」、二つの組織に追われていた。

警察に捕まれば刑務所行き、「殺家ー」に捕まれば殺される。

当然、どちらも二人の望むところではなかった。

とにかく逃げなければならなかった。


「『今日で街を出ます。最後のリクエストです』ペンネーム九一さんからのリクエスト。ソウル・アサイラムで『ランナウェイ・トレイン』。九一さん今まで聴いてくれてありがとう。身体に気をつけて、どうぞお元気で」


Runaway train, never going back

Wrong way on a one-way track

Seems like I should be getting somewhere

Somehow I'm neither here nor there


逃走列車 もう帰らない

誤った道への片道列車

どこかに辿り着きそうで

なぜかどこにも辿りつかない


(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ