#07 3本の剣
女神の元に掲げられた、3本の剣。
主人は店の奥に僕を案内してくれた。槍が無数に吊り下げられた作業場のようなところを抜け、小さな木の扉を開く。
「よし、ここから好きなのを選んで持って行け」
そこは、どこか大きな神殿のようなところで、大きな女神の石像の下に、剣が3本飾られている。
「すごい……ここ、本当に鍛冶屋の中か? 王都にいるとは思えない」
「こんなところ、初めて来ました……」
僕は恐る恐る剣に近付き、その内の1本を手に取ってみた。ずしりと重たく、これを手に持って戦えるのか不安だ。
「1本ずつ、持ってみてくださいよ! 歩!」
最初の剣は、持つところが宝石でびっしりと飾られていてでいかにも強そうだった。
次の剣は、思っていたよりも軽く、宝石が1つ飾られているだけだが、金色に光っている。
最後の剣は、よくゲームで見る様な、ドラゴンが彫られていて、見ていて心惹かれた。
「どれもこの店の中で抜きん出た性能を誇る。それ故に1本しか渡せん。慎重に選べよ!!!」
主人は店が崩れる程の大きな声で言った。かっこつけたいのだろうか。
「もう、決まってます」
主人は目を丸くした。
「こりゃ驚いた。前の勇者なんか24時間悩んでから選んだぜ?」
「前の勇者!? 前の勇者もこの店の剣を使ったんですか!?」
サフィールが驚いて叫ぶ。
「そんなデカい声出すなよ……」
あんたの声の方が相当デカい、と言いたかったが、心以外のモノも折られたら困るので自重。
「前の勇者は、ここに剣が5本あった時代に、龍の剣を選んで行ったな……あの剣は、派手だった」
僕は自分に自信が湧いた。某鍛冶屋の主人に折られた心も、元に戻った気がした。
「龍……僕、これにします」
主人は言った。
「どうしてだ? 1番シンプルなのを選んだな」
「どうしてって……知らなかったんですか? ここに龍が彫ってある。こんな形でも、前の勇者に少し近付いていたいと思ったんです」
主人は目を見開いた。
「幾度となくその剣には触れてきたが……そんなの、初めて気付いた! お前、見る目あるな」
しばらくは、手に持った剣を振ったり、眺めたりしていたが、ふと、この剣でこれから僕は戦っていくんだ、と思った。
今回ちょっと真面目に書きました
次回からふざけますよ(笑)
歩「ちゃんと書け」