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#06 王都

遂に辿り着いた、始まりの場所。

 サフィールはスキップしながらご機嫌で森を抜けていく。


「この上り坂を歩いて、茂みを抜けたら王都です!」


 サフィールの身軽さには本当に尊敬する。瞬く間に茂みを抜け、僕の到着を待っている。それに対してこのインドア冴木ときたら、日頃の運動不足のせいで、ヘトヘトだ。


「歩……本当に不思議です。荷物を背中いっぱいに背負ったお婆さんのようで……見ていると残念な気持ちになります」


「サフィールお前意外と容赦ないな」


「さあ! 着きました! 王都ですよ!」


 ヨーロッパのような街並み。キラキラと水飛沫の光る広場の噴水。大通りには賑わう店。


「すごいな……ここがアルフヘイムの王都……」


「ええ! こんな素晴らしい街、人間界にはありません!」


 サフィールは言う。


「まず、武器を調達する前に、腹ごしらえをしませんか? もうお腹ぺこぺこです」


 それには僕も同意できる。


「どこか美味い店に連れて行ってくれないか? 僕も腹が減った」


 サフィールはまたもやスキップで街を駆け抜ける。そしてある店の前で止まると、嬉しそうに言った。


「ここです! 人間界にはないと思いますが、《カルカイル》という食べ物です。さっき私達が通って来た《知の森》にしか生えていないキノコを使った料理なんですよ!」


 キ……キノコだって?


「いや……もっと僕は、ゲームで言うとスタミナみたいな、骨付き肉なんかが食べたいんだけど……」


「何言ってるんですかぁ! 王都へ来たら《カルカイル》でしょうがぁ!」


 案外、こだわりが強いようなので、同行した。思っていたより美味しくて、不覚にも満足してしまった。


「武器を調達しに行きますよ! 鍛冶屋はこっちです!」


 鍛冶屋に到着した。鍛冶屋は、思っていたより綺麗で、中に入るとチャリンチャリンとベルが鳴った。


「いらっしゃい。おお、サフィールか。連れは何者だ?」


 鍛冶屋の主人は、店に似合わず古めかしい兜のような物を被り、鎧も着ている。手に持っているのは斧。白い髭。それより何より、デカい。


(いかつい……)


 サフィールはウンディーネに出会った時と同じように、僕のことを話した。


「何だって!? じゃあこんな弱そうな若者がこの世界の勇者だってのか」


 僕 に 150000000000の ダメージ

 僕 の 心が折れた


「こ……こいつ倒れちまったが……」


 鍛冶屋の主人は心が折れた状態の僕に戸惑いながらも言った。


「俺は前の勇者が生きていた時代からここで鍛冶屋の主人やってるもんだ。名を名乗るつもりはねぇ、主人とでも呼べ。つまりアレだな? お前が戦いに出られるように装備を整えてやりゃいいんだな?」


「ああ……そうなんだ。僕は正直言って役に立てる気はしないけど、足でまといになるのは気分的にも良いことじゃない」


 主人は大きな声を上げて笑い、僕を見た。


「お前面白い奴だな! いいだろう、着いて来い! いいもんくれてやる」

王都を駆け回るサフィールと歩、随分仲良くなりましたね。

ちなみにサフィールがスキップをする場面多くありますが、作者はスキップが得意じゃないです。転びます。

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