表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

深海にて(短短編)

作者: なごやん

深海の底。

私が海底で見上げると、揺れる眩しい太陽、そのとなりに、猫が泳いでいるのが見えました。

透き通った無色透明なこの海では、深海といえど暗くはありませんので、光も、浮かんだ果実の匂いも私には分かります。

猫は目を細めて、にゃんとないて、流れてきた青い風船を追いかけはじめました。風船は、猛毒をもつクラゲでした。

透き通った無色透明の海の底にながい間いた私は、久しぶりに見た、そのクラゲの鮮やかな青に、目から全身が吸い込まれそうになりました。

猫の手が水をかくと、そこで水面に小さな波が生まれ、クラゲがゆらゆらゆれました。

猫は楽しそうでしたが、やがてクラゲに追いついて、鋭い爪でクラゲの風船を割ってしまいました。そのクラゲはカツオノエボシといって、本来、風船の中には空気が入っているものなのですが、その風船の中には青い絵の具が入っていました。ひらがなでいえば「さ」や「す」のような、なんだかひんやりして、ぞっとするような青です。青は私の瞬きの度に溺れていきました。


私は、その青を見ながら、

かなしくなりました。

せつなくなりました。

私も猫も、たった今「もの」になったクラゲも、孤独でした。


目を開ければ、私はやはり、海の底にいました。

傷をもつ者の、涙の海の底です。

読んで下さり、ありがとうございます。カツオノエボシは実在するクラゲです。触手は猛毒なので風船割らないでくださいね(;´・ω・)ノ誰が割るかっ


宮猫

※時々文字化けします。差し支えなければおしえてください。喜んで直します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ