家に異世界人が来て。
はじめまして。橘琴美です。
都内の高校に通う、至って普通の女子高生。
最近困ってることがあります。
「なぁ、これマズイんだけど。このヤキザカナってやつ?…おい、聞いてんのか。」
そうですこれです。この家に住みついている異世界人の居候。名前は、すっごく長いから省略。私は略してロンって呼んでます。
ある日、私がこの家に帰ってきたら、こいつがいました。まぁ、あの時は流石に焦りましたね~。だってこいつ、金髪に緑色の目で趣味の悪いコスプレとしか思えない服をまとって、私の部屋に佇んでいるんですから。
あ、しかもこいつ、私に剣を向けてきたんだった。思い出すだけでも腹が立つ。
「おい、いい加減にしろ!」
「あーもう、うるさいな聞いてるよ。どうやったら帰れるかでしょ?わかんないってそんなの。」
「はぁ?そんなこと言ってないだろ。」
「じゃあ何を言ってたの?」
それにしても美形だわな。顔のつくりが驚くほど整ってるんだよね。あと口の悪さを直せば完璧なのに。
「…いや。別に、なんでも…ない」
あっ、まただ。
最近ロンの様子がおかしい。私と目があったりすると今みたいに目を逸らすんだよね。あれ?しかもなんとなく耳が赤い…?
「ははっ!さては琴美様の魅力にやられて声も出ないか異世界人!さあて、今日も学校に行ってくるかな」
冗談を言いつつ、席を立ってロンの前を通り過ぎようとした。そう。通り過ぎようとしたのに、なんでか私はロンの腕の中にすっぽりおさまっている。
「そうだな。お前にやられた。」
もしかしなくても、これって抱きしめられてる?
うわぁ、はじめて男の人に抱きしめられたけど、胸板かったいなー腕とかも筋肉ついてんのね。
そんなに太いわけじゃなかったから気づかなかった。
と、つらつら現実逃避をしていると急にロンの顔が目の前に近づき、思わず目を瞑ると唇に何か柔らかいものがそっと触れた。
「お前、無防備すぎんだよ。」
驚いて目を開けると目の前にロンの顔があり、そう言ってニッと笑うと台所の方へ歩いて行ってしまった。
えええ!?
い、いま私の、私のファーストキスをっ!?
頭が混乱したままとりあえずカバンをもって家を出る。
「おっはよー!…って、どうしたの琴美。顔真っ赤だよ?」
「ろ、ロンの馬鹿ぁぁぁあ!」
この後、私の親友にロンについて事細かに説明しなければならなくなったことは言うまでもない。
そして家に帰り、顔を真っ赤にしたロンが朝はついキスをしてしまったと詫び、
私も朝のことを思い出してしまい焦って、そんなに嫌じゃなかったなどと口走り、それを聞いたロンが満面の笑みで、そうかと言ったのが可愛いと思ってしまったなんていうのは私だけの秘密。
連載のほうで書きたいことが書けず、行き詰ったため短編をば。
この続きは、要望があったら書こうかなっていうくらいです。