プロローグ~取り締まり~
今回はプロローグとさせていただきます。
--あなたは秘密警察を知っていますか。
「あら、あの標的、家から出てきたわ」
少女は厳しく目を細めた。すると、頭が少し、いや、かなり寂しい中年の男性が建物内から姿を現した。
「どうやらそのようだね」
少女の隣に居た同い年くらいの少年は、音も無く立ち上がると、少女とアイコンタクトをとり、中年の男性を尾行し始めた。少女も後を追う。男性は時折振り返るが、少女には気付かない。
「本当に鈍感な男ね。あんなので、本物の密売組織の幹部なのかしら」
「まったくだ」
すると、少年の持つ携帯からバイブ音が聞こえる。よく注意しなければ聞き取れないほどの音だった。
「他の秘密警察からかしら?」
「ああ」
出来るだけ小声で話す彼ら。気配を消すように、必要最低限の動き、或いは会話しかしない。
メールをチェックしながらも少年は男性を追い続ける。すると、ようやく大きな動きがあった。
「ん、誰かと接触してる。アイツがこのメールの男じゃないか?」
「どれ……。あぁ、あの若い優男が他の秘密警察が監視している人ね」
中年の男性は、優男に何かを渡した。目を凝らして見ると、それは白い粉のようなものが入った小袋だった。やっぱり……と少女は呟く。
そして、二人の死角へと素早く入り込み、頭部に拳銃を突きつける。
「そこまでだ」「そこまでよ」
驚愕する男たちに対して、不適な笑みを浮かべた少年は、近くの高層ビルを睨んだ。中年男性はすっかり諦め、項垂れるようにしていたが、優男はビルへと向き直る。が、優男には何も見えない。
少女も高層ビルを見上げ、こくんと頷いた。すると、どこからともなく、三人の少年少女が現れた。
「連絡は済みました、先輩。じきに警察が到着するはずです」
新たに現れた少女が言った。先輩と呼ばれた、銃を突きつけている二人は、同時に、
「「OK」」
とだけ言った。
ーーあなたは、秘密警察を見たことがありますか。
ーー無い人は、当然。ある人は、強運の持ち主なのでしょうね。
ーーそれか、極悪人か。
ーー案外、近くに居るかもしれませんよ。
彼らは、口を揃えて言う。
『我等、秘密警察!政府直属の、選ばれし者なり!』
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