sadness world-1-
〝この世界には、哀しみが満ちている……〟
僕がその手紙を拾ったのは、単に偶然だった。
たまたま、家の近くの浜辺を歩いていた。そして、たまたま落ちていた瓶に目が留まった。ただ、それだけの事……
それでも、瓶の中に入っていた手紙を読もうと思ったのは、確かに僕の意志だった。
まあ、それも偶然の一つなのかもしれない。たまたま、そんな気持ちになっただけ。
偶然に偶然が重なって、僕はその手紙と出会ったわけだ。
「…………」
手紙を読んだ僕は、思わず息を呑んだ。
その時、僕は世界に対し絶望に似た感情を抱き、自殺を考えていた。
人からしてみれば、実に下らない理由かもしれないけど、確かに僕は、世界に嫌気をさしていたんだ。
そんな時に、その手紙を読んだ。
既に〝自分の終わり〟を知り、それでも尚、絶望せずに生きている少女の手紙。
誰に宛てられたモノでもなく、ただ偶然僕が拾った手紙。
それを読んだ僕は、胸が苦しくなった。
手紙を書いた少女が、一体どれだけの哀しみを背負っているのか……
僕には、きちんと理解する事が出来ない。
それでも、彼女の〝想い〟は確かに伝わったと思う。
自分の運命に抗う事なく、それでも精一杯に生きている少女……
自分の運命を呪い、自らその未来を閉ざそうとする僕……
彼女が僕の考えを聞いたら、一体どう思うのだろうか?
それが、とても気にかかった。
世界には哀しみと絶望が溢れているけど、もしかしたら、希望もあるんじゃないか。
微かにだけど、そう思えた。
だから、まだ……
もう少し生きていようと思う。
多分、手紙の少女と会う事はないだろうけど……
もしかしたら、彼女の真意に辿り着ける時が来るかもしれない。
そう思ったから……
だから、もう少し生きていようと思う。
それまで、もう少しこの世界とも付き合っていこう。
たとえ、これから先も絶望を抱き続けていなければならないとしても……