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あの日の怪盗  作者: はたけばやし
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出会い

夜の街東京。ネオンの光と月が輝き、人々を照らしている━━━。

僕の名前は篠原桜。一般的な高校一年生である。時は3月後半、来年から高2になる。今はバイト帰り、池袋。(いつも通り騒がしく飽きない街だな、ここ。)イヤホンをして、別に恋してるわけじゃないけどバックナンバーを聴いている。それでも、帰り道は長い上に暇だ。(そういや、最近ニュースとか見てなかったな、)ふと思いたちネットニュースアプリを開くと、デカデカと書かれているのは、"怪盗"という二つの漢字であった。(怪盗?そんなのが出てるのか、物騒だな全く。ま、どうせすぐ捕まるだろ)こんなのこの街、池袋じゃ日常的だからな。スマホを見ながら歩き続ける。しばらく歩いていると、いつものざわめきが一層大きく聞こえてきた。(…なんかいつもよりうるさくね?)横を見ると人だかり。イヤホンを外し、自分もそちらへ近づいてみると、黒い影が空に飛び出たのが見えた。(えっ)流石に目を疑った。でも、確かにそこにいた。長い髪の毛を靡かせビルから飛んだ少女が。(…!!…すげぇ…もしかして…あれが…?)人々はスマホを掲げ写真を撮り騒ぐ。僕は少し離れ、Xを開いた。「やっぱり…」日本のトレンドには、"怪盗"またその二文字があった。華麗な動きでビルの谷間を駆ける姿や、ビルからビルへと飛び移り逃げる姿がたくさんツイートされている。(すご…)しばらくツイートを眺めていると、声が聞こえた。「おーい!桜!!」声の主は、鹿鳴辰。中学からの友達で、よく話す仲だ。「辰!…なにしてんだ?」

「何って、怪盗見にきたんだよ!お前もそれ目当てだろ?この辺で出たんだろ?」「ん、え?僕はバイト帰りで…その、怪盗ってそんな有名なの?」「お前知らねーの?!うわ、流行り遅れ〜」いつもの調子で揶揄う辰に、少しため息。「最近ずっと言われてんだよな、怪盗オーキッド。」「オーキッド?変な名前だな。」「いやいや、かっこいいだろ!ま、女の子らしいんだけどな。」「…確かに髪は長かったしな…」「お前見れたの?!いいなー!」羨ましそうにするこいつを見た僕は、少し優越感を得た。「たまたまな…お前まだここで怪盗待つの?」「いや、それがもう消えたらしいんだよな…悔しー!…あ、お前バイト帰りだっけ?一緒に帰ろうぜ〜」「あぁ、うん。」渋々だが、一緒に帰ることにした。少し遅れたが、大雑把にこいつの事を紹介すると、容姿端麗成績優秀。陽キャでモテる。僕とはかけ離れた存在である。丁寧にケアされた茶髪とシュッとした顔。性格以外完璧。といったところだろう。「てか、もうちょっとで高2だな〜。俺お前と同じクラスがいい〜」「流石にないだろ、中学もほとんど一緒だったし、そろそろ離れてもおかしくないな」この先起こる全ての出来事を知らない僕らは、呑気に次の学期の話をした。「じゃ、俺こっちだから!じゃーな〜」軽く手を振る辰に手を振りかえし、歩いていく。この道は人が少なく、少し寂しさがある。そんな道をトボトボ歩いていると、目の前に突然、少女が現れた。「あ、君!」僕を見るなり近づいてくる。(え、何何こわいこわいだれ)僕は驚き少し後退りする。「ちょっと付き合って。お願い。」少女は僕の手を握り走り出した。(初めて女の子と手握った…てか何この状況!?どうなんの!?!?)僕の心の中で恐怖と好奇心が交差する。「ちょ、ちょっと!何するんすか!?誘拐!?」「違うよ〜!!そんな趣味ないし君タイプじゃないから〜!ただちょっと…逃げるのに利用させてもらうだけ」逃げる?何言ってんの?よく見ると少女の姿は、先程見た怪盗によく似ている。てか一緒。「オーキッド…?」恐る恐る聞くと少女は振り返り、「ひみつ。」と、仮面越しに微笑んだ。「さ、ちょっと急ぐよ。ジャンプ!!!」「えっ!?」彼女は高く飛びビルに飛び乗った。恐ろしい跳躍力である。「は?!チート!?何この人!?」「はははっ、君面白いね!!もっと褒めなよ〜!」笑いながらビルを飛び越え、夜空を共に舞う。夢のような体験をしている。「ね、ねぇ!僕は何すればいいの!?」頑張ってついていきながら彼女に聞く。「んー、返送した時の〜彼氏のフリ〜」

「は!?ちょっと待って何そ」「いいから!ほら今!」「えっ!?」瞬きをすると、彼女は黒髪の女子高生のような姿になり、「ねーつかさ!今日の映画面白かったね〜!」と言い、手を握る。本当の彼女かのような演技だった。「え?あ、あぁ、そうだな…!次はどこへ行こうか?」僕は持ち前の対応力と頭の回転の速さで演技をする。すると、前の通りをパトカーが通ったのが見えた。「物騒だね、つかさ。私のこと守ってくれる?」上目遣いをされた。かわいい。僕は赤面しながら「え、あぁ、うん。」ぎこちなく答えた。「……よし、巻いたみたい。」バサっとマントを広げ怪盗の姿に戻る。「もしかして、警察から逃げてるの?」「そ。私の敵は警察。あと…まぁこの話はいいか。ありがと少年!人少ないとこで解放したげるね!」そう言い、手を繋いだまま再びビルの谷間を駆ける。「…すげー!!」流石に凄い。しかもかっこいい。憧れちゃう。「そうでしょ?…あ、この辺いいね。少年、掴まっててね。」「え?」そう言うと彼女は高いビルの上から飛び降りた。「ぎゃあああああああ!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!何やってんのお前バカ!?」僕は死を覚悟した。父さん母さん今までありがとう。「んははは!死なないよ。私がいるもの。」自身ありげに言うと、彼女は華麗に着地し、落下する僕を丁寧に受け止めた。「ほら、言ったでしょう?」「あ、わ…」姫抱きされたまま僕は彼女の顔を見つめた。見惚れていたのだ。画面越しでもわかる。彼女は笑っている。僕はその想像した笑顔に心を射抜かれている。「…?少年?…大丈夫か?」「え、あぁいや何にもない。下ろしてくれ。」彼女は僕を下ろし少し離れた。「今夜はありがとう。きっと君には良いことがあるさ…じゃ、またな、少年」そう言って彼女はビルを駆け上がり闇に消えた。「あ……。」この夜は、僕にとって忘れられない夜になった。

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