人を殺した犯罪者と愛を裏切られた被害者
ここ数日、全く眠れていなかったこと、何キロも走りつづけた疲れもあり、気がついたら明け方になっていた。スマホもないため、時間はわからなかったがおそらく六時くらいだろう。目を覚ますと、彼女は隣で空を眺めていた。昨晩の怯えた表情はないが、人としての情を完全に失っているように見えた。
「あの、名前…わかりますか?」
「アカリ。」
想像以上のスピードで返答が来た。昨晩とは別人に見えるくらい意思疎通がはっきり取れる。良かった。
「アカリちゃん。私はアオイ。あのさ、なんでここにいるのか聞いてもいい?」
アカリと名乗る女の子は、とても目が大きく、真っ黒な髪はとても艶やかだった。しかし、身体にはたくさんの傷があり、骨ぼねしく痩せ切っていた。
「お父さん、刺しちゃったの。この鋏でお腹をグッと。怖くなって、気がついたらここにいて、お姉さんが隣に座 っていた。」
お父さんを刺したという衝撃的なワードに驚かない自分がいた。これは運命なのか偶然なのか。
「そっか。私も恋人を刺しちゃったんだ。殺してきちゃった。同じだね。」
明らかにあり得ない状況にも関わらず、私たちは笑い合っていた。
「ふっ。ははははっ!」
アカリちゃんはとんでもない大口を開けて笑ってくれた。私も頬が筋肉痛になるくらいには笑っていた。こんなに笑ったのはいつぶりだろうか。笑うだけで幸福感に満ち溢れる。「私は今どうしようもなく幸せ」だ。
人を殺した犯罪者。そして愛を裏切られた被害者。
こんばんは。
アカリと出会うこのシーン。
もっと慎重に描くべきなのか否か。今も正解がわかりません。
淡々と進みすぎているような。飲み込むまでが早すぎるような。
そんな葛藤のまま今もいます。
いつかシーンを更新しているかもしれません。
それができるという魅力が詰まっているのが「小説家になろう」のサイトだとも感じています。
この続き、読者の方はどのように想像していたのか気になります。