表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/22

好きな人からのお誘い!?

 数時間の会議を終え、会議室から出る。外を眺めると日が沈み、綺麗な夕焼けを拝めることが出来た。

そんな黄昏た俺を尻目に、ポケットの中でスマホが振動する。確認すると、高校の同級生から電話がかかってきていた。特に出れない用事もないので、電話に出ることにした。

「もしもし?」

「あのさ、いけないことだと分かってるんだけど、お金か────」

「お金なら貸さねーぞ」

「頼むぅぅうううう!!!!今月ピンチなんだァァァんんああん!!!倍にして返すからっ!」

「知らねぇーよ!じゃあな!」

 先程までのうるささが嘘かのように、辺りが静まり返る。先程のうるさい電話の主は、高校の頃同級生だった、石田稜(いしだりょう)と言う、ヒモをしている男だ。俺の人生の中で、これとつるんでいたことは、唯一の黒歴史である。そのことを忘れさろうとするかのように、長い階段を降りていく。降りた後、そのまま職員室に向かい、自分のデスクにある鞄を整理する。この後の仕事は何も無いし、定時で帰るとするか。そう思い職員室を出ると、また石田から電話が掛かってきた。

「もしもし?金なら貸さねーぞ」

「金はいらん。嘉人この後空いてる?英翔も予定空いてるし、三人で久しぶりに飲みに行かない?」

「それは行く」

「よし決まり。じゃ、LINEで集合場所送っとくね」

「分かった」

そう言って電話を切ると、すぐにLINEが届いた。飲む場所は、いつも三人で集合する恒例の居酒屋だった。時間もあるし、一旦家に帰るか。そう思い玄関に向かう最中、緑川と咲夜さんが二人で帰っているところに遭遇した。

「あっ、嘉人君も今帰り?」

「はい、そうですけど」

「この後飲みに行くんだけどさ︙︙嘉人君もどう?」

好きな人からの嬉しいお誘い。今すぐに一緒に行きたいのだが、先客がいるので、断るしか無かった。

「すいません、この後予定があるので────」

「────もしかして︙︙彼女さん?」

『彼女!?』

あまりの驚きに、何故か緑川とハモった。

「咲夜さん、からかうのはやめてくださいよ」

「そうですよ!先輩に彼女なんて出来るわけないじゃないですか!」

「あらら、二人とも顔真っ赤にしちゃって、かっわいい〜!」

『してません!!!』

今日はなんだか、緑川と息がピッタリだ。

「ごめんごめん、それじゃ、気をつけて帰るのよ!」

「お疲れ様でした」

そう言うと、咲夜さんは前を向きながら、手をひらひらと振っていた。緑川は顔を下に向けたまま、無言で帰ってしまった。

「︙︙帰るか」

新学年初日ということもあり、なんだか疲れてしまった。酒でも飲んで、気分をスッキリでもさせるか。俺はそんなことを考えながら、軽い足取りで駅に向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ