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第2章 術師への道 8 未知の怪物たちの来襲 そして、編入してきた智子

 夏の教練は終わった。教練は、異術活用を含めた実戦想定型の攻撃防御術教練を集中して教えるものだった。生徒たちがそれらを習得したころ、秋の乾燥した冷風が大陸から渡ってくる季節となった。


 そんな風が吹くようになった秋の夜長、学院に未知の危険が迫っていた。

「大陸から、大陸の怪物が来る.......未知の怪物…まるで虎の吠える声だ!」

 最初に気づいたのは、やはり悠然だった。皆が夕食を取り終え、各自の部屋へ戻ろうとする時だった。悠然は突然震えながら立ち上がり、西の丘陵地帯を指した。その先には積丹半島があり、その先は大陸勢力の占領している沿海州、かつての中国領があった。

「誰かが、巨大な怪物を使役している。これは、我々にとって再びの脅威だ。強大な敵が来るぞ」

 悠然はそう言いつつ、教師である父親の紫陽に報告した。学院は生徒たちと教師、そして工作員を動員した。

「学院長、おそらく彼らは地上を走って来るに違いない。屋上に指令所を置き、布陣を考えた方がいいと思います」

 教師の釈紫陽はそう言いつつ、総一郎と悠然に電撃による撃退を指示した。

「刈谷総一郎、そして息子よ。あんたたち二人の電撃の威力を、見せる時だ....初めての試みだが、力を見せろよ」

「はい」

 二人はそう言うと、学院が形成した布陣の最前面に出て、獲得したばかりの必殺の電撃を放つ準備をした。


 暗闇の中、山の上に現われた怪物は、巨大な一体のトラだった。その怪物の足音が闇の谷間に低く、次第に大きく響きわたりはじめた。

「背中に術者が乗っているぞ」

「あいつは、明らかに我々に敵意をもって近づいてきている」

「それが分かったなら、此方から先制攻撃を掛けよう」

 総一郎はそう言うと、最初の電撃を怪物めがけて放った。続いて、悠然が第二げきを放った。直撃らしく、じゅわーという音とともに肉の焦げた臭いが学院まで届いた。

「威力を見極めようとするな......敵に隙を与えるな」

 紫陽の檄が飛んだ。

「はい、第三射行きます」

「第四射行きます」

 総一郎たちは最初から全力を怪物に向けて投射していた。

「敵に隙を与えるな。彼らは山頂から、学院側の防衛布陣を観察しようとしている」

「第五射続きます」

「第六射準備了、撃ちます」

 総一郎と悠然の力技が続いた。その威力が効果をそうしたのか、教師の紫陽が気がついたときには、総一郎たちの電撃は虚ろな空間を撃ち続けていた。

「よし、電撃止め! 敵の怪物は退却したようだ…総一郎と悠然、あんたたちの能力は絶大だ......あの教練で飛躍的に上昇したようだな」


 二回目の来襲は、数頭の巨大なトラの怪物だった。これらも、総一郎と悠然の電撃が圧倒して退散させた。だが、これもあまりに簡単だった。学院側は、二階の来襲があまりに簡単に退散したことに、戸惑った。

 悠然は、彼らに感じた気配をあまり強く感じていなかった。

「以前来襲した呪縛司達に比べると、今回の来襲者の気配は、あまり強くありません......それでも私が感じ取れたのは、教練の賜物でした」

「そうか...それなら彼らが今回も前回も簡単に撤収したのは、おそらく我らの出方を探っていたのだと考えるべきだな」

 悠然の父親でもあり教師でもある釈紫陽は、戦術的な分析をしたうえでさらに続けた。

「彼らは明らかに大陸からきた…つまり彼らは大陸勢力の手先だ......以前、彼らは工作員での働き掛けをしてきた……だが、彼らは何かを感じて怪物を派遣してきたに違いない……おそらく怪物たちは…悠然も感じ取ったと思うが…魔力を有している…そんなやつらが、総一郎や悠然の電撃にも、反撃をしたものの簡単に引き下がった…彼らは威力偵察によって、我々の戦う能力を探ったに違いない……ということは、また彼らは来る...ただ、もう一度我々の出方を探るのか、それとも攻撃をして来るか...…もう一度彼らが出てくるときに、我々も全力で迎撃できるようにしておく必要がある」

「それでは、教師陣や工作員を総動員し、そこに刈谷総一郎や釈悠然も加わってもらう......また、身体増強術を最大にして、全員で来襲者たちを撃滅させよう......教練の効果を見せるいい機会だ」

 学院長は、迎撃態勢を作り上げる指示をいくつか出し、生徒たちにも檄を飛ばした。総一郎や悠然ばかりでなく、虹洋たち他のクラスメイト達も、また2,3年生たちも、それぞれに働き始めた。

____________________


 それは、冬の大地に雪の降り始めた10月下旬の夕刻だった。異変が再びもたらされた。それも前回前々回の規模を大きく上回る規模だった。


「おい、今夜は小樽の街の明かりが見えないな」

 やっと放課後になった夕暮れの時間、学生たちが学院の屋上で一息を入れていた時だった。学生の一人は、次の日の休みに出かけることを考えて、友人たちと小樽の町を見つめていた。彼らの目には、小樽の町のにぎやかな夜景が見えるはずだった。それが、今夜に限って町のすべての明かりが全て消え去り、真っ暗な大地とその先に広がる黒い海、それらの上空にひしめき、厚く立ち込める雪雲だった。

「どうしたんだろうか」

「これは、学院長に報告したほうがいい」


 学院長室は、既に気づいて手を打っていた。その報告は、学院長の予測を上回る事態であり、大騒ぎになっていた。

「人がいませんでした」

「無人の街並み、無人で点灯されるビルや街角の照明、誰も利用しない信号、眠ったままの人を乗せて動く乗合自動車が、不気味さを増していました」

「小樽の町に派遣した斥候工作員によると、町の人々は全てそこらじゅうで眠っているそうです......人々の活動が止まっているため、自動的に動く機械以外は止まっていました...街中の信号は動いていましたし、自動運転のバスは動いていましたが、だれ一人起きておらず、だれ一人歩いていませんでした」

「どこに人々がいるのか、不思議でした......全てが、働くことも食べることも中途で辞めて、その場その場で睡眠したままでした」

「その睡眠は、まるで人工的なわざでした......おそらくは、悪意のある誰かが街中の住民たち全てにある種の術をかけたのだと思われます」

「我々は、念のため、札幌にも足を延ばしました......そして、札幌も同様に、いやさらに大きい規模で、すべての人間たちがその場その場で眠っていました」

「ただ、札幌では協力者がいました......蒼井智子さんという方は眠りから離脱し、我々に同行してくださっています」

「彼女は、あのう、偶然にも一年生の高橋直哉君のお知合い、ご家族だそうです」

「彼女によると、襲撃者はいきなり全域を眠りの術、もしくは催眠術にかけたそうです」


 学院長は、札幌から彼らが帰った時、教職員や三年生に加えて、帰投したばかりの斥候工作員と、彼らに同行して学院に編入されることとなった蒼井智子の出席を求め、直ちに状況分析・戦略会議を開いた。

 彼らが持ち帰った状況報告によれば、札幌ばかりでなく近隣の地域も眠りに覆われているということだった。それらの報告から、学院長は北海道全域が襲われていると推定した。そのことから、学院長は、生徒たちをも工作員並みに強化する必要性を感じた。

「教師諸君、そして、豊かな経験者である三年生たち、私は全生徒たちの術力を強化する必要性を感じている。心理も神経も、体力も、だ」

 会議では、彼らをさらに強化するためには、いかにして全員の心理面、神経面、そして体力面の教練を実施するかが、検討された。特に、必要性が感じられたのは、生徒の術力と持久力を増す方法だった。これについて、学院長たちは様々に議論し続けた。

「全員が集中的に考えつつ、走りながら戦闘する訓練が必要ではないだろうか? 地上戦もしくは白兵戦になった時のために必要だと考えられるが.......」

「走りながら集中させるのか? どうやって?」

「全員を、追いかけまわすのです」

「追いかける? ただでさえ少ない老年の教師たちが、大勢の若い生徒たちを追いかけまわすのか? それは長続きしないぞ、無理な話だ」

「では、競争をさせますか」

「マラソンか? だが、走りながら、ただ順番を競うだけの考察しかしないのであれば、あまり集中したことにはならないぞ」

 教師たち、三年生たちは様々に議論した。だが妙案はなかった。この時、学院長は、全員が問題を持ち帰って検討を加えることを提案した。

「いい案はなかなかないですな....そこで、みなさん、議論を持ち帰って一晩考えてください......そのうえで、明日の朝にもう一度議論したいのですが......」

「ほお、誰も妙案がないのに、明日になればいい考えとやらが出てくるというのですか?」

「このままでも、妙案は出てこないでしょう?」

「そうですね」

「いや、この際、各員がこの問題を持ち帰って、一晩検討してみる必要はある」

「まあいいだろう」

 こうして、結論を持ち越して会議は終わった。

____________________


 さて、この数日、半自動的に作動される配電システムやガス供給システムは、故障しがちだった。それは、燃料不足、電力不足が原因だった。次第に学院の校内活動にも支障が出ていた。学院が効率していることから、ひたすら節約するしか対策はなかった。


「生徒たち、エネルギー節約のため、夜の電力は使用禁止だぞ」

 この数日の夜、教師たちはそう言いながら、学院内の寮を見回っていた。運悪く、女子寮では隠れてドライヤーを使っているところを教師たちに見つかった。

「先生、このドライヤーと化粧道具は、私たちにとって必須です。就寝前に身ぎれいにするためには、これらが必要なんです」

 女子生徒たちは教師たちに反論し、言い訳までしたが、教師たちは厳しい姿勢を崩さなかった。

「いいや、これだけの電力量を使うことはいずれにしても禁止だ」

「それなら、男子寮はどうなんですか? わたしたちよりも使っていますよ」

「なに?」

「男子寮は不要なことで、しかも悪いことで電力を使っているんですよ」

「なんだ、それは? まさか?」

「そうです、わたしたちにもわからないようにしているらしいんですけど、私たちはもう知っているんです」

「そうか、奴らはどんなことをしているんだ?」

「これです」

 女子生徒たちは、固く梱包された包みを教師たちに指し示した。

「この包みは、見ちゃいけないグラビアらしいんです」

「見ちゃいけないもの?」

「男の子たちは、隠れてみちゃいけないものを見ていたって、彼が密告しに来てくれたんです…神聖な女の子を愚弄するものだ、悪いことだから、ここに告白しに来てくれたんです」

「誰が?」

 教師たちは不思議そうにそう聞いた。女子生徒たちは、彼女らに囲まれて気絶している直哉を指示した。

「彼です そしてその包みが彼の持ってきてくれた包みです」

「彼は許せなかったと言って、これを封印して持ってきてくれたんですけど......そのあとの彼が面白かったんですよ! わたしたちを怖がり始めたんです......『僕は情欲をもって女性を見てはいけないんです、接触なんて絶対いけないんです』とか言って」

「だから、先生たちが来る前、面白そうだから追い詰めたんです......それが……もっと面白くなっちゃって、触ったり、転がしたりしたら、彼、悲鳴を上げて気絶したんです」

 女子生徒たちは、面白がって口々に直哉の状態を口にした。教師たちは直哉を気の毒に思って女子生徒たちから引き離し、目を覚まさせた。

「大丈夫か? さて、その包みというのはどんな内容なんだ?」

「僕は、見ていません……情欲をもって女性を、女性の裸を見ちゃいけないんです」

 直哉はそう言いながら、固く抱えて来た包みを開いた。果たして、そこには豊かな女性たちのヌードグラビア集が飛び出してきた。

 それらを見て、ある女子生徒は悲鳴を上げ、ある女子生徒は怒り、ある女子生徒はあきれた声を上げた。それ以上のうめき声を出したのは、直哉だった。彼は、そのグラビア集が飛び出してきた途端に卒倒してしまった。それがまた、再び女子生徒たちの興味を引いて、大騒ぎとなった。梓晴は、直哉のその姿を見て、思い出したように指摘した。

「そうだったわ……彼って、女性の裸は禁断の事柄らしいのよ……私と強制的に夫婦寮に閉じ込められた時も、恐怖の目で私を見ていたわ……彼にとって、女性の肌に触れることさえ、恐怖らしいのよ」

 他の女子生徒たちも、その話を聞いて直哉を見つめた。彼女たちは、さらに彼に興味を持ったらしかった。ある女子生徒たちは悪戯を思いついた表情を浮かべ、ある者たちは面白いおもちゃを手に入れたように感じて、心の中でしたなめずりをしていた。


「男子生徒、整列!」

「お前ら、何やっているんだ!」

 この時、男子寮で男子生徒たちは、別のヌードグラビア集を見ていた。それ等もまた、工作員たちが秘密裏に小樽のウィングベイから持ち帰ったものを、男子生徒たちが秘密裏に手に入れていたものだった。男子生徒全員は、秘密裏に全員で一つの部屋に集結し、一つの電灯の下で回覧しながらみんなで眺め、よだれを垂らしていた最中だった。

「お前たち、その灯りの下にあるものはなんだ?」

「せ、せんせい、これは、あの」

「な、なぜ、ばれたんだ?」

 こんな生徒たちを、教師たちは責め立てた。

「皆一生懸命になっているときに、こんな本を! だが、高橋直哉がお前たちの悪事を暴いてくれたんだぞ……彼は、女子生徒たちに密告してくれたらしい.......そして、女子生徒たちから我々に報告が来たんだ」

「え、直哉が!?」

「直哉め!」

 こうして、女子生徒たちの無駄遣いと男子生徒の悪事が、教師たちによって辞めさせられた。ただ、直哉は恨みを持った男子生徒たちに目の敵にされつつあり、女子生徒たちからはおもちゃとして認識されつつあった。

____________________


 次の日になった。

 智子は、改めてこの学院内で、直哉が女の子たちからおもちゃにされているのを見つけた。

「直ちゃん、幸せそうね」

「あ、智姉ちゃん、よかった、助けてくれる?」

「何から助けろって? 本当はうれしいんでしょ、女の子たちに囲まれて……相手にしてもらって…」

「あ、いや、これは昨日からのことで......」

「聞いているわよ、エロ雑誌を見ている男子たちを告発したんでしょ? つまりチクったんでしょ?」

「いや、ぼくには耐えられない悪いことをしていたから、それらを持ち出して女子生徒たちに報告したんだよ....そしたら、そのエロ雑誌を見て、僕は気絶しちゃって……僕は女の子が苦手なんだよ、知っているでしょ」

「ふん、しらないわ!」

 智子はそう言いながら、会議会場に入って行った。


 先ほどの直哉と女子生徒たちの姿は、彼女からみれば直哉がちやほやされているとしか見えなかった。そんなとき、智子には妙案が浮かんだ。それもあって、智子は独り言を言った。

「「そう、直ちゃんは、女の子におもちゃにされてチヤホヤされるようになったのね…そんなに女の子が恐ろしいの? それとも女の子にもてたいの? でも、どっちでもいいわ、直ちゃんは私たちが大切にしている人、どんどん強くなってもらわないと......たとえ、どんな軋轢があっても、どんな負担があっても、どんな困難があっても、どんな壁があっても.......だから、今は女の子たちに追いかけさせてね!」


 教師たちと三年生たちの会議が再開されると、智子は昨日の提案の続きを説明し始めた。

「みなさん、どうやらいい案が見つかりました……適切な獲物もみつけました」

 この提案を聞いた周囲は、騒がしくなった。

「なに?」

「あの人、誰なの?」

「あの人、蒼井智子とかいうらしいね」

「札幌から帰還した斥候工作員たちに同行して、この学院に来た人らしいよ」

「学院長たちが、結構頼りにしているらしいね」

 会議場全体が、大きく騒がしくなった。その反応をみきわめながら、智子はつづけた。

「争奪戦大会を開催するのです。その獲物を全生徒たちに追わせるのです」

「どういうことだ?」

 智子の提案は、周囲を戸惑わせた。それを承知しながら智子はつづけた。

「この学校にいる高橋直哉君は、男子生徒たちに恨まれることをしました......ご存じのように、女子生徒たちへ告発しに行ったのです…その結果、彼は女子生徒たちに囲まれて、おもちゃにされているそうです。だから、ちょうどいいと思います。彼の両腕を後ろ手に縛ったうえで、彼の背中に昨日没収したグラビアを括り付けるのです。全男子生徒たちは、恨みつらみのため、またヌードグラビアのために彼を追いかけるはずです。また、女子生徒たちは、ヌードグラビアを活用して高橋直哉君をおもちゃにしようと追い詰めるでしょう。念のため、私が、そのように全員の潜在意識に働きかけますから、確実にそのようになります。これで、全員に必要な体力、精神力、根気がつくはずです」


 会議は、なぜか(これも、智子の潜在意識への働きかけの結果だったが)、これがよい提案だということで全会一致で、「高橋直哉君とグラビアを捕まえろ」争奪戦開催を決定した。

「いいか、全生徒諸君、これからここに閉じ込めてある高橋直哉君を解き放つ......彼の背中には、グラビア集が張り付けてある......さて、男子生徒諸君、君たちは、この高橋直哉君に恨みつらみがあるだろう…そして彼の背中には、君たちが大切にしていたグラビア集が括り付けてある......彼を捕まえて、恨みを晴らすのもよし......そのグラビアを手にして楽しむのもよし......女子生徒諸君、君たちがおもちゃであることに気づいた高橋直哉君がここにいる......彼を捕まえておもちゃにするのもよし、背中のグラビアで彼の反応を楽しむのもいいだろう......彼を捕まえた者たちが、この競争の勝利者だ......さあ、高橋直哉君が逃げ出したぞ.......それ、全員スタートだ!......高橋直哉君とグラビアを捕まえろ」

 こうして、電力を無駄遣いした全員を対象に、精神を鍛えなおすという口実で特別訓練が始まった。直哉は両腕を縛られ背中にヌードグラビアを括り付けられて、解き放たれた。直哉は自分の腕の縄を解く暇もなく、背中にヌードグラビアを括り付けられたまま逃げ回るしかなかった。

 男子生徒たち、女子生徒たちは、一斉に彼を追いかけ始めた。これによって、彼らは学院内を走り回りつつ、異術を使い、頭脳を使って、直哉を追いかけまわすこととなった。


 これは、確かによい訓練だった。逃げ回る直哉をいかにしてとらえるか、という頭脳ゲームのようなものだった。また智子にとっては直哉を追い込める、またとない機会でもあった。

「そう、直ちゃんは、女の子におもちゃにされてチヤホヤされるようになったのね…そんなに女の子が恐ろしいの? それとも女の子にもてたいの? でも、どっちでもいいわ、直ちゃんは私たちが大切にしている人......たとえ、どんな軋轢があっても、どんな負担があっても、どんな困難があっても、どんな壁があっても.......だから、今は全員に追いかけさせてね……直ちゃんは追い詰められるほど能力が増すかもしれないから……この訓練は全員の訓練にちょうどいいしね......じゃあ、私も彼を追いかけよっと」

 智子もこう言って、直哉を追いかけまわす集団に加わったのだった。

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