ナターシャ
「・・・ナターシャですか?」
「亮でしょう」
亮がうなずくとナターシャが亮に抱きついた
「ナターシャ、今は?」
「ええ、こっちでエスコートガールをしてるわ、
ここはギャンブルで儲かった人や
VIP相手だから。1時間1500ドルも貰えるの」
「じゃあ家族に」
「ええ、充分仕送りができるわ」
「良かったですね」
ナターシャはあまり嬉しそうな顔をせず
亮に聞いた。
「亮は何をやっているの?」
「日本で会社を経営しています」
「やっぱりあなたは成功すると思っていた・・・
どうしよう、あなたと少し話をしたい」
亮は小妹とマギーに目で合図をすると
ナターシャの肩を触ってバーの方へ行った
~~~~~~
「何なのかしらあの女、きっとエスコートガールよ」
マギーが不審な顔をして小妹に言った。
「ああそうね、それよりどうしてこんな所に
亮の知り合いがいるのかしら?」
「小妹は亮をガードしなくて良いの?」
「ここなら安全よ、それにお邪魔そうだから」
「そうね」
~~~~~~~
「亮、そこのバーで話をしない」
「ええ、いいですよ」
亮とナターシャはバーの奥の席に座った。
「あっ、そうだ」
亮は財布から1万円札を渡した。
「亮・・・覚えていたんだ」
「はい」
ナターシャは財布から大事そうに
5千円札を取り出し目に涙を浮かべた。
「私も」
ナターシャは1000ルーブルを出しながら
「本当は5000ルーブルが流通を
始めたんだけど手に入らないの
この日本の1万円札の2倍の
価値があるみたい」
「ではロシアではおつりに困るでしょうね、
5000ルーブルはこの次に」
亮はさわやかに笑った。
「ねえ亮、もちろん彼女出来たんでしょう」
ナターシャは亮の顔を見てクスッと笑った
「あはは、当たり前です」
「じゃあ、私としようよ」
「1時間1500ドル?」
ナターシャは首を横に振った。
「お金なんかいらないわ。
あなたと再会するのは私の夢だった。
夢があったからがんばれたの」
「僕も忘れませんよ、ザクスカとウォッカの
味そしてあなたの大きな白い胸を」
「素敵、亮いい男になったわ」
ナターシャは亮に深いキスをすると
もう一度亮にハグをした。
亮はとてもゴージャスで
美しくなったナターシャを見て年を聞いた。
「そう言えばナターシャは今幾つなんですか」
「23歳よ」
「えっ、あの時18歳だったの?」
亮はあの時とても大人に見えたナターシャ思い出し
自分が子供だった事に気がついた。
「そう言えばあの時一緒に居た中国人元気?」
「元気ですよ、昨日会いました」
「そうかそれで亮は、香港に来たのね」
「ええ、まあ」
ナターシャはあの時いた翔記と文明が
中国の要人だとは気づいていなかった。
「ナターシャはお金が貯まったら
国でお店をやるんですか?」
「いいえ、私はロシアに帰るつもりは無いわ
この仕事を辞めて香港かシンガポールで
貿易のビジネスをしようと思っているわ。
それとも亮のいる日本が良いかな」
「ええ、ナターシャのような
美人ならどんな仕事をしても
注目を浴びると思いますよ」
「ありがとう」
ナターシャがそう言って時計を見ると
「あっ、戻らなくちゃ」
「ああ、お客さんですね」
「ううん、私のお店のボス。
昨日モスクワからこっちへ来ているの」
「そう」
亮がそっけなく返事をすると
ナターシャはボスの話をしたかった。
「彼は若くてやり手なの、
何千人ものロシア女性を
世界中に送り出している人よ」
「それはすばらしいでね」
「彼を紹介するわ」
「でも僕には関係がないと思いますよ」
亮は紹介すると言われた相手が
アイザックのような気がして
断ろうと考えていた。
「ううん、きっと気が合うわ。
彼はとても頭がいいから」
ナターシャは亮の手を引いて
ポーカーのテーブルに連れて行った。
ナターシャはテーブルに着き男に
目で合図を送ると男は気づき
「フォルド」
と言ってゲームから降りて立ち
上がり亮の前に来た。
「亮、アイザック・イワノフよ」
「アキラ・ダンですよろしくお願いします」
「アイザックだよろしく」
アイザックはネクタイをはずした
紺のストライプのスーツ姿で
亮に握手を求めた。
「すみません、ゲームを中断させてしまって」
「いや、手札悪くて降りるところだったんだ。
君がナターシャの日本人の知り合いと言う
男か、いつも話を聞いている」
「えっ?」
亮はナターシャの顔を見た
「あはは、今夜は再会を祝って合体だな」
ナターシャは笑って亮の腕を掴んだ。
「い、いや。今夜は連れが居ますので」
「そうか・・・じゃあ一緒にゲームをしないか?
それならいいだろう」
「では」
亮はバーに戻ると雪と
小妹とマギーが話をしていた。
「あれ?」
亮が首をかしげて三人を見ていると
「亮が戻るのが遅いから、
三人で話をしていたの」
雪が笑っていた。
「はあ」
亮は雪に自分が日本人ある事が
ばれそうで気になっていた。
「今雪さんにダイヤモンドの
見分け方の話をしていたの」
「ああ、そうですか。ありがとうございます」
亮は小妹に頭を下げ耳元で囁いた。
「アイザックと話が出来た」
「えっ?もう」
「さっき僕が話をしていた
ナターシャのボスだった」
「ナターシャ可愛そうね、ボスが殺られる」
「小妹、ちょっと待ってくれ。アイザックは
そんなに悪い奴には見えないんだ」
「でも、一文字を狙ったピョートルと
アントンがおじいちゃんの拷問で
嘘をついたとは思えないわ」
「小妹、とにかくアイザックに
近づいて情報を取ってみる」
「了解」
「雪さんポーカーをやります。行きましょう」
「はい」
亮が雪を誘うと雪は喜んでポーカーの
テーブルについて行った
~~~~~~
「おじいちゃん、亮がアイザックと接触したわ」
小妹が趙剛に電話をかけた。
「おお、早いなあ」
「それが亮はアイザックは悪い人
じゃないって言っていたの」
「むむむ・・・もう一度調べる必要があるか」
「でもピョートルとアントンが
嘘をつくとは思えないけど」
「うん、爪の間に釘を刺されて
嘘をつく奴はいない。
二人にもう一度聞いてみよう」
「はい」
~~~~~~~
アイザックのいるテーブルに行った亮は
ナターシャに雪を紹介した。
「ナターシャ、今日の僕のお客さんです」
「こんばんは、ナターシャです」
ナターシャはたどたどしい日本語で挨拶をした。
「My name is yuki」
すると雪は英語で答え
亮はナターシャに通訳の話をしていたので
ナターシャ笑顔で雪に優しく微笑んだ。
「ナターシャさん美人ね」
「そうですね」
「亮はロシア語も話せるのね」




