ビルを買う
やっと二人きりになって
亮に抱かれたブルックは涙が止まらなかった。
その快感は海の底深くまで沈んでいきそうで
海底に着く寸前に体が浮んで揺れているような
長い快感がブルックの体中を埋め尽くしていた。
ベッドで亮の腕の中でブルックは
「亮、今度はいつニューヨークに来るの?」
「アリゾナに用が有るんで今月中に行きます」
「本当?うれしい」
「レコーディングは何処で?」
「ニューヨークよ」
「じゃあ喉の様子を見に行きます」
「ありがとう」
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「春麗、一文字は女をホテルの部屋に連れ込んだぞ」
健徳から小妹に電話がかかってきた
「本当!」
「うん、ICレコーダーを持たせて
あるから明日の朝回収する」
「ありがとう、さすがお父さん。ありがとう」
「うん」
小妹から趙剛に電話がかかってきた。
「一文字が女とバーからホテルの部屋に入った」
「うん、お父さんから電話がかかってきた、
二人の会話を録音しているそうよ」
「そうか、それがちょっとおかしな事がある」
「何?」
「一文字をつけている男が二人いる」
「えっ?それっておじいちゃんの知り合い?」
「いや、白人だ、今何者か調べている」
「一文字を狙っているなら守って」
「もちろんだ」
「おねがい、私も明日の朝ICコーダーを
手に入れたら合流するわ」
小妹は電話を切ると自宅のトレーニングルームで
思い切りサンドバックを蹴った。
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「じゃあ、一文字さんお父さんを憎んでいた?」
メイメイが大介に聞いた。
「ああ、殺したいくらい」
「でも殺していないんでしょう」
「勝手に死んだよ、腹の膨らんだふぐを
食って太った腹を震わせてな」
「お気の毒に」
「そうでもないさ、お陰で自由に
なれて俺の天下になった」
一文字は日本を遠く離れたちでお気に入りの
メイメイを前に雄弁になっていた。
「そろそろどう?」
「ああ、そうだな」
メイメイは一文字の前で服を脱いだ。
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午前3時、亮の所へ小妹から電話があった
「亮、遅くにごめんね。大変な事になった」
「どうした?」
「一文字をつけている奴らがいるわ」
「どんな奴だ?」
「ロシア人よ」
「まさか命を狙って?」
「かも知れない」
「小妹、絶対守ってくれ」
「了解」
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亮が電話を切るとブルックが
目を覚ましていた。
「あいつ、時差があるのを知ら居ない」
「亮、お話ししましょう」
「何の?」
「あなたが生まれて今日までそして未来・・・の話」
「じゃあ、ブルックの話も聞かなくちゃ」
二人は記憶のある限り幼い頃、家族の話、
初めての恋日本とアメリカの環境は違っても
お互い生きていた事に感謝しあった。
「私の初恋は6歳の時父のチームの
クォーターバックだったわ。亮は?」
「聞かないでください」
亮にとって初恋の感覚が誰だったのか
覚えが無かった。
「完璧な亮にも欠点が有ったんだ」
「当たり前ですよ、僕だって人間なんだから」
「うふふ、良かった。ますます好きになっちゃった
ずっと一緒に居たい」
亮はブルックと一緒に住んでコンサートをして
世界中を回る事が頭に浮かんだ。
「良いですね。楽しそうです・・・
でも難しいいです。僕にはまだやる事が
あります」
「そうか・・・。じゃあ赤ちゃんが欲しい」
「これからディーバになるのに?」
「じゃあ、その後だね。亮の子供を産んだら
パパ喜ぶと思う」
日本人とアメリカ人の感覚が違っていて
アーティストとして認められれば結婚しても
多くの男性と付き合っても結婚しても
子供を作っても人気には影響しない。
逆に恋愛したり結婚したり子供を育てる事が
歌に深みが出ると言われている。
恋愛感情は3年で冷めてしまう言われ
亮はブルックがいつまでも自分を
思っていてくれるとは思わなかった。
「ねえ、寂しくなったら会いに来て」
「うん、もちろん」
「私は寂しがり屋だからまた会いに来るわ」
「はい」
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翌朝、亮とブルックはホテルのダイニング
で朝食を取りながら曲目を選んでいた。
「おはようございます」
奈々子がやって来て挨拶をした。
「團さん早いですね」
「はい、ブルックの喉の調子と
曲目を選んでいました」
「お疲れ様です」
奈々子は亮がブルックと一晩過ごしていたとは
思っていなかった。
「奈々子、これが曲目です。データで送りますので
歌を聞いてください」
ブルックが楽譜を奈々子に渡した。
「はい、10曲歌うんですか?」
「ええ、だいぶ喉の調子がいいので」
「良かった、この後ライブハウスに行って
バンドさんとリハーサルします」
「了解です」
「團さん、ライブの曲を録音して
音楽著作権登録の準備をします」
「分かりました、お願いします」
「ええと、ライブハウスとバンドの費用は?」
「夕方来た時に支払ってください」
「これがエイベックス最後の仕事にしますけど
良いですよね」
「もちろんです。給与の話は後程」
亮は微笑んで奈々子と握手をした。
「渋谷へ行く前に時間ありますか?」
「はい打ち合わせが12時ですから」
奈々子は時計を見た。
「では、一緒に行きましょう」
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亮はブルックと奈々子を連れて
玲奈と一恵と久保田郁美と新橋で
待ち合わせをした。
「お待たせしました」
「いいえ」
「物件は見つかりましたか?」
亮は久保田に期待して聞いた。
「はい、銀座7丁目の8階建てのビル60億円、
フランスのブランドが撤退してすぐに現金に
替えたいそうなので、安い出物です。
恐らくどこかの不動産会社が買って何十億か
上乗せして販売するでしょう」
六人でビルを見ると亮は一目で気に入った。
「玲奈さんどうですか?」
「良いと思います」
「僕も気に入りました。買いましょう」
亮が簡単に答えると郁美が
心配そうな顔をして聞いた。
「60億円ですが本当に大丈夫ですか?」
「ええ、手付けを入れましょうか?」
「手付けと言っても金額が金額なので」
「分かりました。ちょっと待ってください」
亮は秀樹に連絡をして銀座7丁目の
物件の話をした。
「なるほど、そこはお買い得だ。ただ現金で
払わない方がいいな黒字になる会社なら
赤字にしていた方が良いからな」
「お金銀行が貸してくれますか?」
「いくら持っている?」




