理恵の母
健徳が小妹を心配して聞くと
「うん、亮が良くしてくれる」
「そうか、彼なら信用できる。9月から学校だな」
「そうだよ、手続きも終わった」
「それで今何している?」
「亮が今度オープンするスポーツジムの
インストラクターのアルバイトすることになった」
「何もアルバイトなんかしなくたって」
香蘭が心配して言った
「ところで何が頼みだ?何が欲しい?」
「お父さんのクラブに来る
日本人の男を調べて欲しいの」
「なんだって、誰の頼みだ?」
健徳は剛の頼みかと思って顔つきが厳しくなった
「おじいちゃんの頼みじゃないわよ。
おじいちゃんなら自分でやるわよ」
「そりゃそうだ」
「その男、亮の会社を乗っ取ろうとした奴なの」
「本当か?」
「本当よ、嘘じゃないわ」
「それで亮はその男をどうするつもりだ?」
「それでホステスに何の目的で
香港に来たか聞いて欲しいの」
「それだけか?亮の商売敵なら潰してやるぞ!
それとも香港の魚の餌にしても良いぞ」
「そこまでしなくてもいいよ」
小妹は健徳が剛と同じ事を
言っている事がおかしくて笑った。
「そ、そうか。分った手を回す。写真あるか?」
「うん、データもあるから」
小妹が健徳にメモリーを差し出すと
健徳は執事を呼んでデータを
出力するように指示をした
「ナイトクラブ4軒に来たら
すぐにホステスに指示をする」
「ありがとう、お父さん」
「いや」
建徳は娘に礼を言われて照れていた。
「お父さん、亮の父親の宝石店へ行ったわ」
「どうだ?」
「素敵なお店よ日本で一番じゃないかな」
「そうか、じゃあ春麗が入学したら一度営業に行くか」
「うふふ、お父さんが営業なんてセリフ似合わないわよ」
「あはは、久しぶりに一緒に昼飯でもどうだ?」
「うん、糖朝のマンゴプリンが食べたい」
「うふふ」
まだ子供のような小妹を見て香蘭は笑った
~~~~~~~
診療が終わって沙織と食事をしている
最中、亮の元にメールで写真が送られてきた
「あっくそ!」
「どうしたの?團君」
亮のレストランのテーブルの向かいに座っていた
北川沙織が心配そうに聞いた。
「今、香港からメールが来たんです」
亮が写メールを見せると沙織が写真を見た。
「何?この桶みたいなの」
「これ糖朝の木桶入り豆腐花です。
甘くて美味しいんです」
「うふふ、やっぱり変わっていないなあ。亮」
沙織は高校時代の甘党の亮を思い出した。
「沙織さんは変わりました」
「えっ?どんな風に」
沙織は自分の頬に手を当てた
「大人になってそして綺麗になりました」
亮がそう言うと沙織の顔が真っ赤なって
バッグをテーブルに置いた。
「それあの時のエルメスエプリンのバッグですね」
「そう、あの時の約束」
亮は袋から箱を取りだすと沙織に渡した。
「これ、新しいエルメスです」
「ありがとう、良いの?」
「はい、それなりの所得が有ります。
元気で良かった。沙織さん」
亮は目を潤ませた
「ごめんなさい、勉強が忙しく連絡が出来なくて」
「僕は秋山さんに彼が出来たと聞いていたので・・・」
「そうか・・・」
沙織は友達の秋山は独占欲の強い
あまり好きでは無かった。
「私から連絡すればよかったんだけど」
元々文系の私が医学部に入ったものだから
勉強が大変だった」
「それにちゃんとした連絡先
交換してなかったの知っている?」
「あはは、そうかパソコンの
メールアドレスしか知らなかった」
「亮、お医者さんならなくて良かったの?」
「はい、薬学研究で博士号を取りました。
お陰で多くの人を救いました」
「良かったわ。私も頑張ったよ」
「僕は・・・」
亮は沙織に薬剤師になって白血病の薬の
研究をしていたとは言えなかった
「ところで、今何の仕事をしているの?」
「休職中です」
「ええっ!?」
沙織は口を開けて驚いていた
「ああ、1月に怪我をして休んでいました、
そろそろ仕事に復帰します。
そうしたらまた怪我をしてしまったけど、あはは」
「ひょっとしたら、背中にあるガラス
破片が刺さったような傷?」
亮は聞こえないふりをして沙織に聞いた。
「そう言えば彼とは?」
「一つ誤解を解いておくわ。あの日はホテルで
学会が有って同僚と食事をしていたのよ」
沙織は亮の様な素敵な男性と結婚しない
女性が居るのが不思議だった。
「さて、行かなくちゃ」
「お仕事?」
「はい、五島商事の内村社長と打ち合わせです」
「はあ・・・五島商事ね」
沙織は亮があまり大きな話をするので
ホラ吹きか詐欺師に思えてしまった。
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五島商事の社長室で内村が亮の話を聞いた
「そうか、そんな事が有ったのか」
「はい、模倣犯が現れるといけないので
事件は発表されませんでしたが」
「それより、その水とバイオ燃料の件面白いな」
「はい、雨の少なく気温が高いアリゾナなら
緑藻の成長が早く、日本で作る倍の
量が出来るんです。もちろん日本でも
作ります」
「なるほど、それを何処へ売るつもりだ?」
「石油販売会社と航空会社です」
「なんだって!?」
内村は大きな声を上げた。
「どうしたんですか?」
「うちの会社は、JOLの株価暴落で300億円
、航空燃料の先物買いのキャンセルで
60億円の損害を被ったんだ」
「それは大変でした」
「それを今更・・・」
「社長、JOLを再建しましょう」
「しかし、どうやって?」
亮はロイに話した再建案アイディアを話した。
「移住とチャーター便か」
「はい、売上げが上がって燃料が
安ければ利益が上がります」
「あはは、面白い。相変わらずお前は面白い、
すぐに計画書を書いてくれ航空会社の
件も話しに乗るぞ」
「はい、ありがとうございます。
それで倉沢社長を納得させるために
早急に会社を設立しなくてはいけません」
「うん分った」
内村は嬉しそうに笑った
「社長1つお願いが」
「なんだ?」
「理恵さんのお母さんをナチュラル・グリルの
冷凍食品新会社の取締役に入って
もらってください」
「ん?久美子にか」
「はい、理恵さんのために
働いてもらいたいんです
なんでも、以前食品関係の仕事を
していらっしゃったとか」
「あ、ありがとう亮君は私の
家族の事まで考えていたのか」
内村は亮の手を強く握ると頭を下げた。
「いいえ」
亮は理恵の父親にした事をずっと心に重く感じていた。
「亮、会社設立メンバーの私のほうから声をかけてみる、
大阪の連中にも声をかけたらどうだ」
「は、はい」
亮が浮かない顔をしていると内村が
亮の顔を見た。
「どうした?」
「僕の立場はどうなるんでしょう?」
「まあ、社長はともかくアメリカ
との関係があるから
取締役についてもらわないとな」
「そうですよね」
「なんだ、嫌か?」
「僕はまだ28歳です、取締役なんて」
「じゃあ、株主になればいいじゃないか」
「分りました、そうします」
亮は急に元気になった。




