パスワード
一恵は気になって聞くと
「医師会の発表では
男性は身長×身長×22×25~35が
一日必要なカロリーです。女性の場合は
身長×身長×20×25~35ですね」
「25~35って何?」
「生活活動強度と年齢応じた変化です。
つまり17~18歳をピークに下がって行くし
職業、通勤通学時間によっても変化します」
「じゃあ、太っている高校生って
カロリーのとりすぎなのね」
「そうですね。基礎代謝が高いですから、
お腹がすくなら炭水化物じゃなくて
タンパク質を取ると良いんですねどね」
「一恵さんの場合は162cmで
普通体型だから162×162×20
それに労働が事務職だから30を
掛けると1574カロリーになります」
「それが一日必要な摂取カロリーな訳ね」
「はい、一恵さんの」
「そうかわかりました、でも一食あたり
500カロリーしか取れないわけ?」
「バランスのいい食事をすればいいんですよ、
ロース焼き肉だって一人前300カロリー
なんですから食べ過ぎなければ充分ですよ」
「分かりました先生」
みんなが笑った時、亮はスタジオD
レーベルでサボテンダイエットの
販売を考えシンディや美喜に
手伝ってもらう事を思いついた
「雑談したお陰で踏ん切りがつきました」
亮の言葉に三人は笑顔でうなずいた。
亮と美喜と一恵と玲奈が市ヶ谷の家に戻ると
すぐに書斎に入り机の上の2台の
パソコンのスイッチを入れた。
「一恵さん玲奈さん今から
ストレートホールディングスの
サーバーに入って情報を取ります」
「はい」
「まず、僕の前のパソコンから一恵さんの
前のパソコンに繋いでそこから中国の
サーバーを経由して入ります。
これでこちらを特定ができなくなります」
「どれくらいかかりますか?」
「明日の朝、従業員が出勤する9時。
大事を取って8時半までに情報を取らないと・・・・・」
「じゃあ、私はコーヒーを入れてきます」
美喜がコーヒーを淹れに行った。
「まずはコーヒーを飲んでからにしましょうか」
美喜は亮の前にコーヒーを置いた。
「ありがとう。一恵さん元の
パスワードは知りませんよね?」
「はい、秘書の私にも教えませんでした」
「私知っています」
玲奈が自慢げに微笑んで言った。
「知っているんですか?」
「はい、55ichi1111です。
一文字がパスワードを打っている
時に見て覚えていたんです。
「55は誕生日の5月5日名前のichiですね」
だって分かりやすいパスワードでしたから」
亮はそれを聞いてちょっと笑いながら
玲奈の言ったパスワードを打つと
エラーが出た。
「やはり、パスワード変えていましたね」
「ええ、どうしよう」
「時間が無いので奥の手使います」
亮はロビンに電話を掛けた。
「亮、忙しかったらしいな」
ロビンが皮肉交じりで言った。
「ごめん、ソルトレイクは遠くて行けなかった
会えなくて残念だった」
「近いうちに優秀な学生がいるボストンに
本社移転するつもりなんだ」
「なるほど、いい考えだ」
日本にも京都に優良企業が多いのは京都に
優秀な学生が集まるからだという話がある。
「移転を機に上場するつもりだ。だから
三人で一度会いたいんだ」
亮はデビッドとロビンと亮は三人で
株を持ち合い取締役に入って情報、
アイディアを共有し互いに
会社を盛り立てて行った。
「わかった、僕だけまだ会社すら作っていない
申し訳ない」
「良いんだ、大物は最後に登場だ。
それに亮にはプログラムの件で
色々助けてもらったしな」
「とんでないよ」
「それにAmericanwebの支社を
日本に作りたいんだ頼むよ」
「わかった。緑の多い田舎と東京、横浜
どちらが良いか考えておいてくれ
それで頼みがあるだけど」
「なんだ?」
「あるパソコンからデータが
盗みたいんだ、しかしパスワードが解らない」
「わかった、何桁だ」
「10桁」
「なるほど、亮にソフトを送るから使ってくれ
元々パスワードが解らなくなった時の
ソフトだが規制を掛けていないから簡単に
解除できる。元のパスワードがわかれば
あっという間だ。元のパスワードが解らない時は
Unknownを入れると候補が何個か出るから
解析して一番可能性がある奴を3つ選んでくれ、
もしロックがかかったら、また明日だな」
「わかった、ありがとう」
「うん、いつでも言ってくれ」
「じゃあ、近いうちに行くよ」
「ああ、その時はボストンかニューヨークへ
行って待っている」
「わかった」
~~~~~~
「ずいぶん親しいのね」
美喜が聞いた。
「うん、かなり仲がいい、今度紹介する」
亮は答えながら三人でパティを思い出した。
美喜が拍手をした。
亮はロビンから来たメールを解凍して
インストールを始めた。
その後亮リビングに行ってさっきの残りかけの
冷えたコーヒーを飲んだ。
亮は小妹に電話を掛けた。
「どうですか?」
「信じられない」
「何が?」
「家に帰らない女の子が多すぎる」
「春休みが終わったのに・・・」
「いっぱい友達ができたから
とりあえず情報を集めている」
「今夜はどうする?」
「様子が分かったので、ひと気が無くなったら
亮の部屋で休みます」
「お疲れ様気をつけて」
「そうそう、直子さんと智子さんに
張り付いている男達は
プロじゃなさそうよ」
「プロじゃない?」
「うん、車を家の前に止めて見ているだけで
無線機も使っていないし
時々居眠りをしているみたい」
「わかった、たぶんやくざだ」
「うん、男達の行き先は新小岩
車二台のナンバーはLINEする」
「了解、がんばって」
そこへ一恵が来て報告をした。
「亮さん、インストール終了です」
「ありがとう」
亮はソフトを開いて55ichi1111を打ち込んだ。
「あっ、ダメか。画面が真っ黒だ・・・」
それから10秒で再起動して
ファイルが開き全てのデータをダウンロードをした。
「やりましたね、一恵さん玲奈さん」
亮がやさしく笑うと一恵は感無量で
涙を流して亮に抱きついた。
「大丈夫、これで上手く行きます」
「これであの男に復讐できるんですね」
亮は画面に出た本当のパスワードを
指さした。
「この数字」
「4219die912」
「シニイクダイクイズ?」
玲奈が読んだ。
「dieは英語で死ですよ」
「9月12日は一文字の父親大蔵さんの
亡くなった日です」
一恵が手帳を見て確認した。
「まさか一文字大藏を殺したん
じゃないでしょうね」
美喜がぶっ飛んだ話をした。
みんなが無言でお互いの顔を見合わせた。
「パスワードで父親の殺人の容疑も出てきました。
死因を調べましょう。一恵さん、玲奈さん情報を
収集できませんか?」
「一文字の親戚とか私少しなら知っています」
「時間が有ったら調べてください」




