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食中毒

「本当?」

「もちろん、あなたは警察官なんだから。

来月国家公務員受験忘れていないわよね」

「はい、もちろん」

亮は試験が受けられてうれしそうな顔をした。

「難しいけど大丈夫よね」

「大丈夫です」

美咲は微笑んだ。

「ところで、美咲さんは今回の株で利益

出さなかったんですか?」

「当たり前よ、私と父は国家公務員なんだから」

「そうですよね・・・」

「ただ、母は専業主婦だけど」

美咲はニヤニヤと笑った。

「でも、国家公務員は副業は禁止ですよね。

じゃあ、僕の今の仕事できませんよ」

「それは大丈夫、秘密諜報員だから特別、

ただ捜査で得た情報でお金儲けしちゃ

ダメよ」

「了解」

亮は返事をしたが国の政策で円安、円高起これば

為替で儲ける事は出来るただし、

円とドルの資金が十分の無ければの

話だが。

本来アメリカ経済状態が為替、株価に

大きく影響するのでその情報を読み取るのが

利益を上げる方法だが、友子だけでは

ぜんぶホロー出来ない。

亮は会社組織にして人を増やし友子を助けたかった。


~~~~~~~~

四人は豪華なファーストクラスの夕食を食べ

美咲たちはお腹がいっぱいになって

ウトウトとしていて

亮は映画を見ているとアナウンスが聞こえた。

「機内で急病人がいます。お医者さんか医療関係の

方がいらっしゃいましたら

近くのアテンダントにお知らせください。

繰り返します・・・・」


「亮、急病人だって」

美咲が声をかけた。

「うん、言ってみますか?」

亮は手を挙げて秋山に言うと

秋山は手を上げて制止した。

「大丈夫です。今お医者さんが見つかりました」

「そうですかそれなら」

亮はまた映画の続きを観た。

~~~~~~

エコノミー席では四人の病人が苦しがっていた。

「これは食中毒ですね。抗生物質を

飲ませるしかないでしょう」

「先生、機内には抗生物質がありません」

アテンダントが答えた。

「それじゃ無理だ、私は外科医だ

 内科医でも薬が無ければ無理だ」

医師は両手を挙げた。


「殿、お医者さんは薬が無いのでお手上げらしいわ」

亮を守るために搭乗していた美喜が

エコノミークラスから来て耳元で囁いた。

「あら、美喜さん」

美咲が美喜に気がついた。

「わかった準備する」

亮は機内持ち込み用の黒バックを

手に持った。


「小妹、美喜さん手伝ってください」

三人は機内の後方のエコノミークラスへ

行った。

「亮待って、めがね」

亮は小妹から受け取った黒縁のメガネをかけて

エコノミークラスのシートで苦しがっている

四人のところへ行った。


そこに医師が近くのシートに座っていた。

「先生、発病が早いですね」

「うん、搭乗して約1時間だ、君は?」

「薬剤師と理学療法士の資格を持っています」

「そうか」

医師は少しホッとしていた。


「すみません、この人たちの食べた食事は?」

亮はそばにいたキャビンアテンダントに聞いた。

「牛シチューとライスです」

「他に食べた人は?」

「102人います」

「その方にも異常がないか

症状を聞いてください」


「はい」

「すみません、お名前は?」

「細川です」

「私は團です、では細川さん、ちょっと手伝ってください」

「かしこまりました」

細川たちは他の乗客に異常が無いか聞き歩いた。


「私も食べたが発病の可能性が低い」

「そうですね。原因は他にありますね」

「うん」

亮が言うと医師は仕方なし返事をした。


「先生、問診をお願いします」

「わかった」

医師はアテンダントに言われた百二人の問診を始めた。

「すみません、四人の熱は?」

亮は細川に聞いた。

「熱は無いようです」


「食中毒の特徴に下痢と嘔吐があるんですが

呼吸と脱力感があるようだし

眼球障害を起こしている

食事を終えて発病まで時間が短いので

搭乗以前に食べたようです」


「先生は抗生物質を飲ませろと仰っていますが」

「手遅れです、抗毒素血清がなくてはいけません、

四人をファーストクラスの私達の

シートに運んでください」

細川に指示をした。


「亮、どうするの?」

美喜が聞いた。

「ここはシートがフラットにならないので

病人にはきついでしょう」

「なるほど」

「パーサーの豊島です。お手伝いいたします」

豊島と細川の手伝いで四人をシートに

寝かせると亮は豊島に指示をした。


「四人に酸素吸入をしてください」

「はい」

豊島は四人に酸素吸入を施すと

亮はバックの中からアルコール含ませたシートで

手を拭き手袋をして何種類かのプラスチックの

ケースを開け紙コップの中でパウダーを混ぜた。


「美喜さんバックの中の

チューブを取ってください」

「はい」

「ガーゼとコットンありますか?」

亮は細川に聞いた。

「はい、お持ちしました」

「ありがとうございます」


亮はガーゼにチューブをから出した透明のジェルを

塗り、先ほど混ぜたパウダーを患者の首に張った。

「誰かこのシートを固定してください」

「はい」

美喜と一恵は四人の患者の首を

固定すると秋山が亮の肩を叩いた。


「團さん、こちらの男性呼吸が荒くて

痙攣を起こしているんですが」

秋山は亮に声をかけると

60歳ほどの男性は呼吸が苦しそうに

全身痙攣を起こしていた。


「秋山さんAEDを準備してください、

それとさっきのお医者さん呼んで下さい」

「はい」

秋山は豊島にAEDの用意を

指示すると医師を呼びに行った。


「どうだ?」

駆けつけた医師が亮に聞くと亮は真剣な顔で答えた。

「この四人は呼吸麻痺をおこしていますので、

間違いなくボツリヌス菌中毒です

 それで今、抗毒素血清療法を施しています」


「薬は有ったのかね」

「はい、ありました」

「君は?どうして薬を」

「本業がファーマシストですから」

「ほほう」

薬剤師がいつも薬など持っているわけないのに

医師は驚いたように笑っていた。


「注射は?」

「注射器は無いので、浸透性ジェルに

血清を混ぜて首に張っています」

「浸透性ジェル?聞いたことないぞ」


「大丈夫です、点滴と同じ効果があります」

浸透性ジェルとは亮が発明したインシュリンを

浸透させるものだった。

「う~ん」

医師は驚いた顔をしていた。


「この方だけ容態が安定していないようです

 高齢のせいか持病をお持ちかと」

「うん、呼吸が荒いな」


「心停止する可能性がありますので

AEDの準備をお願いします」

「うん、分かった」

医師も次第に亮のペースになって

患者の胸を開きAEDのパットを胸に張って

準備をして脈を診る為に手首を指で押さえた。


その時患者の心臓が停止した。

「心停止!」

AEDがピーと言う音をだて

医師はボタンを押した。


「だめだ、戻らない」

医師はもう一度ボタンを押したが

心臓は停止したままだった。

「まずい、動かない」


医師は心臓マッサージをしながら言った。

亮は時計を見た。

人間は心停止して1分経つごとに

10%救命率が下がる。

「先生、ダメですか」

「ああ、まだ動かない」


「秋山さんペンチお願いします」

「細川さんシャープペンお願いします」

「は、はい」

「一恵さん充電器のケーブル持ってきて!」

「はい」


ペンチを受け取った亮はケーブルの

皮をむいて細い銅線を1本取り出し

シャープペンの先を外しアルコールにつけた

「な、何をするつもりだ?」

医師が聞くと亮はそれを無視して小妹に言った。


「小妹」

「はい」

「心臓を止めるツボは」

「えっ?」

「心臓を止めるツボは何処だと聞いているんだ」

「ここ」

小妹は6本目のあばら骨のところを指差した。


亮はじっと見て目を閉じ

人間の体のツボを思い浮かべていた。

「そこだ!」

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