身代金
「はい」
亮は映された39台の同型車種と
ナンバーと運転手の顔を記憶した。
「ロビン、次」
亮は次々にモニターに映し出させる
数千台の車両を見て行った。
「わかった!品川駅前22時01分に通過した車だ!」
亮が大きな声を上げた。
「えっ?誘拐から31分も経っているわよ。
逃げるのならできるだけ急ぐはずなんだけど、
偶然じゃない」
一恵は10分足らずで行く距離なのに
31分かかるのが不思議だった。
「いや、違う。夜なのに運転席の
男がサングラスをかけているし
助手席の男が後ろを向いている。
明らかにNシステムのカメラを意識している」
「そうね、サングラスは変ね」
玲奈がサングラスの男の顔を見て言った。
「一恵さん、わナンバーなので
レンタカーです」
「分かったわ、すぐに調べます」
亮が言うと雪は陸運局の
サーバーにアクセスした。
「亮、持ち主は全日本
レンタカー代々木上原店よ」
「了解」
亮は直に美咲に電話をかけた
「美咲さん大至急、全日本レンタカー
代々木上原店の、品川300わ
42・・を借りた人間を調べてください」
「了解、すぐ捜査員を行かせるわ」
美咲は亮がどうやって調べたか不思議だった。
「お願いします」
「一恵は銀座5丁目から品川駅のまでの
道程をシュミレーションしてみるわ」
亮はマップをモニターに映し出
してかかる時間の計算を始めた。
「亮さん、品川区、大田区、
神奈川県のコテージ、貸別荘、
オートキャンプ場をリストアップしたわよ」
玲奈が亮に報告をすると亮は麻実に指示をした。
「麻実さん、リストの住所を打ち込んで
監視カメラを動かせるようにして
置いて下さい」
「了解」
「犯人は誘拐に手馴れている様子だ。
だから二人の命を取る事はしないと
思います」
「うん、そう願いたい」
「まだ身代金の要求は無いけどたぶん
二人で2億円以上でしょう」
「亮、そのお金は?」
「僕が払います」
亮は一恵の問いに答えた。
「2億円となると重いので受け渡しの
タイミングがとても難しいぞ。
誘拐で一番難しいのは受け渡しの
タイミングだ」
亮は2億円のキャリーケースの
大きさを手で表わすと
「うん、犯人はたぶん海外の誘拐団と
同じ方法で銀行に振り込ませると思う」
~~~~~~~
「亮、石川町で男が降りて迎えの
車に乗った」
「それで?」
「タクシーが無い」
「そこは一方通行だから反対方向へ向かって
元町へ向かって一本目の大通りに出て
タクシーを拾え」
「でも、その後どうすれば?」
「とりあえず中華街へ向かって
ゴマ団子を買ってくれ」
「えっ?」
「その辺り遅くまでやっている
店に入って中華料理を食べていてください」
「いいの?」
「はい」
小妹と蓮華と桃華はお店を探して
しばらく歩いて店に入った。
~~~~~~
亮は立ちあがった。
「玲奈さん、車は?」
「地下の駐車場止めてあるけど」
「とりあえず、僕は横浜に向かいます。
後はお願いします」
「玲奈さん、車は?」
「地下の駐車場止めてあるけど」
「では一恵さんも一緒に」
亮が地下に降りると駐車した車を見た。
「えっ、アルファードで来ると思いませんでした」
「えっいけませんでした?」
「いいえ、アルファードは大きいので
女性は嫌がると思って・・・」
「うふふ、玲奈さんは運転が好きみたいです」
「さて、行きましょう」
亮はエンジンのボタンを押した。
車を走らせて新橋演舞場の方へ向かって
銀座料金所首都高速に入った。
~~~~~~~
「裕子さん、手伝をお願いしたいんですけど」
「いいよ」
「今から横浜に向かってください」
「了解、SUZUKI隼ありがとうね。
それとインカム付きヘルメットも」
「いいえ、いつも色々お願いしている
お礼です」
裕子はライダースウエアに着替え
バイクのエンジンをかけ走り出した。
亮はいつも裏で働いていてくれる
頼もしい裕子に感謝していた。
時計が22時30分を過ぎようとした時、
亮はもう一度美喜と雪の携帯に
電話をかけ、ため息をついた。
「そろそろ、父に嫌な
報告をしなくちゃならない」
亮はそう呟くと自宅に電話をかけた
「お父さん、姉さんの身代わり達が
誘拐されました」
普段飄々としている秀樹も
動揺を隠せなかった。
「いつ、どこでだ?」
「9時20分、桜田門の近くです」
「それでどうしている?」
「今、犯人を捜しています。もうすぐ
身代金要求の電話があるはずです」
「わ、分かった」
秀樹は身代金要求の電話がある前に
犯人を追跡している亮が不思議だった。
「犯人は4、50分後に電話がかかってきます。
5回以上呼び出し音を鳴らせてから
電話を受けてください」
「わかった、頼むぞ。亮」
秀樹は亮に心から頼んだ。
「ロビン、うちに電話をかけた
犯人の逆探知できませんか?」
亮はロビンに聞いた
「それはIP電話か?」
「はい」
「それなら可能だ、お前の家の電話とこっち
サーバーをつなぎ救急、警察と同じ状態にして
相手が電話をかけている間に
逆探知をして居場所を特定する」
「お願いします」
「亮、逃走ルートを出したわ」
麻実がセンターのモニターに地図を出した。
「芝公園から慶応大学の裏の道を通って、
三田に出て聖坂を登って二本榎坂を通ってPホテル
の脇を降りて品川駅手前に出ると
Nシステムに映らず着く事ができます」
「ありがとう麻実さん」
亮はその車を犯人の車両と確信した
ところに美咲から電話がかかってきた。
「借りた人間が分かったわ、
谷垣祐三28歳、住所が千葉の袖ヶ浦市よ
今メールで送ったわ」
「勤め先は?」
「今捜査中よ、もう少し待って」
「たぶん石油関係だと思います」
亮はそう言って電話を切ると
メールを開いて確認した。
「同一人物だ、みんなこの車を追います。
玲奈さん、麻実さんこの車に限定して
横浜周辺の施設に電話をかけてください」
亮が指示をすると
「了解」
玲奈と麻実が電話をかけ始めた。
「亮、言うのを忘れていた」
ロビンに指示をすると赤外線カメラに切り替り
夜の地上が良く見えた。




