みやび
「えっ?何でしょう」
「いいえ、こちらへ来る途中に
事情を聞いておいてください」
「はい、分かりました」
「美喜さん、ここに居て天地さんを
手伝ってください」
「了解です」
1時間後日比谷のホテルのロビーで待つ
亮の元に五人がやってくると
ジャネットとブルックが
次々に亮に抱きついた。
「亮!!、元気だった?」
「別れてまだ3日しか経っていないんだけど」
亮が二人にやさしく話した。
「うん、そうだね」
ジャネットは笑顔で答えると
ブルックは大きな男を亮に紹介した。
「亮、私のパパです」
「始めましてブルーノ・ジャックマンです」
「アキラ・ダンです」
ブルーノは亮に握手を求め握手をすると
物凄い力で亮の手を握った。
「痛ててて・・」
亮は痛みで体をひねり、手を離すと右手を振った。
「ブルック、お父さんは何の用で?」
「うふふ」
ブルックが笑っていると一恵が紹介した。
「ジャックマンさんはアメリカの
トレーニングジムのチェーン、
マッスルカーブの社長さんです」
「あっ、マッスルカーブ?じゃあ琴乃さんが
言っていた担当の人って・・・」
ジャックマンは亮の体を触り突然亮の
顔を目掛けて力いっぱい殴りかかると
亮はそのパンチを避けジャックマンの脇に付いた。
「何するの!パパ」
ブルックはジャックマンに向って怒った。
「あはは、私の負けだ。ダンの手が
私の肝臓に当たっている。もしナイフだったら
死んでいるな」
「はい」
亮は香港でナイフの格闘術の訓練を
受けていた。
「ダン、格闘技をやっているのか?」
「はい、サブミッションとカンフーと
ナイフ格闘術です」
「それってアメリカ陸軍の?」
「はい、師匠が元陸軍だったので」
「気に入った、君のジムのデザイン
私達にやらせてくれ」
「ありがとうございます」
二人はもう1度握手をした。
そしてジャックマンは亮の肩を抱きながら
トムを紹介した。
「この男がトム・ハドソン。うちのジムの
設計とデザインを全部やっている」
「よろしく」
ハドソンが亮に手を差し出し握手をした。
「ブルー、マシンは当社のでいいんですか?
サイズがあるので」
「ああ、そうしてくれ」
トムはブルーノ・ジャックマンをブルーと
呼んでいた。
「よかった、パパが気に入ってくれて」
ブルックがホッとしていると亮が食事に誘った。
「さて、夕食を食べましょう。
何がいいですか?和食?ステーキ?
フランス料理?それとも中華?」
「私はサケが飲みたい」
「私も、ヤキトリでサケがいい」
ブルーノが言って
ジャネットが続いて言うと
ブルックは笑いながらうなずいた。
「分かりました」
亮は歩いて銀座七丁目の「みやび」へ
五人を連れて向かった。
「亮さん、みやびは予約をしないと・・・」
一恵は人気店みやびの予約を心配して聞いた。
「ああ、大丈夫です。これからの事も
有りますから店長を紹介をしておきます」
亮はみやびに電話を入れた。
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警察庁の美咲の部屋には三沢千賀子、
那智佳子の資料が集められていた
「那智佳子さんは服毒自殺らしいけど
それが入っていた器が
自宅から見つかっていないようね」
「はい、おかしいですね」
樫村は返事をすると美咲は次の資料を手にした。
「二人の遺書はワープロで書いた手紙が一通、
『生きるのに疲れました』だけ、
しかも二人とも妊娠中でした」
「殺人の可能性あり、再捜査ね」
「はい、我々がやるんですか?」
「もちろんです」
「よっし!」
樫村は手を握り締めた。
「今回の捜査はなんとしても一文字の
化けの皮を暴かなくちゃ行けないの
よろしく」
「はい、一文字は土井と黒田が張っています」
「小妹が今夜から潜入捜査を
始めているから注意してね」
「えっ?あの小妹ですか?まだ17歳じゃあ」
「はい、彼女は日本人じゃないから問題ないわ」
「了解しました」
「それから白石さんを呼んでくれますか?」
「はい」
樫村と入れ替わりに白石和子が入ってきた
「白石さん、宮城県の気仙沼に行って
家族に当時の様子を聞いて欲しいの
それから熱海に・・・」
美咲は三沢千賀子のファイルを渡した
「了解しました」
「それと新人の名倉君と一緒にお願い」
「はあ」
和子は男性と一緒に旅をするのが嫌だった。
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みやびの入り口の戸を開けると仲居が
ジャネットたちを部屋に案内して行き
亮と一恵は残り店長の本山に挨拶をした。
「本山さん、こちらが僕の手伝いを
してくれている新村一恵さんです。
予約は彼女からすると思います」
「了解です、本山です」
「新村です。よろしくお願いします」
「本山さん今日の一行のリクエストは
焼き鳥と日本酒だそうです」
「分かりました」
みやびは外人客が多いため、天ぷら、
寿司、焼き鳥が食べられる
日本料理屋で本山外国人の接客は
手馴れたものだった。
「亮さん、去年みえた外国人モデルさん
また来ないですかね?」
本山は低い声で亮に聞いた。
「はい?」
「私、シンディのファンなんです」
「あはは、また連れてきます。
今日のお客さんの二人の美人も
きっと有名になりますよ」
「そ、そうですか、じゃあサインを」
亮は本山が意外とミーハーなのに驚いた。
「亮さん、ここは?」
「うちのディーワンが経営しています。
祖父が貿易商をしていたので
外国人客のために作った和食店です」
「そうなんですか」
一恵は驚いていた。
「他には焼肉の銀遊亭、フランス料理の
ローラン・ギャロス、中華料理の孟林、
それからスイーツの
ルフルールを経営しています。
ちなみにスイーツ以外の
4店舗は全国に40店舗以上あります」
「すごい、全部一文字が好きな店です」
「はい、そのようですね。祖父の食道楽お陰です」
一恵は亮が一文字の情報を
取っているのに驚いていた。
「もしかしたら、お金持ちの為に?」
「たぶん、祖父はその目的があったのかも知れませんよ。
どの店もすばらしい顧客を持っていますから」
一恵は一文字に比べ亮の奥の深さに尊敬の念を抱いていた。
「こんばんは」
美喜が面接の仕事を終えて入って来た。
美喜が挨拶を終えると亮の脇に座って話しをした。
「殿、入り口で店長にサインを頼まれました」
「ああ、山本さん。かなりミーハーらしい」
「なるほど」
「それで理沙さんは?」
「アシスタントになる人と会っています」
「了解です」
「理沙さんと色々話をしてきました。
私が六本木ゴールドで働いた経験を話して
お店の細かい部分を打ち合わせして来ました」
「ありがとう、ご苦労様」
そこへ玲奈から電話があった。
「今、美宝堂で仕事が終わりました。
明日水曜日に千沙子さんと明日香さんと
友子さんがメイキャッパーと
一緒に帰国するそうです」
「小妹の方はどうなりました?」
「7時からセンター街をウロウロしています」
「わかりました、玲奈さんはみやびの方へ
来て下さい」
「はい」
亮は小妹に麻薬の密売人が近づくのを祈っていた。
「お持たせしました」
亮は焼き鳥のオーダー済ませ
部屋に入って掘りコタツ風の
テーブル座っている四人は英語の
メニューを見ていた。
「日本のメニューは親切ね、
写真に英語の解説が付いている」
ブルックがとても喜んで話をしていた
「コースで頼みましたけど他に
好きなものを注文してください」
亮が言うとみんなが次々に
メニューを指差していた。
「ダン、実は日本の企業の何社が私のところへ
提携の話を何度も持ちかけていた」
ジャックマンはお酒を飲みながら話し始めた。
「それでどうなったんですか?」
「断ったよ、体格の違う日本には
トレーニングメニューも違うし興味が無かった」
「そうですか、でも今回どうして社長自ら?」
「それは、娘の恩人に礼を言うために来た」
ジャックマンは亮を指差した。
「そんなこと・・・・」




