亮が社長に
「何笑っているんだ、亮」
秀樹は突然笑っている亮に怒った。
「いや、別に。それよりお父さんまで
僕を担ぎ上げて」
「亮、彼らの言っている通りだ。
能力があるものを上手く使えば
それは何倍もの力を持つ。
それが組織、それが会社なんだ」
「でも僕はそれが苦手で」
「お前はもう組織を作っているじゃないか、
能力に勝る女性たちを集めて、しかも
男の我々や文明やロビンや
アイザックとか親友もいるだろう」
「はい、確かに」
「今度は男を使えるようになるんだ」
「はあ」
「男は抱いたくらいじゃいう事きかんぞ、あはは。
ただ上手く使えば女以上に役に立つ」
「はい」
「いいか、男は自分より力の弱い者、
学歴、能力の無いものをさげすむ
しかも嫉妬深い。上に立つものは
下の者がどのように動いているか
見ていなくてはならない」
「ではそれを抑えなくてはなりませんね」
「でも、それははるか昔から続いている男の
本能のような物だ、それを禁止しては
本来必要な男の闘争心を無くしてしまう」
「ではどうすれば?」
「お前がみんなが倒れ臥すような
優秀なボスになる事だ」
「はい」
日本語の多少分かるようになった文明は
秀樹と亮の会話を聞いて笑っていた
「あはは、どこの父親も言う事は同じだな」
幼い頃から帝王学を教え込まれていた
文明は人間管理を熟知していた。
「文明、やはりそうですか」
「ただ香港は色々な人種がいるので、
たとえばホテル場合は肉体労働は
給料の安い中国人、ルームメイクは
家のがまともで盗みをしない中国人女性、
レストランのシェフはフランス人
ドアボーイはインド人、フロントは香港人と
白人と使い分けをしている。
それぞれ、正月も違うから長期休養も違うんだ。
つまりボスの姿が見えなくても、
数人の管理者を見ていれば良い」
亮はアメリカでも人種によって仕事が
偏っているのを見て知っていて
日本の求人倍率の増加にも関わらず
完全失業率が下がっているのは
辛い職業を日本人が避けているのが
明らか思っていた。
「なるほど、適材適所じゃなくて
適人適所なんですね」
「ああ、世界にはたくさん優秀な人材が
いるのに言葉が通じないために
それを雇えない日本は損をしていると思う」
文明は日本の問題を指摘した。
「そうですね、日本語を話せない
外資系企業のトップが
日本人の気質を理解できないために
ちょっと業績が落ちると撤退することは
多々有るらしい」
亮が文明の言葉に同意すると
「うん、外資系企業が日本に来れば新しい
雇用がたくさん生み出されるはずだ
アジア戦略には日本は環境、
生活レベル共に高いからな」
「その通りです、お父さん」
文明は秀樹の意見に同意した
「お父さん?」
秀樹はいきなり日本語でお父さんと
言われて聞き返した。
「私はユニオンチャイナグループの
支社を日本に作るつもりです」
「おお、それはすばらしい」
秀樹と文明はがっちりと握手をした。
「まさか千沙子姉さんのためにじゃないだろうな」
二人を見ていた亮は呟いた。
亮は文明が亮にユニオンチャイナグループの
仕事をさせようとしていた事をいずれ話すつもりだった。
「亮、上に立つものは人を育てなければならない、
仕事を知らない者に仕事を教えなければならない、
才能の有る者に才能を発揮させなければならない。
がんばれ」
「はい、ところでやる気の無い人は
どうすればいいですか?」
亮は五島商事の窓際にいる優秀な
人材の事が気になっていた。
「やる気の無い奴にやる気にさせる、
これは子供を育てる親や学校の先生が考える事だ
給料をもらっている者にやる気の無い奴が
いたら辞めてもらうしかないだろう」
秀樹は経営者の立場から
当然のように言った。
「お父さんの言う事は分かりました。努力します」
「うん、がんばれ。ところで岩田観光の株を
中村君に買うように言われたんだが」
「はい、明後日からプラネット証券の
推奨株になります」
「どうしたんだ、あそこは不良債権をいっぱい
持っているぞ」
「明日、岩田観光がルーセント・
インターナショナルホテルズと提携して、
JOLホテルの買収に入ります」
亮は確認するように文明の顔を見た。
「ほう、そうだったのかそれなら株価が
上がるな、がんばれよ」
秀樹はそれ以上の話を聞かず亮の肩を
叩いて会議室を出て行った。
~~~~~~
「来た、きたぞ~」
亮の部屋で待機していたロビンがモニターを見て
声を上げた。
「麻実、これは?」
「一文字大介のメールファイルです」
「一文字大介、亮に指示された名前だなOK」
ロビンが興奮してキーボードを叩くと一文字の
メールデータが一瞬でダウンロードされた。
「すごい、ロビン」
「あはは、こんなの朝飯前だよ、いいか麻実
これから一文字がメールのやり取りをする
度にこのアドレスへ飛んでくる
必ずチェックするんだぞ、それから次に
USBメモリーを使った奴からもだ」
「はい」
麻実は亮にメールが来たことを報告した。
「なるほど、計画通りだ」
麻実から来た携帯メールを読んで亮は呟き
美咲に報告した。
~~~~~
亮と文明がルーセント・インターナショナルホテルズの
契約の話をしていると次々に会議室に人が入ってきた。
「今度の連中は亮の味方ではないんだよな」
文明が渋い顔をして言った
「ええ、見方は横山頭取と須賀さんと
内村社長だけです」
「じゃあ、金を目の前に吊るして交渉をするか、
WSOのロイも資金の用意をしていると言えば
奴らひっくり返るぞ」
文明は数多くの会社を買収してそれを
傘下にして行った交渉術に自信があった。
JOLの池森会長、大仁多社長、小金JOLホテルズ社長、
星野副社長、福森専務、要常務、常盤常務、
板橋弁護士、千川弁護士が亮たちの向かいに座った。
「今日はユニオンチャイナグループの劉文明氏が
融資の話を持ってきていただきました。
それに伴った再建案をいただきました」
再建案の書類を読んで、
池森会長は顔をほころばせて言った。
「バイオ燃料の会社ジェイバイオの
上場に伴う利益が1000億円、年間利益が100億円
燃料価格が3分の2、しかも週300便の
チャーターはすばらしい提案だ」
「しかし、今までの取引先の前面契約解除を
したら相手の会社がつぶれてしまうのでは?」
星野副社長が怪訝な顔をして聞いた。
「それは契約の解除ではなく見直しだ!
人のつぶれる話は問題じゃない
こっちが潰れるかの問題だろう」
再建の特別委員須賀が強く言った。
星野副社長が大人しくなると須賀が話した。
「JOLホテルズの話ですが、
岩田観光グループが買収の
話を持ってきました」
「それはすでにOホテルとの話が進んでいます」
小金が胸を張って言った。
「それはいくらですか?」
須賀が偉そうに言うのでどれくらいの
金額か聞いた
「50億円ほどで」
「50億円だって!なんでそんなに
安い値段で」




