一文字の策略
「ど、どうしました?」
直子は自分の下半身が熱くなるのを感じた。
「亮、やばいわよ。その体セクシーすぎる」
葉子が言うと亮が返した。
「どうしたの、みんな見慣れているじゃないですか」
「そうでもないわよ、みんな久しぶりに見るんだから」
「そうかなあ」
亮はそう言って黒のボクサーパンツに1枚になって
素肌にシャツを着ると智子が声を上げた
「キャー」
亮は驚いて慌ててカーテンの裏に隠れた。
「ど、どうしたの?」
「素肌にワイシャツたまらない」
智子が胸の前で両手を握って言った。
「そのもっこりおいしそう」
裕子がドライヤーを持ってそれを上に向けた。
「あ、ありがとう・・・どうも」
亮は何度も礼を言うとズボンをはいた。
「亮、危険手当足らないわ」
直子が声を上げた。
「えっ、どれくらい払えば・・・」
亮はドキドキして聞いた。
「体で払ってね。亮」
直子はニコニコ笑って答えた。
「は、はい」
「私、受付に行くわ。それから亮に言われた
小妹ちゃんと蓮華さん、桃華さんの
ドレスもそこに用意してあるからね」
美喜がバッグを手に持って部屋を出ると
「あっ、僕も行く」
亮は上着を着ると美喜について行った。
「みんな欲求不満なのよ。亮が相手にしないから」
「でも、仕事が忙しいし事務的にやりたくなし・・・」
亮が呟くと美喜は亮と腕を組んだ。
「亮、相手をして上げて、そうしないと
みんな離れていってしまうわよ、
せっかく出来た家族の絆なんだから」
「たしかにみんなが離れていくのは悲しい」
「女は、愛されている事を時々
確認していないと不安になるよ。
自分の存在価値無くなってしまうような
気がして」
「分かりました、美喜さんは?」
「私は、いつも傍にいるから大丈夫よ」
亮はその時ジェニファーに自分の子供が
アメリカにいると言われた事を思い出した。
「美喜さん実は・・・」
亮はジェニファーに聞いた事を話した。
「本当?」
美喜は足を止めた。
「うふふ、絢香ちゃんにお兄ちゃんが
いるんだ。いいわね」
「そういう事じゃなくて」
「亮、子供は母親の所にいるべきよ、
絢香のお兄ちゃんを助けてあげて」
「了解です、では僕はロビンのところへ行きます」
「はい、私もみんなとお客様をお迎えします」
~~~~~~
亮がロビンの部屋のドアを開けると美佐江いた
「あっ、美佐江姉さん」
「ああ、亮。千沙子の見立て通り
ロビンにぴったりだったわ」
「どうだ、亮、ホテルのレンタルにしては
なかなか良いスーツだ」
ロビンは亮の前でターンをして見せた
「似合っているよ、ロビン」
亮は千沙子がいないのを不思議に思って
いるのを気がついた美佐江は
「ああ、千沙子はお友達が来たので
立ち寄って来るわ」
「そう、友達か・・・」
亮は義信と徹の誘拐の話を知ったので
千沙子の事が心配だった。
「亮、美佐江さんって独身か?」
ロビンが亮の耳元で囁いた。
「うん、独身だよ」
「付き合っている男は?」
「知る限りではいない」
「あはは、そうか、そうか」
ロビンが亮の肩を叩くと亮は不機嫌に答えた。
「まさか姉さんに・・・」
「だめか?俺は年上が好きなんだ」
「いや、まじめに考えてくれればいいけど
それに年上じゃないと思う姉さんは32歳だから
ロビンより年下だ」
「もちろん大真面目だ!信じてくれ。
あんな淑やかな女性生まれて初めて会った」
「ただ、姉さんがコンピューター
オタクが好みならだけどね」
亮は笑って答えた。
「亮、高田と本田をつけた蓮華と
桃華から連絡があったわ」
小妹から電話があった。
「どうした?」
「高田義信は六本木の一文字の事務所、
本田徹はなんと目黒のマンションに
入って行ったわ」
「目黒?」
「表札に日坂と書いてあるそうよ」
「日坂のマンション?!・・・了解」
亮は徹が日坂の遺族と関係が有ると知って驚いた、
そして千沙子に何も無い事が分かってホッとした
「蓮華と桃華に汐留のCホテルに来てパーティに出るよ
うに伝えてくれ、小妹も」
「私たち出席していいの?」
「もちろん、美咲さんの部下が両方に
張り込んでいるはずだから
離れてもいい。三人の服はホテルに用意してある」
「あ、ありがとう」
小妹は亮の優しさに感謝した
「礼は美喜さんに言って」
亮は小妹の電話を切ると美咲に電話をかけた。
「美咲さん、高田義信は六本木の
一文字の事務所に本田徹は
目黒の日坂のマンションに入ったそうです」
「日坂のマンションに徹が!」
「ええ、僕も驚きました」
「わかった、張り込んでいる捜査員に
出てきた男を尾行するように伝えるわ
でもどうして分かったの?」
「話すと長いので後ほど」
「了解、じゃあ後でね」
美咲は少女のような嬉しそうな
声を上げて返事をした。
~~~~~~
六本木の一文字のマンションでは
一文字と高田が話をしていた。
「それで、どうなった?」
一文字は高田に聞いた。
「はい、美宝堂の見取り図を描きました。
これを中国の窃盗団に渡すつもりです」
高田は一文字に見取り図を見せた。
「なるほど、美宝堂ならショーケース1つで億だな」
「はい、美宝堂の信用に傷をつけられると思います。
美宝堂に来ている客の質は最高ですからね」
「ああ、あの会社の創業以来の
顧客は日本の名の有る人ばかりだ」
「そう思うとますます美宝堂に腹が立ちます」
「そうか、義信の順風満帆の人生も
あいつらに壊された訳だからな」
「はい、父親も罠にはまってJP通販を
辞めさせられました。そして川野さんも
DUN製薬を首になった」
高田義信は自分たちの現状はすべて
他人のせいにしていた。
「ところでお父さんは今何の仕事を?」
一文字は義信の父親の信夫の事が気になっていた
「はい、電子部品をアメリカやシンガポールに
輸出をしていてかなり儲かっています」
「それはよかった、電子部品は
台湾か韓国だと思っていたが」
「それが大田区の町工場の親父が
持っていた電流のパルスを安定させる
特許商品で大型コンピューターや
GPS用に作っています」
「なるほど、さすがおやじさんだ」
一文字はGPSの部品と聞いてCCOM違反の
商品イメージが頭をよぎった。
「それで、美宝堂に泥棒に入って
ダメージを与えたところに
娘の誘拐を考えています」
「誘拐?」
「はい、誘拐ビジネスをしている
組織に詳しい情報を流して
美宝堂の娘たちを誘拐させようと思います。
もちろん金を出す、出さないは父親の
気持ちしだいですけど」
「なるほど泥棒も誘拐も我々は一切、
手を汚さないという訳だな」
「はい」
「その誘拐団と連絡は?」
「父の知人でそういう組織に
ルートがある人がいます」
「わかった、任せる」
一文字は警察組織の接触を計り
自分安全は確保できている確信はあった。




