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本田と高田

「いらっしゃいませ」

亮が笑顔でおじぎをすると女性は会釈をした。

「お客さま、そのバックは内ポケットが

あって使いやすいですよ、

でも底の部分の皮が柔らかくて

伸びやすく型崩れしやすいんです」


「そうなんですか?」

女性は店員が自分の売っている商品の

欠点を言うのが不思議だった。

「はい、似た形でこちらの方がよろしいかと」

亮は別のブラウンのバッグを手に持って渡した。


「でも・・・」

「色が気に入らないんですよね」

「はい、いつも黒い物が多いので」

「確かに黒はどんな時にでも

持てそうな気がするでしょうけど

黒い色は頑固で他人との交流を拒む色なので

出会いが遠のいてしまいます」


「うふふ、面白い事を言う方ね。

私が出会いを求めていると言うの?」

「はい、色の好みはその時の精神状態を

表しています」

「じゃあ、私は何色がいいのかしら?」


「心を穏やかにするブラウンか、燃える思いを

抑えたピンクがいいのではないでしょうか、

そしてお買い物後に生クリームがたっぷりの

ケーキをなどいかがですか?」


「えっ?ケーキ?」

「いいえ、冗談です。

でもケーキは心を穏やかにします」

「そうね、たまにはケーキ食べようかしら」

女性はブラウンとピンクのバッグを買った


「お客様、当店のサービスでル・フルールの

ダージリンファースト・フラッシュとケーキ

をお楽しみください」

「えっ、本当ですか」

「はい」

亮は深く頭を下げて女性客を見送った。


その女性顔には満面の笑みが浮かんでいた。

「遅くなりました」

亮は2階奥の事務所に入ると

「遅かったね、亮」

美佐江と小妹が亮を睨んだ。


「すみません」

亮が謝ると美佐江はPCのモニターを見せた

「このPCで防犯カメラの映像が

見られるからチェックして」

「了解」

亮はおにぎりとお茶をテーブルに置いた。


「亮、お昼食べていなかったの?」

「うん、食べ損なった。けっこう忙しい」

亮はおにぎりを口に咥えると脇に座った

小妹と50以上ある監視カメラの映像の

チェックを始めた。


「亮、この映像チェックしていた

何時間かかるか分からないよ」

「大丈夫」

亮は映像をモニターに同時に

8つ出して早送りをした。

「亮、それで大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ」


亮は10分ほどで全部の映像を見終えた。

「大変だ!」


亮はそう言って美咲に電話をかけた。

「美咲さん、忙しいところすみません」

「どうしたの?」

「本田徹は今どうしていますか?」

「ちょっと待って」


電話の向こうでキーボードを押す音がすると

「恐喝事件で逮捕された後

訴えた内村久美子さん、石橋琴乃さん、

美也子さんには全額返金して

懲役1年執行猶予3年の判決が下りたわ」


「そうですか、やっぱり」

「どうしたの?」

「その本田徹が美宝堂の店内を歩いていました」

「なるほど、偶然にしちゃ出来すぎね」

「ええ、その話は後で」

「わかったわ」


「それと落合さんの件ありがとうございました、

お陰で上手く行きました」

「良かったわね」

「それで今夜パーティに来るそうです」

「そう」

美咲は落合に2度と会いたくなかったが

亮の為に落合に頼み事をしたので

仕方ないと思っていた。


「すみません、美咲さん僕のために」

亮は元気の無い美咲の返事を察して謝った。

「別に、気にしないで昔の話だから」

美咲は逆に亮を気遣った。


「亮どうしたの?」

小妹が亮の顔を覗き込んだ。

「うん、昔トラブルが有った男だ」

「何があったの?」

小妹がしつこく聞くと美佐江も近づいて

興味深そうに亮の顔を見た


「分かったよ、話すよ」

亮は大学時代秋山良子を徹に寝取られた事

徹がホスト時代女性達との関係している所を

隠し撮りしてそれをネタに恐喝していていた事、

それを亮たちが調べて

徹が警察に捕まった事を話した。


「なるほど、あなたが秋山さんと別れた

理由そうだったの、うふふ」

美佐江はその頃の事を思い出して笑っていた。


「じゃあ、もし亮が徹を警察に売った事を

知ったら相当恨むでしょうね」

小妹が言うと亮はホストクラブで

アルバイトした時を思い出して言った


「そうだね、あいつはそういう男だよ」

「ずいぶん詳しいわね」

「元同僚だから」

「それ、どういう意味?」

「あはは、内緒」

亮がそう言いながら電話で

話をしている徹の口元を見た


「小妹、今から唇を読むからメモをしてくれ」

亮が小妹に指示をすると

「私がメモを取るわ」

美佐江は日本語をまだ上手く書けない

小妹からノートとペンを受け取った

「いいわよ」

美佐江が言うと亮が読唇をした。


「2階はどうですか?・・・5階の売り場

責任者を狙っているんですが出てこ

なくて・・・分かりました・・・

2階のロイヤルカフェですね。

姉さん以上です」


美宝堂2階には喫茶室ロイヤルカフェが

窓際に有った。

「はい」

「と言う事は話し相手が

2階に居ると言う事ですね」

亮は同じ時刻の2階の映像を映し出した。


「電話している人は一人・・・

相手はこの男高田義信ですね」

亮がモニターを指差した

「じゃあ、二人が繋がっているわけ?」

小妹が亮に聞くと亮は答えた。


「そのようですね。そうなると

行き着くところは一つ」

「この男たち何をするつもりかしら?」

美佐江は最悪の事を考えていた。


「小妹君は顔を知られていない、

ロイヤルカフェにすぐに行ってくれ。

 それと蓮華、桃華と合流」

「OK」

小妹は事務所を飛び出して行った。


「姉さん、奴らの目的は美宝堂を

潰すつもりかもしれません」

「どうやって?」

「今の美宝堂は姉さんたちで持っている、

2階と5階という事は美佐江

姉さんと千沙子姉さんを

狙っているかもしれない、

気をつけてください」


「大丈夫よ」

気丈に言った美佐江だったが

亮は姉たちに対して

義信と徹が何をするか心配だった。


そこに千沙子が入ってきた

「どうしたの?亮」

「ああ千沙子姉さん、さっき高田義信が

店内に入ってきました」


「高田って、あのいけ好かない男か」

「はい、それにもう一人」

亮が徹の名前を言うとすると


「うちでネクタイを買ったホストみたいな

客がたまたま居合わせた玲奈さんを

うちの店員と勘違いして

しつこくデートに誘っていたの」


「まさか、こいつじゃないの?」

亮が徹の顔をモニターに映し指さした。

「ああ、こいつかも知れない、うちの

ネクタイの袋を持っているから」

「こいつが・・・」


「亮の元カノの秋山さんを寝取った男だって」

美佐江が亮の言おうとした事を

さえぎるように言うと

千沙子は大声で笑った。


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