免許
町田は次期主席と言われている
劉翔記が気になって亮に聞いた。
「ええ、まあ」
「それはすばらしい人脈ですね」
「ありがとうございます」
亮が頭を下げると長谷川と町田は
二人で小さな声で相談をした。
「團亮さんを資格者とみなす事にしました。
責任ある代表者として経営に邁進していただける事を
望みます、書類を持ち帰っていただきますので
ここで少々お待ちください」
長谷川と町田は立ち上がって部屋を出て行った。
「上手く行ってよかったな」
落合が亮の肩を叩いた
「落合さんのお力で上手く行きました。
ありがとうございます」
「いや、それより團、君は凄いキャリアだな」
「いいえ」
「それで本当にあの会社が
株主になってくれたのか?」
「はい、おかげさまで」
「うーん」
落合は腕を組んだ。
「何か?」
亮が聞くと落合は
「28歳で証券会社の社長か、
凄すぎる・・・まあがんばってくれ」
「それでお礼をしたいんですけど」
「国家公務員だからお礼と言われても困るし、
今度プライベートで飲みに行く時
おごってくれればいい、
さっきの同期の長谷川と一緒にな」
「今夜は会社設立パーティがあるので・・・そうだ
落合さん銀座のクラブ蝶をご存知ですか?」
「うん、聞いた事が有るが高くて行けるわけ
無いだろう」
「そこでママかチーママの美也子さんに
僕の名前を言ったら分かるようにして
おきますので飲みに行ってください」
「そうか、わかった。
長谷川にはすぐに礼をした方がいいからな、
今夜にでも誘ってみるよ。
ところでパーティは何処であるんだ?」
「汐留のCホテルで7時からです」
「そうか顔を出してみようかなそのパーティ。
美咲が来るんだろう」
落合は亮と美咲の関係を羨んでいた。
「はい」
亮が答えると落合は
「そう言えば團、美咲と付き合っているのか?」
「いいえ、たまたま友人の飲み会で再会して
時々連絡をしているだけです」
「それだけか?」
落合は亮の資格者の件で頼んできた美咲が
亮に気が有るように思えて仕方なかった。
そこへ若い男が入ってきて書類一式を亮に渡した。
亮は長谷川に挨拶しようと思っていたが
何か拍子抜けをした。
「團、役所はこんなもんだ。
キャリアは一切雑用はしない」
「落合さんもですか?」
「ああ、一般採用とは身分が違うからな、
それから9月の移動で財務省本省へ行く」
落合は嬉しそうに笑った。
「もう、本省に行かれるんですか?凄いですね」
「うん、主計局目指すぞ」
「がんばってください応援します。
と言っても僕は税金を払うだけですけどね」
「いや、それが一番だよ。
国は税金で動いているんだから、
法人税がドンドン入ってくれば
国の財政赤字はなくなる」
「その為には企業が儲からなくては
いけませんね」
「ああ、その為には財務、金融、
経済産業省が協力して日本の企業を
育てなくてはいけないんだが」
亮は真剣に話す落合が頼もしく思えた。
「落合さん、今夜僕の友人を紹介します」
「あはは、まさか五島商事の社長とか
いなほ銀行の頭取じゃないだろうな、
それより若くて綺麗な女性がいい」
落合は冗談を言っていた。
「はい、分かりました。お待ちしています」
亮は許可が下りた事に嬉しくなって急いで
2時に会社に戻った。
「中村さん金融庁から免許がおりました」
「本当ですか亮さん」
「はい、すぐに行政書士さんに頼んでください」
「私がやります、行政書士の資格を持っていますから」
「ああ、そうでしたね。ではお願いします」
亮は書類を両手に持って
頭を下げて和美に渡した。
「かしこまりました、それと6階で朝から
社員の面接をしています」
和美はそう言ってすぐに自分のデスクに
戻り作業を始めた。
~~~~~~
亮が6階に降りると面接室から人が出てきた。
その女性は亮と目を合わせると
軽く会釈をして隣の部屋に入った
亮は面接室をノックして入ると
友子と西と二人の男が座っていた。
「こんにちは」
亮が言うと40歳近い二人の男が亮をにらみつけた
「大塚さん、田端さん、團さんです」
二人はそれを聞いて慌てて立ち上がって
亮におじぎをした。
「元野田証券の大塚です、よろしくお願いします」
「同じく田端です、よろしくお願いします」
「團亮です。よろしくお願いします」
亮はにっこりと笑って友子に言った。
「小村さん、免許が下りました」
「きゃ!」
友子は声を上げると亮の手を握った。
「それで申請人は?」
「僕です」
「じゃあ、亮、いいえ團さんが社長ね」
「はい」
西が亮に握手を求めると亮は二人に言った。
「西さん、小村さんさっそくですがプラネット証券の
の取締役になってください。大塚さんと田端さんは
経歴書を確認してポジションを決めます」
「よろしくお願いします」
亮が言うと西と小村は驚いて返事をした。
「私が?」
「はい」
「わお!がんばります」
「小村さんの実績は僕の認めるところです。
条件については後でゆっくり」
亮は西を取締役にしたのは一文字を
裏切ったのは処遇に不満が有ったからだと
小村友子に説明したかった。
「はい、分かっています」
西は友子と大塚と田畑と握手をした。
「そうだ、今出て行った女性を雇ってください」
「なぜですか?」
大塚が椿幸江の履歴書を見て
退職予定である事を確認した。
「今朝、電車で席を老人に譲っていました」
「はあ」
大塚は亮は相当なわがままな人間だと思った。
亮はすぐに立ちあがり前を歩く女性を止めた。
「椿幸江さん、ぜひうちの会社に来てください」
「はい?」
「今朝女性に席を譲りましたよね。永田町で」
「は、はい・・・」
「証券会社はお年寄りのお金を預かるんです
その気持ち大切です」
「は、はい」
亮のパワーに椿幸江は一歩引いていた。
「分かりました、椿幸江さんを雇います」
西が友子と顔を見合わせて言った。
大塚と田畑が不満そうな顔をしていると
友子と西が笑っていた。
事務所に戻った友子が頭を下げた。
「連絡が遅くなって申し訳ありません。
社長に朝からお客さんが来ていました」
友子が頭を下げた。
「はい?」
「ロビン・ハイドさんです」
「何処にいます?」
「コンピュータールームにいます」
「了解」
亮は慌てて部屋を出て行った。
~~~~~~
「小村さん、電車で席を譲った
くらいで人を雇うんですか?」
大塚が亮の横暴さに怒って言った。
「大塚さん、社長は昨日の敵を味方にしてしまう
不思議な力を持っている人なの信じてあげて」
そう言って優しく微笑むと西はうなずいた。
~~~~~~
亮は業者がケーブル工事中の
コンピュータールームに入ると
「ロビン!」
亮はロビンを見つけて名前を呼んだ。
「おお、亮」
二人はしっかりと抱き合った。




