受験の結果
暗鬼のしきたりを知っている亮は納得した。
「千野が死んで一文字は痛手ね」
雪は千野が死んで一文字と指定暴力団松川組との
関係が切れてホッとして言った。
「亮、千野が死んで雪さんは安全になったわね」
小妹は亮に言った。
「いや、千野と言う裏切り者がいなくなった分
一文字はどんな事でも出来る。それに松川組の
本部と仕事をするかもしれない」
「そうか」
みんながうなずいた。
「大きな事件を起こしたり、人を殺ししたりして
大きなお金を得る事を
覚えた一文字は又やるかも」
「そうね、自分のためならなんでも
する一文字は恐いわ」
一恵はニューヨークで殺されそうになった
事を思い出して体を震わせた
~~~~~
「一文字さんですか?徹です」
一文字に徹から電話がかかって来ると
ゆかりとベッドで裸で寝ていた
一文字が不機嫌そうに答えた
「うん」
「夜分すみません、千野さんが
今日帰ると言っていたんですが
連絡が取れないので電話をしました」
「ああ、今日の朝の飛行機に乗っていないんだ」
「そうですか、これから俺はどうしたらいいですか?
日坂の妻娘を抱えちゃっているんで」
「ああ、そうだな礼もしなきゃいかんし
色々頼みたい事がある明日の夜会おう」
「そうっスか、ありがとうございます」
一文字は徹が日坂の妻と娘を唆
して日坂を自殺に追いやった
事をネタに自分を脅してくるのではないかと
不安に思い徹に会って話がしたかった。
一文字は電話を切るとフィラデルフィアに
電話をかけた
「一文字です」
「やあ、香港はどうだった?」
「ええ、かなり儲かりました」
「うん、NELから貸し出した
5億ドルは戻ってきたし
利子もしっかりとつけて
くれて私も教団にも鼻が高い」
「はい、おかげさまで」
「それで?」
「実は松川組の千野が香港で
行方不明になってしまいました」
「なんだって!」
当日まで密かに千野と連絡を取り合っていた
のに寝耳に水の話だった。
「香港空港で出国手続きを終えた後、
買い物をするのに別れて」
「それは変だな、それで何か
持ち逃げされたとか?」
「いいえ、何もありません」
「そうか私も紹介した責任があるので
香港の知人を介して探してみよう」
「お願いします、私も香港警察に
問い合わせしてみます」
「うん」
~~~~~
翌朝、亮は飯田橋の家から神楽坂を
下り外堀を抜け坂を上がり
遊歩道を市ヶ谷方面へ向かって走った。
夏の朝のそこは多くの人のジョギングの
場所で時々軽く頭を下げる人がいた。
「平和だな」
亮は立ち止まり、外堀沿いに走る
中央線を眺めていた
「そうだね」
小妹が亮の後ろに立っていた
「なんだ、寝てりゃいいのに
睡眠不足は成長を妨げる」
「なんだよ、もうこれ以上成長しなくていいよ」
「うーん、もう少し胸があるといいなあ」
「マギーみたいに?」
「うん、まあ」
亮はそう言いながら顔を曇らせた。
「でも見た目より大きくて形はいいよ、見る?」
「いや、いらない。小妹後で海に行こうか?」
「どうしたの?突然、私のビキニ見たいの?」
「とんでもない、統領がマギーの冥福を
海に向かって祈れって言っていたから」
「そうね、祈りに行こう」
小妹はそう言いながら、9月から自分の
行く四谷の大学を眺めていた。
「小妹楽しみか大学」
「うん、友達をいっぱい作るんだ」
「それがいい。いつまでも裏の世界
を歩いていたら寂しい思いをするだけだ」
「それってパパに言われたの?」
「いや、僕の本心だ」
「そう、でも私は亮の事を護るよ」
「いや、僕が小妹を護るよ」
「それってプロポーズ?」
小妹が亮の腕に抱きついた
「ちがう!」
亮は小妹の頭を撫でると
「でも初体験は亮がいい」
「えっ、小妹ってまだ?」
亮がそう言うと亮をけ飛ばした。
「何度言えば分かるのよ、
まだだって言っているじゃない」
小妹は今度は亮の股間を蹴り上げた
「な、何するんだよ、小妹」
「何のためにそのチ○コつけているの、
女を喜ばすためでしょう
女を幸せにするためでしょう」
小妹は何回も亮を蹴った
「このエロ男!」
亮は小妹の両手を押さえ強く
抱きしめて耳元で囁いた
「小妹は僕のかわいい妹だ」
そう言われた小妹の力が抜け亮の
腕の中でおとなしくなった。
そんな抱き合っている二人を何人もの
人が不思議な顔をして通りすぎて
行くと
「確かに胸大きいな」
亮は小妹が押し付けてくる胸のフカフカ感を
感じ取って取っていた。
「うふふ、Dカップだよ」
小妹は笑って胸を突き出した
~~~~~
亮は国家公務員試験を受けに
警察庁へ入った。
周りにいる学生風の男女は若く
緊張していて、28歳の亮はそれを見ていると
冷たい目で見返されて首をすくめていた。
4教科を受け終わった亮は美咲のところへ行った。
「どうだった?」
「大丈夫です。全問出来ました」
「この後、二次試験の論文と面接が有って
採用になるのよ」
「良いけど、僕は採用になるんですかね」
「良いのよ、1次試験が合格してくれれば警部補、
その後すぐに警部になれるから、部下を使える」
「そんなにか階級が必要なんですか?」
「うん、ジェームズ・ボンドも海軍中佐、
アメリカ大統領も軍の最高司令官なんだから」
「そうですね、僕の為に一人落ちてしまうのが
気の毒で・・・」
「ううん、新卒のぺーぺーより亮の方が
役に立つからいいのよ」
「まあ、一応それなりに」
「じゃあ、事件の話しましょう」
「はい」
「日坂が死んだ話なんだけど」
美咲が資料を亮に見せた。
「これ殺しですね」
「えっ?」
「留置場では自殺を防ぐ為にトレーナの上下
で首つりの紐が作れないように、そして吊るせる場所
が無いんです。呑み込みの自殺をしないように
トイレットペーパーも尻が拭ける程度の長さ
しか渡さないんです」
「そうか」
「それで尻拭き用のトイレットペーパーを
飲み込んで苦しんだら同室の人間が気付きます。
何せ窒息は苦しいですからね」
「つまり、同室の人間が気付いていたという訳」
「おそらく」
そこには同室の人間五人の事情聴取が有った。
日坂が自殺した前日、銀座で集団で喧嘩が
あり五人が留置され、万引き、恐喝などでさらに
五人が留置され日坂と同室に三人入って来た。
「じゃあ、この三人が自殺をほう助した訳?」
「はい、可能性があります。それと夕方弁護士と
面会しています」
「その時に何か言われたのかしら?」
「はい、家族の伝言を伝えたのだと思います
死ねと」
「そうか、でも弁護士は守秘義務でそれは
言わないでしょうね」
「はい、遺族を調べたいですね。今後の一文字との
接触を監視した方が良いかもしれません」
「わかった、手配します」
「じゃあ、夜まで仕事しますので帰る時
連絡をください」




