千野の死
亮は自分でも誰にお土産を
買っていいか悩んでいた
亮たち四人がお店を見て歩いていると
「亮!」
小妹が亮に声をかけた
「小妹」
一恵が驚きの声を上げた
「仕事が終わったので私たちも同じ便で帰るわ」
蓮華と桃華が小妹の脇に立って笑っていた。
小妹三人の肩越しに見える喫煙室では
何事も無かったように数人の男がタバコを吸っていた。
「そう言えばアイザックの方
はどうなったのかしら?」
小妹がロシアマフィアのその後の
様子を知りたかった
「あっ、しまった」
亮はそう言ってナターシャに電話をかけた。
「ナターシャごめん、そっちへ行けなかった」
「ううん、いいの」
「そう」
亮はナターシャのあっさりした。
返事に拍子抜けすると
「あさって、アイザックと日本に行く事になったの」
ナターシャは嬉しそうに言った。
「何の用で?」
「亮に会いに行くのよ」
「僕に?」
「ええ、アイザックが石油の話が決まった
から亮と話がしたいんだって」
「分かりました、お待ちしています」
亮は電話を切るとため息をついた。
「小妹、アイザックが朝って日本に来るそうだ
休む間が無い」
「ううん、忙しいほうが楽しいわ」
小妹がそう言って亮にメモリーを渡した
「何これ?」
「千野の携帯のアドレス、
蓮華がボディガードに付いた時
コピーしておいたの」
小妹は携帯を盗み取ったとは言わなかった
「そうありがとう、これで黒幕がはっきりする」
~~~~~~
亮が飛行機に乗りビジネスクラスの席の前に立って
荷物を棚に載せていると細川珠美が声をかけた。
「お帰りなさい、團さま」
「ああ、細川さん」
「まさかお帰りも会えるとは思いませんでした、
父がよろしくと言っていました」
「お父さんと話をしたんですね」
「はい」
珠美はニコニコして亮の顔を見て
「お帰りは先日と違う女性なんですね」
珠美は亮の耳元で囁いた。
「ええ、彼女は香港にずっといる事になって・・・」
亮はマギーの事を思い出して顔を曇らせた。
「そうですか」
亮の悲しみを知らない珠美は笑顔で
他の乗客のところへ行った。
「三人とのデートの件忘れないで」
「はい、覚えていますよ。連絡します」
まもなく飛行機が離陸し
亮は亮の脇に座っている一恵に聞いた
「一恵さん、事務所の方はどうなりましたか?」
「はいもう出来上がっています、
上原さんが突貫で作ってくれました
新宿マッスルカーブの方も内装が終わりましたので、
マシンの搬入待ちです」
「ありがとうございます、それで一恵さん
これから僕の夢を実現させる為に
手伝ってくれますか?」
亮はノートパソコンを開いて一恵に見せた。
それを見た一恵は驚きの声を上げた
「こんな事出来るんですか?」
「はい」
一恵は亮の計画書を見ながら涙を流し始めた
「分かりました、お手伝いします」
一恵は感激して亮の手を握った。
「ああ、亮が一恵さんを泣かしている」
亮を見ていた小妹が蓮華に囁いた
「本当、後で理由聞かなくちゃね小妹」
「うん」
小妹は亮が一恵を苛めているわけではなく
亮という男の魅力に感激して泣いている
事を知っていた。
亮は一恵の涙に慌ててハンカチをポケットから取り出し
一恵の涙を拭いていると、小妹は笑って亮の顔を見ていた。
一恵の気が高ぶった理由は計画書の中に一人一人の
ポジションと仕事内容が書いてありその中に
マギーの名が有ったからだった。
「あっマギーの名前を消していなかった」
亮はパソコンの計画書を見て気付いて言った。
「そうですね」
「なんかマギーがまだ生きているような
気がしてならないんです」
「ええ、私も」
~~~~~
夜8時過ぎに成田空港に着くと美咲が待っていた。
「お帰り、亮」
「ただいま、美咲さん」
「電話で話せない事があるって
聞いていたので迎えに来たわ」
「ありがとうございます」
亮は雪をタクシーで帰らせた。
亮は小妹たちと飯田橋の家で合流する約束をして
亮と美咲と雪と三人で車に乗った。
亮が運転する車の中で雪は死んだ夫
有森剛に頼まれ警視庁内部の
情報を取っているうちに偶然に警視庁幹部の
裏金を発見した事を話した。
「そうだったの・・・」
美咲はどう言っていいか困っていた。
それは警察庁内部にも裏金が流れている
可能性があったからでたとえ自分の父親も
関係していないとは言い切れなかったからだった
「でも、これを許すわけには行かないわ」
「そうですね、美咲さんお父さんの
名前はリストにありませんでした」
「そう、良かった」
美咲は胸を撫で下ろした。
「タイミングを見てお父さんと話をしましょう」
亮は美咲に話すとバックミラーで雪の様子を確認した
「雪さん、今夜はゆっくり休んで
明日警察行って旦那さんの遺体を
引き取りましょう」
「はい」
雪が返事をすると美咲は
「有森剛さんの司法解剖はFBIも立ち会って
ケチをつけたりして大変だったようよ、
だから遺体を引き取るのが明日のはず」
「美咲さん、雪さんが聴取を受けるのは
旦那さんの件ですよね」
「ええ、私が言うのは変だけど雪さんが
警視庁の情報を旦那さんを通して
FBIに情報を流していた事を表ざたにすると
裏金の件が表ざたになってしまう
だから黙っていたほうがいいわ」
「分かりました」
雪はうなずいた。
亮は雪が学生時代からずっと一文字の愛人
だった事は複雑になるので話すことをやめた。
「これからは打ち合わせは私の家か、
亮の家がいいわね」
美咲は盗聴を恐れていた。
「はい、それはその都度」
「とりあえず明日の夜、父と話をしましょう。
雪さんも一緒に」
「亮の後ろに尾行車両が付いているわよ」
タクシーで後方を走っていた小妹から電話があった、
亮は直ぐにスピーカーに切り替えると
「えっ?」
亮は後ろから来る黒い車を目認した
「ナンバーが品川300し42-42よ」
小妹が言うと
「小妹それは偽ナンバーだ」
亮が直ぐに答えた
「えっ?どうして?」
「日本の車のナンバープレートには
(お、し、へ、ん)は無いんだ」
「どうするの?」
「とりあえず逃げるぞ」
亮は携帯の電話を切り車のスピード落として
高速道路の真ん中の車線から
左の車線に移動した。
「あら、逃げるんじゃないの?」
美咲が聞いた。
「その前に後ろの車が本当に追けて
いるかどうか確認する?」
「あっそうか、追跡をしていないなら
ワザワザ減速をする訳がないか」
雪は亮の言う事に納得した
「1.2.3.ほら来た」
亮は追尾車両を確認をすると一挙に
右端の追い越し車線に移動した。




