マギーの死
亮はマギーと最後の別れが出来なかった事が
納得できなかった
「暗鬼には墓は無い、任務の途中どこの地で
死んでも誰も葬ってはくれない。
仲間が何処からでも祈れるように
海に沈めるんだ」
「そうですか」
「亮も海に向かってマギーの冥福を
祈ってやってくれ」
「分かりました」
亮は肩を落として返事をした。
「昨日、張と張の部下が我々の
仲間になった。しばらく島で訓練を受けて
世界の暗鬼としてどこかに散っていくだろう」
「良かったですね」
「張は生まれて初めて負けた男が
お前だそうだ。また会いたがっていたぞ」
趙剛は張を倒した亮がとても頼もしく思った
「はいありがとうございました。
昨日のみんなにもお礼を伝えてください」
「わかった、奴らは出航までしっかり守っている」
「はい」
亮は暗鬼の仲間を心強く思いながら
小妹達を探して周りを見渡した。
「亮、小妹と蓮華と桃華はこっちの用が
済んだら日本に戻る」
「はい」
亮は頭を下げて趙剛の屋敷を出た。
~~~~~~
その頃、一文字と千野は香港空港で
チェックインを終えた。
「会長、無事に荷物が通りましたね」
「うん、密輸用のキャリーケースは
良く出来ているな」
「はい」
「千野、日本に戻ったらこのダイヤを配るぞ」
「わかりました」
千野は松川組と282億円の現金が
日本に着いてから一文字を殺害して
盗み取る事で話がついていた。
「私は出発まで買い物をするが千田君は?」
一文字は多くのブランドショップがある空港で
お土産を買う事を考えていた。
「じゃあ、俺はそこらを回ってラウンジで
タバコを吸っています」
「うん、じゃあ機内で会おう」
「はい」
~~~~~~
ミニのタイトスカートをはいたグラマーな
女は空港の中のブランドショップを
歩き回りトイレに入ってブラジャーをはずし
胸をさらけ出すとブラからワイヤーを
抜いてバックの中に入れた。
小妹は航空チケット持ってチェックイン後の
千野の後をつけていた。
「ああ千野です、今から香港を出ますので
日本に15時10分に着きます」
「分かった、今回上手く行ったら
ストレートホールディングスを乗っ取り
私がコントロールするようになれば約束通り
一葉学園の学生はお前の自由だ」
「はい」
千野は一葉学園の美人女子大生に
手を出し放題の一文字がうらやましく
今まで二重スパイで情報を流し続けていた。
千野はニヤニヤと笑って電話を切って
上着のポケットにスマフォを入れた。
「小妹、千野と同じスマフォを持ってきたわ」
蓮華がスマフォを持ってきて化粧品の
棚に隠れて小妹に渡した。
「ありがとう、蓮華」
小妹がそう言って千野の方に目をやると
「千野さん」
桃華が千野に声をかけた。
「おお、桃華仕事か?」
「そう、仕事、仕事。今日から
別な人ガードするね」
桃華はわざと片言の日本語で話した。
「千野さんお土産買う?」
「うん、彼女にでも香水でも買って行くか」
「じゃあ私選んであげる」
桃華が千野に体を押し付けると
千野は満更でもなさそうな顔をしていると
そこに小妹がぶつかって手に持っている
チョコレートを落とした。
「あっ、春麗さん」
千野が落ちたチョコレートを拾うと
その隙に小妹は千野の上着に手を突っ込み
持っていたスマフォと交換をした。
「春麗さん、どうして?」
「私は日本に帰るんです。大学生なので」
「ああ、留学生だったんですね」
千野が上着のポケットに違和感を感じていたが
小妹との会話でスマフォの違和感を忘れていた。
自分の勘違いだと思った千野は
気にも留めず携帯をポケットに戻した。
その場を離れた小妹は蓮華と
ゲートの側のベンチに座った
「アドレスデータをメモリーに移し変えて
千野のところへ戻さなくちゃ」
蓮華が小妹をせかすと小妹が首を振った。
「大丈夫、戻さなくていいわ。最後のミッションよ」
買い物を終えた千野はラウンジには
行かず近くの近くの喫煙室に入って
椅子に深く座りタバコに火をつけ
気持ちよさそうに煙を吐いた
「すみません、タバコの火を貸してください」
女が千野に話しかけると
「ああ、いいですよ」
女は立ったまま腰を曲げてタバコを
口にくわえたまま
千野に顔を近づけた。
千野は火をつけながら女の胸に
谷間を覗き込んだ
「うっ」
突然、千野が声を上げるとぐったりして
頭を椅子にもたれた。
千野の左胸から細い針金が女の手の中に
巻き取られ
女は黙って喫煙室から出て行った。
~~~~~~
亮は小妹の父親趙建徳の所に
美喜と行って注文したダイヤを受けとった。
「亮、ずいぶん忙しかったな。春麗に聞いたよ」
「はい、さすが疲れました」
「今度香港に来る時はゆっくりと遊びに来てくれ」
「はい、それと頼んでおいた物は?」
「ああ、翡翠だな」
建徳は袋に入れた翡翠のブレスレッドを亮に渡した
「ありがとうございます、おいくらですか?」
「18万香港ドルだ」
亮は袋の中身を見ながら健徳に聞いた
「良いんですか?透明度が高く緑色が
濃くてとてもいい物に見えますが」
「じゃあただで上げよう」
「それは困ります」
「ただで物を貰うのは嫌だろう」
「はい、ただで貰う理由がありませんから」
「そうだ、ただ私が君に安く宝石を売るのは
君に価値があるからだ
もしも君が価値の無い男なら価値の無い
翡翠をただで上げていた」
「ありがとうございます」
亮は健徳の言っている意味が良く分かって
感謝をこめて礼を言った。
「後で日本に方にプレゼントを送って行くぞ」
「なんですか?」
ワクワクして聞いた。
「着いてからのお楽しみだ」
「はい」
「亮、春麗の事を頼むぞ」
「はい」
~~~~~~
香港空港の喫煙室で千野の死体が発見されたのは
一文字が飛び立って1時間後だった。
ファーストクラスの一文字にはエコノミークラスの
千野が搭乗しなかった事に気付かず最終案内で
キャビンアテンダントが騒々しく
走り回っていた事に気付かなかった
亮は香港空港で一恵と雪と合流した
「お疲れ様、亮」
雪が嬉しそうに笑っていた。
「一文字からしつこくメールが来ているわ。
私が昨日帰ってと思っているのね」
「ええ、一文字はリストにある連中を
本気で利用しようと思っているみたいで
帰国したら僕たちがあなたを守ります」
「ありがとう」
いくら愛情が無い関係とは言え夫の
有森の葬儀をしなくては
ならない事を考えると雪は気が重かった。
「一恵さんみんなにお土産を
買うので付き合ってください」
「うふふ、みんなって?」
「う~ん」




