水葬
「あのマークは!」
関龍と張はヘリコプターを見て驚いて指差した
「亮、中国軍のヘリだ」
関龍が慌てて亮に連絡をした
「えっ?」
亮はどうして良いか分からなかった
「関龍どういう事ですか?」
「分からん、ただ抵抗はするな、逆らったら皆殺しだ」
「了解」
亮は自分が大変な立場におかれている事を感じ取って
覚悟を決めた
ヘリコプターは高度を下げ許のいる目の前で
ホバーリングして車の行く手を止めた。
「なんだ!」
許は驚いてヘリコプターを見ると
狙撃手は許を狙撃銃で許の体を打ち抜いた
「警告する、直ちにこの場を撤退せよ。さもなくば
中国軍はお前たち及びお前たちの組織を殲滅する」
ヘリコプターの拡声器から声が聞こえると
男たちは許の死体を持ってボートに飛び乗り、
車は直ぐにUターンして行った
ヘリはそれを確認すると垂直に上がり
飛び去って行った。
「ミッション完了」
「了解、ご苦労だった」
司令部で無線に答えた男の
後ろには劉翔記が立っていた
~~~~~~
「関龍、どうやら我々の戻るところが
無くなってしまった様だ」
ヘリコプターの拡声器から聞こえた
声を聞いた張が関龍に言った
「お前が暗鬼に来てくれば我々は
心強い、直ぐに統領に伝える」
関劉と張は強く握手をした
「亮、敵は中国軍が追い払ってくれたようだ」
「何があったんでしょう?」
亮が関劉に聞くと
「分からん、とにかく国は我々に味方した。
とにかく後片付けをして、一文字の到着を待とう」
「了解、投降した連中をまとめる様に
張さん伝えてください」
「了解」
関龍の声は明るかった
~~~~~~
その場でどんな事が起こったかも知らない一文字は
倉庫に向かって埠頭を走っていた。
「千野さっき、大きなヘリコプターが飛んでいたな」
「はい」
千野はヘリコプターを見て282億の強奪に
成功したような気がして
暗い車中で顔をほころばせた。
一文字と呉の車が取引場所の倉庫の前に
着くと入り口に覆面にゴーグルをかけて
サブマシンガンを構えた亮たちが立っており、
桃華は助手席から直ぐに降りると後部の
運転席のドアに立って一文字の守りに付いた。
倉庫の大きな扉を開けると現金輸送車が止まっていた
それを見た千野は強奪の失敗を
知り愕然として舌を鳴らした
「どうした千野?」
一文字は千野の顔を見て千野に聞いた
「い、いいえ、何でもありません」
「今から金をチェックするぞ」
「はい」
~~~~~~
「亮、取引は?」
亮のもとに小妹から電話があった
「今お金を数えているところだ」
「そう、今マギーが死んだわ」
「えっ」
亮の顔から血の気が引いた
「どうして?」
「理由は分からない、今病院から遺体を運び出して
すくに遺体を海に流すわ」
「待ってくれマギーと最後のお別れがしたい」
「だめよ、暗鬼は人知れず消えていく慣わしなの」
「そんな・・・」
亮がかけたゴーグルの向こうには涙が溢れていた
悲しみにふけている亮の耳のイヤフォンに
桃華の声が聞こえた
「亮、今夜留置所の日坂が自殺するそうです」
一文字と千野が小声で話をしていた
事を桃華は盗み聞きしていた。
「自殺?どうして?」
「奥さんと娘が日坂に死ぬように言ったそうです」
「なんて言う家族だ」
亮は日坂の家族の行動の後ろに
徹がいる事を知らなかった
「亮、マギーの事はお気の毒です。
でもこれが暗鬼の人間の
運命です。気を落とさないでください」
「わかった、桃華ありがとう」
亮はマギーの死を悲しむまもなく/
美咲に電話をかけた
「美咲さん大変です。日坂が家族に
説得され今夜自殺するそうです」
「亮、遅かったわ。さっき拘置所で
トイレットパーパーを
喉に詰まらせて死んだわ」
「えっ、それは・・・」
人が死ぬ中で最も苦しいと言われる
窒息死、それを自殺ですると思えなかった。
「そうですか、では一文字との関係は・・・」
「一文字との関係は否認したままだった、
証拠が見つからなければ日坂の
単独犯で処理されるわ」
「くそ!」
亮はマギーを失い日坂が死んだ事で
何もできない自分に無性に腹が立った。
「僕は明日日本に帰ります。先日話した
事で打ち合わせをしましょう」
「ええ、待っているわ」
~~~~~~
一文字と千野は現金輸送車から運び
出された50個の段ボール箱の中身を
1つ1つチェックし冷凍コンテナ
にすべて入れて鍵をかけ
一文字は呉に小切手を渡して取引は終わった
「一文字さん通関の方はすべて通して
ありますので後はコンテナを船積みして
出航するだけです」
呉はたどたどしい日本語で一文字と握手をすると
一文字は大きな取引を終えてホッとしていた。
それに比べて千野は一刻でも早く本部に連絡をして
強奪の失敗と次の方向を決めたかったが
周りの人の目が有って連絡ができなかった。
常に誰かが千野の側から離れなかったのは
亮の作戦で徹底的に千野の
封じ込めを考えていた。
すべての作業が終わって千野が
森田に連絡をしたのが10時半だった
「どうだ、上手く行ったか?」
強奪に失敗していたとは思ってもおらず千野に
電話がかかって来た。
「それが強奪どころか、我々が取引場所に
着いた時も後も強奪する連中の
気配はまったくありませんでした」
「なんだって!失敗した訳か」
「とりあえず向こうと連絡を取って連絡をください
もうコンテナに入れて明日船積みです」
「何てことだ、直ぐに連絡を取ってみる」
「それと、一文字は警視庁の裏金とそれに関わっている
人間のリストを持っているようです」
「本当か?」
「はい、それで警察の裏組織を利用するつもりです」
「わかった、一文字を殺るのはもう少し
待ってそのリストを奪い取れ」
「分かりました」
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深セン市の中国福建省のマフィア
黄勇のところへ電話がかかって来た
「どうなっているんだ!」
いきなり怒鳴声が聞こえた。
「何を言っている、相手が中国軍特殊部隊
だとは聞いていなかったぞ
こっちの被害は二十五人の部下と元中国武道
チャンピョンの張までやられた。
軍が動き出したら我々の組織も危ない、
あんたとの付き合いもこれで最後にさせてくれ」
黄は一方的に電話を切った。
~~~~~~
「今、黄の携帯に日本の松川会
から連絡が入りました」
「了解」
劉翔記は盗聴をしていた
工作員から連絡を受けて答えた。
「さて、亮お前はどう動く?」
翔記は独り言を言った。
~~~~~~
翌朝、亮は趙剛に帰国の挨拶をしに行った。
「統領、今日の15時の便で日本に帰ります」
「うん、マギーの事は残念だったな、手厚く葬ったぞ」
「はい、でもどうして水葬なんですか?」




