300億円輸送計画
「そうか、お父さんの仕事の
邪魔をしたくないし・・・」
亮は珍しく考え込んだ
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亮は美咲に電話をかけた
「美咲さん、一文字がダイヤを
10億円分日本に密輸します」
「了解、税関で捕まえるわ」
「いや、それじゃ困るので
別なところでお願いします」
「どうしたの?」
美咲が驚いた
「はい、ダイヤを売るのが小妹の
お父上なので直ぐ捕まると業界に
悪い評判が立つので他の機会に
お願いします。それに一文字は
ダイヤを賄賂として誰かに渡すようです」
「分かったわ、一文字が帰ってきたら張り付くわ」
「お願いします、無事に一文字が帰られたら」
「えっ?」
「明日の夜、一文字が香港マフィアに
撃ち殺されなければ大丈夫です」
「今、そんなに緊迫した状態なの?」
「ええ、それでフレイザーさんとの話しは?」
「フレイザーと特別捜査官が
直ぐにフィラデルフィアに
飛んで捜査に取り掛かってくれるそうよ」
「良かった」
亮は美咲とフレイザーが上手く
連絡が取れてホッとした
「ところでパティって誰?」
亮はいきなりパティの事を
聞かれて慌てて返事をした
「大学時代の友人です」
「そう、フレイザーが亮とパティの
名コンビ復活と言っていたわ」
「あはは、懐かしい」
亮はパティの事を思い出して笑った
「そう、ずいぶん親しいのね」
美咲はパティに嫉妬していた
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一文字はエアポートエクスプレスの
九龍駅で千野と会った
「お疲れさま、千野君」
「お疲れさまです、会長」
「さっそくだが両替商の所へは?」
「はい、シャングリアホテルで待っているそうです」
「大丈夫なんだろうな?」
「大丈夫です、こっちが見せたHSBCの
小切手が本物と分かった時点で
300億円を明日夜指定の場所に
運んでそこで交換です」
「分かった」
「コンテナに積んで出航するまでの間、
松川組を通して頼んだボディガード付きます」
「準備周到だな」
「はい、彼らはかなりの武装を
していますから安全です」
「そうかじゃあ、任せよう」
一文字は千野を信じて任せた
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シャングリアホテルの908号室スイートルーム
の椅子に文明と亮が並んで座りその向かい
側に両替商の責任者呉青玄が座っていた。
「呉、通訳は?」
文明は呉青玄に聞いた。
「はい」
呉は立っている女を呼び寄せると
「このステラが日本語をしゃべれます」
「うん、18億円の手数料を貰うんだから
しっかりした通訳を用意しないと」
「はい、おっしゃる通りです。
ステラの通訳は完璧です」
呉は自慢げに笑った
「それで明日の夜までに300億円の
準備できるか?」
「はい、前もって連絡があったので
間に合うと思います」
「うん、良くやった」
亮の前では良く笑う文明だが呉の前
では厳しい目をしてうなずいた。
「ありがとうございます」
呉が文明に頭を下げると文明が言った。
「我々は後ろで見張っているから
言われた通り進めてくれ」
「はい」
そこに一文字から部屋に電話が
かかってきて呉が電話に出た
「一文字がロビーに着いたそうです」
呉が文明に言った
「うん、分かった」
文明は亮に合図を送ると黒いスーツ姿の
二人は真っ黒いサングラスをして立ち上がり
呉の後ろに立った
「文明、僕は後ろの方に立っています」
「うん、一文字の後ろに立てばばれないだろう」
「はい」
亮は返事をして入り口のドアの前に立った
そこにチャイムが鳴ると
亮はドアを開けて頭を下げた
「いらっしゃいませ」
亮は中国語で話すと
一文字は亮の顔を見ずに呉の
居る方へ歩いて握手をした
「你好」
一文字は珍しく中国語で挨拶をした
「私が通訳をしますナンシーです」
ナンシーは日本語で一文字に挨拶をした
「さっそくですが、HSBCの小切手を
見せていただけますか?」
ナンシーが言うと一文字はバックから
小切手帳を出して見せた
「まだ、金額は書いていませんが」
「もちろんです、危険ですから。
ちょっと調べさせてもらいますよ」
呉はそう言うと口座番号をノート
PCに入れて確認した
「ではパスワードを押してください」
ナンシーはノートパソコンを手に持って
一文字の前に置いた
一文字はパスワードを打つと残高が現れた
それを見た呉は
「はい、確認しました。さっそくお金を用意します、
手数料は6%で18億円、お渡しするのは
282億円でよろしいですね」
呉が一文字に頭を下げた
「はい、よろしくお願いします」
一文字が言うと
「金額が大きいので私どもの警備員がコンテナの
船積から出航まで責任を持ってガードします」
「それはありがとうございます」
一文字が言ったその時、千野の顔が引きつり
正面で千野の顔を見た文明はそれに気付いて
千野が何かを企んでいるのが分かった。
「我々は今から動き出すので契約破棄はできません
よろしいですね」
「はい」
呉は一文字に握手を求め強く握り合うと
耳元で日本語で聞いた。
「ボディガードを付けますが
男と女どっちがいいですか?」
「女がいいです」
一文字は笑って答えた
「はい、承知しました」
呉が一文字にガードをつける理由は
一文字の身を護るだけではなく口座から金を
下ろしたり他に小切手を切らないように
監視するためもあった
「女性のボディガードじゃ心配です、
私の方が手配します」
千野が声を荒げて言うと呉が手を叩いた。
すると黒いスーツ姿の蓮華と桃華が隣の
部屋から入ってきた
「大丈夫です、二人は特殊部隊の
訓練を受けているボディガードです」
「あっ、蓮華と桃華」
亮が呟いた
蓮華と桃華がサングラスをはずすとそれを見た
一文字がニヤリと笑った
「美人ですね」
「満足いただけましたか?」
「はい、このまま日本に連れて帰りたいですよ」
一文字はにこやかに返事をした
「では明日の夜8時に港で」
呉が言うと一文字はうなずいて蓮華と桃華に
前後を挟まれ部屋を出て行った
一文字に顔を見られないように頭を下げて
見送った亮がドアを閉めると文明が言った。
「みんなあの男は一文字を裏切るぞ、
現金輸送は気合を入れていかないと危険だ」
「はい」
呉は背筋を伸ばして返事をした
「呉、282億円はどれくらいの量だ」
「44×44のダンボールでの箱で57箱で
1箱5億円です」
呉が答えると文明が聞いた。
「重さは?」
「1万円札1枚で1gですから
1箱50kgちょっとですね」
文明の質問に亮が答えた
「凄い量だな」
文明は驚いていた
そこへ小妹が部屋に入って来た。
「お疲れ様」
「おお、小妹来たか」
文明が笑って手を上げた
「うん、人の手配が終わったわ」




