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姉がモテてすみません  作者: 明煌
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生き別れの姉は転校先での学園の王子様(女)だった

近年私学の女子校の共学化、男子校の共学化が進んでいる中、今回私が転校することになった万智高校は去年まで女子校だった学校である。今年の高一は男女共学だが、二年以上の生徒は女子しかいない。そんな学校に転校することになりました。私雨上舞は今日から万智女、いえいえ、万智高校の生徒!万智高生です。

数ヶ月前まで通っていた高校は、これから入学する万智高校のある県の隣の隣の県にある公立の共学の高校。だからこそ、女子校のイメージなんて全然分からないし、女子高へ進学した友人曰く、うるさい学校だ、女子校行けばみんな女捨てる。なんて言っているのをよく聞いたものですが、果たしてどうなんだ?そんなことなんてあと数時間でわかることだけど。一応参考程度に、お嬢様女子校が舞台のアニメをいくつか見た。とりあえず、美しい。ただそれだけ。友達が言っていたことって本当かどうか疑ったくらいです。あ、ちなみに女の子同士の恋愛の事を百合と言うそうですね。そのアニメを見るまで知りませんでした。BLという言葉は知っていたけれど……。

今回をきっかけに、私は百合の良さを知ってしまって、百合が好きになった。だから正直、女子校に入学する事に関しては、不安よりもワクワクの方が勝っているのだ!!あるのだろうか?女子校の王子様とか、姉妹制度とか、ロザリオとか、先輩のことをお姉様と呼んだりとか?正直好きになった百合を拝めるというのは素晴らしい学校生活間違いなし、だろ!!ニヤニヤしながら姿見の前でくるりと回ってみせる。女子校あるあるのジャンバースカート(私の偏見です)、革の鞄、前の学校ではリュックサックで、それはそれでJK感出てたし、良かったけど、こういうのも憧れてたんだよね〜。艶のある革製鞄はお嬢様感を演出〜なんちゃって。ふふふっ。

「舞、時間大丈夫か?」

おっといけない。そろそろ登校する時間だ。転校初日から遅刻なんていけないもんね。

「はぁーい、そろそろ出発します」

「おお、似合ってるな。万智女の制服……。舞もすっかり大人だな。」

「お父さん!!万智高校はもう万智女じゃないんだよ!それに、去年も同じこと言ってたよ、制服が変わっただけじゃん。」

「ははは、そうだったな。急遽転校とか本当にすまない。また環境がリセットされるけど、舞なら上手くいくだろうな。お父さんも今日から新しい部署だ。俺も頑張らないとな。」

「お互い頑張らないとだね。それじゃあ、万智高校の雨上舞、行ってまいります!」

「おう、行ってらっしゃい」




私が5際の頃にお父さんお母さんが離婚して以来私はお父さんとずっと二人暮し、お父さんは私が小さい頃から1人2役でお母さん役もお父さん役もやってきた。だから父子家庭でも私は幸せだと思っている。でも、少し寂しいなと思う日もある。友人にはお父さんもお母さんもいて、中には兄弟なんかもいる家庭だってある。これ以上のわがままなんて言えないけど、兄弟欲しいなってよく思う。だけど1回だけ聞いたことがある。私にはお姉ちゃんがいるということを。

「舞、いつか舞に合わしてやりたい人がいる。舞の姉ちゃんだ、舞には双子の姉ちゃんがいるんだよ。双子って言っても、同じ保育園の…えっと……誰だっけ?双子のー……」

「なじみちゃんと、なごみちゃんだよ」

「そうそう、その子たちだ。その子たちみたいにそっくりさんじゃないけど、舞には姉ちゃんいるんだよ。お父さんとお母さんがさよならして、舞はお父さんのところに行ったけどね、お姉ちゃんの方はお母さんのところに行ったんだよ。だから会えないんだ、ごめんよ。でもね、いつかは合わせたいとお父さん思っているからね。舞、これだけは覚えておいて欲しい、舞の姉ちゃんの名前は、愛だよ。」

そうやってお酒に酔ったお父さんが1回だけそう言った。お酒に酔っていたということもあっても本当かどうか分からないけど、姉がいるらしい。だけど、あれから会うだなんて話は聞いたことないし、あの日のことを話そうとするとお父さんは話をそらすことがよくあるから、お父さんにとって都合の悪い話なんだろう。本当にいるのなら、1度だけでも会ってみたい。私のお姉ちゃん。



これから通う万智高校の校門前に着いた。学校側から初日は校門前で待ってくれと言われた。夏休み明けから初めての学校だから学校内では全校集会が開かれているらしい。その間に、私は靴箱の場所や職員室の場所、そして教室の場所を案内されるために、新しい担任と待ち合わせをしているのだ。早速グレーのスーツを着た若い女の先生が私に向け柔らかい笑顔を向けて近づいてきた。

「あなたが雨上舞さんね。初めまして、2年D組の原田美優です。よろしくね」

「はい、よろしくお願いします。本当に分からないことだらけなので、迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いします。」

なんだか初めてでガチガチになっているのが自分でもよく分かる。なんか、今になってやっと緊張してきた……。でも、若くて綺麗な先生だな。なんかこういう先生って保健室の先生と同棲してるっていうイメージあるな、百合漫画の読みすぎだ、私は。


それから職員室で書類などを貰っていたりしていると、全校集会から生徒たちが帰ってきているようで、原田先生は教室でホームルームを行うから、と言って職員室から出ていった。それからというもの、私は教材についての申込書を貰うために事務室にて手続きを行っていた。先生からは、手続きが終わり次第教室に上がってきて、と言われた。

手続きは一通り終わったのでいざ、初めて教室へ上がる。2年D組は3階にあって、階段から1番近い教室だったのですぐにわかった。教室のドアの小窓から教室をそっと除くと、女子校生がいっぱい、というか?全員女子校生。みんな可愛いし、なんか色んな意味で緊張してきた…。すると原田先生はドアを開けて教室に向かって

「転校生がこのクラスに来ています。紹介するのでみんな静かに。さ、雨上さん、入って。」

「はい」

これから私の万智高ライフが幕を開ける。


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