お題 絶望 じゃがりこ 魔法使いの指輪
第二部「男の娘」「少女」「もふもふ」
の続編です!
「真悠那入るぞ」
夕飯の時間になったのに部屋から出てこようとしない真悠那のことが気になり真悠那の部屋の扉を開いた。
「今日は魔力向上にオススメな魔法使いの指輪を手に……⁉お兄ちゃん駄目ッ!」
やってしまった。
真悠那はいつもと同じ水色の服を着ていた。
真悠那の前にはパソコン2台とVRMMOのハードとビデオカメラ。
パソコンの片方は動画編集アプリが開かれ「生放送中」と書かれている。
俺が入るとすぐにパソコンを素早く操作し画面に「ちょっと待ってね」の画像を表示する。
真悠那はゲーマーマユナとしていつも通りモンブレの実況プレイのオープニングを撮影していた。
「もう喋っていいよ。こっちの音声ミュートにしたから」
「真悠那、なんというかすまない」
「いいよ別に。映ったのもほんの一瞬だし。ご飯は生放送撮り終わったら食べるから」
「わかった。ほんとごめんな」
「だからいいって」
真悠那に嫌われてしまう前に退出する。
嫌われたら絶望で埋め尽くされ俺の精神状況が危うくなる。
「まずいな。嫌われたか?」
引きこもりになってしまった真悠那に責任を感じている龍馬は真悠那に対して甘い。
過保護になっている一面もある。
「……夕飯。温め直しとくか」
俺は自分で作った夕飯を食べながらスマホを取り出し
「モンブレ」「マユナ」「実況プレイ」
で検索する。
「あったあった」
検索のトップに現在生放送中の実況が映る。
真悠那はもう既にモンブレのアバター、マユナの姿になっている。
『さっきの人誰?お兄さん?恋人?』
『マユナちゃんのお兄さん?恋人さん?イケメンすぎ』
『彼氏説www』
『マユナちゃんの彼氏説は個人的に不支持で』
実況のコメント欄は専ら一瞬映った俺の話題で持ちきりだった。
この日、マユナの実況プレイ動画は過去最高の数値が出たがトップクラスプレイヤーにあるまじき小ミスを連発していた。
そしてこの日以来、真悠那が「お兄」と呼んでくれなくなった。
これも真悠那が女の子っぽく見える要因の一つだったのだが……。
◇◇◇◇
それから五ヶ月。
俺と達也、大輔は無事、進級し柏葉高校の一年生になりそれぞれ部活に勤しんでた。
あいつらとはまだ遊んでるしモンブレも続けている。
変わったことはあっさり俺の妹がマユナの正体だと気づかれたことぐらいだ。
真悠那は妹じゃなくて弟だからな。
妹認識は訂正しなかった。若干、妹っぽいし。
なんとか誤魔化した。
真悠那とも仲直りした。
「で、龍馬。回想中悪いんだが、いい加減マユナちゃんに会わせろよ。お兄さん」
「断る」
「えー、駄目?」
「駄目だ。何度言わせるんだ」
「ちぇ。大輔からも言ってやれよ」
「マユナたんに会わせろぉぉぉぉぉぉ!」
あれから大輔の変態度が上がった。
今のこいつに真悠那を会わせてはいけない。
危険だ。
「安心しろ。お前には絶対に会わせない」
今世紀最高の笑顔で答えてやった。
後ろの方で誰かが倒れたらしく悲鳴が上がる。
「達也、お前いいのかよ。彼女いるのにマユナちゃんマユナちゃんばっか言ってて」
達也には現在付き合ってる彼女がいる。
中学二年生の後輩で有名人。カップル成立時は騒ぎになったな。
こいつが付き合い始めたのには俺が関わっていたりするのだが今は割愛させてもらう。
「いいんだよ。林檎ちゃんは彼女。マユナちゃんはアイドル」
「そうか。じゃあ俺らとじゃなく彼女と帰ってやれよ」
「いや今日部活ないらしくて友達と帰るってメールで」
「お前らいいな!妹とか彼女とか!俺にも青春をくれーー!」
大輔がなんかうるさい。
おっ真悠那からメールだ。
騒ぐ大輔を無視してスマホを取り出しメールを確認する。
『コンビニでコーラとなんかお菓子とサラダチキン買ってきて』
了解と返信する。
「俺コンビニよるけどお前らは?」
『行く』
ちょうど近くにコンビニが会ったので入る。
サラダチキンってこれか。お菓子お菓子どれにしようか……。
これでいいか。
かごにコーラとサラダチキン、ポテチ、じゃがりこ、グミを入れる。
達也も大輔も何かしら買ったようだ。
レジを終え再び帰路につく。
「じゃあな」
「おう」
「またな」
いつもの分かれ道で解散する。
家はすぐ近くだ。
「真悠那帰ったぞ」
「お兄ちゃんお帰り…………⁉」
真悠那が出迎えてくれたが一瞬にして部屋に逃げていってしまった。
「は?」
真悠那の表情や様子から見て原因は後ろだ。
これくらいの読心術はできる。
達也の彼女に関してはコロコロ表情が変わったりして楽しかったな。
「あれがマユナちゃんかぁぁ」
「マユナたん可愛い可愛い可愛い!」
達也と大輔がいた。
なんでついてきているんだ。
大輔の変態度は更にあがった。
黙っていたらそれなりにいいんだが…………。
『お邪魔しまーす』
「帰れ」
竹刀でど突き回してやった。
追い出してドアを閉める。鍵も二重に閉めた。
「龍馬の家広いな」
「これで妹との2人で生活とか羨ましすぎるだろぉぉぉぉぉぉ!」
「なんでいんだよ」
これはひと波乱ありそうだ。
……早めに追い出さないと。
今回のお題は
「絶望」「じゃがりこ」「魔法使いの指輪」
でした!
このお題は私の友人から頂いたものです!
今回は続編ということで新しい登場人物はいません
なんだかシリーズが完成しそうですけどなんとか頑張ります!
これからもよろしくお願いします!