お題 鍋 おっさん 夏
お題ありがとうございました!
色々と忙しかったのでちょっと遅くなりました。
ごめんなさい!
『おっ終わったー!』
とあるオフィスから涙混じりの歓喜の声が響いた。
現在時刻は午前1時。終電の時刻はとうに過ぎている。
『おっ終わったぁぁぁぁぁ!』
先程とは打って変わった呻き声が響いた。
ツクヨミカンパニー。
VRゲームを主軸としたゲーム企業。人気ゲーム「モンスターブレイド」などのVRMMOやその他PCゲームなどを開発している。
実はブラックな面があったりする会社である。
「え?これどうするんですか?終電とっくに過ぎてますよね」
ツクヨミカンパニーゲーム開発部5班の25歳の新人、谷崎栄太が同じく5班で谷崎の上司の宮沢祐介と中原耕作に聞いた。開発部5班、班員は3人なのである。
「中原さん、今日どうします?行きますか?」
「班長に任せますよ」
「よしっ、谷崎!お前も飯まだだろ?企画完成会みたいなのをしよう」
「飯?この時間に開いている店あるんですか?」
働き方改革が起こって夜中まで営業している飲食店は少ない。
「行きつけの店があるから大丈夫だ」
◇◇◇◇
「こんなところに店があったんだ……」
会社のビルから徒歩15分ほどの路地裏にある隠れ家のような店「宵の月」
「あれ?宮沢さんに中原さん、いらっしゃい」
店に入ると大学生くらいの女性が声をかけてきた。
「夜月のお嬢ちゃん今日は新人も連れてきた。打ち上げでね」
「そうなんですか!私、この店の看板娘の夜月のお嬢ちゃんこと夜月香奈です」
「ほら谷崎、お前も挨拶しろ」
「えっと、谷崎栄太です」
「谷崎?谷崎栄太さん?」
何故か名前を聞き返される谷崎。
「谷崎さんって亜希子ちゃんの彼氏の?」
「なんでそれを⁉︎」
谷崎には5歳年下の女子大生の彼女がいる。
「やっぱり!私、亜希子ちゃんと同じ大学なんですよ」
「この前、夜月のお嬢ちゃんが言ってた子の彼氏が谷崎ってのか!」
こんな会話をしながら席に案内される。
「夜月のお嬢ちゃん、大皿1枚と中皿3枚あと生3つ」
「はーい」
宮沢が慣れた様子でメニューを見ずに注文する。
「お待ちどうさま!生ビール3つっと。今日は昆布ダシです。沸騰まで時間がかかりますから気をつけてくださいね」
夜月が机に設置されたIH調理器具の上に鍋を置き、生ビールと枝豆の乗った皿を持ってきた。
「枝豆?」
「ビールのお供にどうぞ。店長からの差し入れですよ」
『かんぱーい!』
3人で生ビールを飲む。
「くぅぅ!うまい!」
「仕事終わりの一杯はやっぱりいいですね」
枝豆を食べながら鍋の沸騰を待つ。
「それにしても谷崎に大学生の彼女がいたなんてな。俺なんか40過ぎても彼女なんて……くぅ!」
「谷崎くんが会社に入ったのが去年の夏でカナちゃんが情報くれたのが先月。谷崎くんいつから付き合ってたんだい?」
宮沢と中原に詰め寄られる谷崎。
「去年の秋からです。休日の息抜きに美術展に行った時に出会いました」
「リア充爆発しろ」
「班長⁉︎酔ってるからの発言ですよね⁉︎」
宮沢祐介、48歳独身。恋愛事情は大変らしかった。
「そもそも40過ぎたおっさんにもう望みなんてないんだよ!……夜月のお嬢ちゃん、生お代わり!」
ヤケ飲みだった。
「はい。生ビールの追加と、こちら大皿と中皿3枚です」
宮沢の頼んだ生ビールと野菜と生肉がバランスよく乗った皿が机に並ぶ。
「しゃぶ鍋ですか」
「谷崎くん、私に任せたまえ」
中原耕作。生粋の鍋奉行である。
手際よく肉と野菜を鍋の中に入れ、配膳していく。
あっという間に皿の上にあった生肉や野菜は鍋の中に入っていった。
「改めて。いただきます!」
◇◇◇◇
「いやー美味しかったです」
「宵の月」を出てすぐ。食事の代金の支払いは宮沢の財布から出た。班長らしいことをさせろという事だった。
「で、もう4時なんですけどどうするんですか」
『出勤だけど?』
「ですよね!」
谷崎。目から涙が出かけていた。
「仮眠室で酔い醒まししよう」
「仮眠……」
谷崎、宮沢、中原の本日の睡眠時刻2時間はであったという。
今回のお題は
「鍋」「おっさん」「夏」
でした!
登場人物紹介
谷崎栄太 会社員25歳
宮沢祐介 会社員48歳
中原耕作 会社員36歳
夜月香奈 「宵の月」従業員20歳
読んでくださってありがとうございました!
今回前の2話の内容をこっそりと入れてみました。
どうでしょうか?
また次のお題で会いましょう!
綿飴なごみでした!