表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/77

お題 日本国憲法 山月記 マルクス・アウレリウス・アントニヌス

今週は金曜日投稿を守っていきます!


 

 やったぁ!夏休みだぁ!


 と言いたいところだが…………

 なんで補習あるんだよぉぉぉぉぉぉッ!


「それはあなたの成績が全教科赤点ギリギリを飛行中だからです。叫んでないで集中しなさい、ギリギリな成績も墜落するわよ」


 あ、はい。すいません。

 こうやって補習があるだけありがたいと思っております。

 立ち上がって外に向かって大声で叫んでいた私、三柳七瀬(みやなぎななせ)はこれで通算4度目の長期補習なのである。そんでもって教室に生徒は私1人。補習は私1人なのだ。


「全く、真面目に授業を受けていればよかったものを……赤点ギリギリなんてどうやって取るのですか」

「倉城先生は赤点とか取ったことないんですか?」

「あるわけないでしょ?」


 補習担当の社会科講師の倉城(くらしろ)来知(らいち)先生は学校内でも有名な美女だ。

 なんでも、スタイル抜群で冷静沈着、何事にも動じない超エリートなクールビューティー。更にこの学校の中等部の保険室の担当は来知先生の妹らしい。


「余計なこと話している場合ではありませんね、プリントを解く時間も残りわずかよ」


 来知先生は効率重視、時間厳守なのである。


 今の時間は社会。現代社会と世界史。

 日本国憲法の穴埋めとかはなんとか出来た。

 法律とかは覚えにくいけど大切なことだから頑張った。


 問題は世界史。

 誰だよ、マルクス・アウレリウス・アントニヌスって!長いわ!名前長いわ!覚えられるわけないわ!


 ちなみに私はこの時点では分からなかったけど、マルクス・アウレリウス・アントニヌスは第16代ローマ皇帝。ネルウァ=アントニヌス朝では第五代皇帝なんだそう。

 こんな知識どこで使うんだろう。


 長すぎて逆に覚えてしまう。

 一見、ボスニア・ヘルツェゴヴィナとかスリジャヤワルダナプラコッテの親戚かと思った。


「ボスニア・ヘルツェゴヴィナとかスリジャヤワルダナプラコッテとか言ってますけど本当に理解しているのかしら」

「えーと………………」

「わからないなら無理しなくていいわよ」

「うぅ……すみましぇん」

「ボスニア・ヘルツェゴヴィナは東ヨーロッパのバルカン半島北西部に位置する共和制国家。スリジャヤワルダナプラコッテはスリランカの首都ね。スリジャヤワルダナプラコッテなんて覚えてなくていいわよ。ボスニア・ヘルツェゴヴィナは第二次世界大戦でちょっとは出るかもしれないから一応覚えておきなさい」


 来知先生詳しすぎる。

 なんだろう頭の中に百科事典でも入っているのだろうか。

 今思えば後輩くんの知識量もすごかったな。勉強教えてもらえばよかった。

 もっとも、彼……もとい彼女が素直に教えてくれるなんてことはないだろうけど。


 あと5…4…3…2…1…0!

 心のカウントが終わるとともにチャイムがなる。


「終わりだ!」

「次の授業は10分後。次は現代文ですから」


 えー。まだやるの……頭が働きません。

 帰っていいですか。


「いいと思ってるのですか?」


 すいませんでした⁉

 凄まれた。めっちゃ怖かった。


 …………。

 ………………。

 ……………………。


 逃げよう。やってられない。

 これじゃあ夏休みじゃない。

 持てる筋力を全力で駆使して教室を飛び出す。


「勉強なんてやってらんない!遊び倒してやる!」



 ◇◇◇◇



「反省してください」

「…………はい」


 教室から飛び出して数秒後、見事に来知先生に確保された。


「次の授業は現代文ですが担当の文月(ふみつき)先生が急用で来れないということなので……」

「休講ー!」

「代わりに私が担当になりました」

「…………」

「教科書の68ページを開いてください」


 ちくせう。

 古語表現になってしまうほど悔しい。

 来知先生がいなければ休講で帰れたのに。

 心の中でブツブツ文句を言いつつ教科書を開く。

 68ページのこれからやる内容は山月記。


「山月記を書いたのは誰ですか?教科書を見ずに答えなさい」

「えーと…………太宰漱石!」

「混ざってます。吾輩は猫であったがゆえに人間失格だったわけではないです」


 あれ?誰だったっけ?


「名人伝や光と風と夢などを書いた小説家です」


 聞いたことないです。


「わかりません!」

「中島敦です。因みに前回のテストであなたは田中太郎と答えています」

「何やってんだ私」


 ていうか中島敦ももっと変わった名前を名乗れよ!普通にそのへんにいそうな名前にしないでよ。


「では登場人物の李徴(りちょう)袁慘(えんさん)の12行目の会話から読み取れる李徴の心情を答えてください」

「時間をください」

「10分あげます」


 私の学力だと10分でも足りない。

 絶対に足りない。



 ◇◇◇◇



「起きてください。何故与えた10分のうち9分も寝ようとしているのですか」


 ◇◇◇◇を挟んだからもう補習が終わったかと思った。

 現実はそんなに甘くなかった。

 誰か助けてくださーーーーーい!


「この状況を作ったのはあなたです」


 はい……すいませんでした!


 勉強……サボっちゃ駄目だね!

 それじゃ!おやすみ!

今回のお題は

「日本国憲法」「山月記」「マルクス・アウレリウス・アントニヌス」

でした!

通称「高校文系世界史選択学習お題」です。


このお題をくれたのは私の友人なんですが……勉強でもしていたんですかね?


新登場人物

倉城 来知  前作に登場した来夢先生の姉

文月先生   国語教師。今回は名前だけで登場


三題噺のお題はいつでも募集中です!

感想欄よりお待ちしております!

これからの三題噺もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ