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香りは、人の素

作者: 天野 進志

 香りは、人の素


 私は、その花の名前を知ませんでした。


 いえ。名前は知っていたのですが、実際のその花が、その名前だとは知らなかったのです。


 その花は春になると香り、秋に活発な女の子を思わせるキンモクセイとは違い、私には品のある令嬢のように感じられました。


 その花の名前を、沈丁花〈じんちょうげ〉と言います。


 歌に歌われたり、街角でふっとこの香りをかいだり、紫の衣をまとって咲く小さな白い花の集まりを、私と同じように知っているのに知らない人は、実は多いのではないか思います。



 香りといえば、どうして人には好きな香りと、そうでない香りがあるのでしょう。


 もしかしたら、人は香りで出来ているのではないでしょうか?


 自分を形作る香りは心地よいと感じ、形作らないものはそうだとは感じないのでは。


 私たちは毎日食事をし、美味しいもの、香りを体に取り入れています。


 自分を形作る香りだから心地よいと感じ、形作らないものはそう感じないように出来ている。


 香りのない食べ物が美味しいと感じられないのはそのせいで、私たちの体は自分の好きな香りで出来ていると思うのです。


 香りの集まりが、私たち。


 そうなら、私たちは「香りの妖精」です。


 私の体の一部は、きっと「沈丁花」〈じんちょうげ〉で出来ている。


 好きな香りが集まってその人が出来ているって言うのは、ちょっと素敵だなって思うのです。

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