リトス先生の異世界講座^~難民について^~
「実は私達が住む王国【ナスタリア】を作った人達は皆、地球から来た難民だったらしいわ。同じ地球出身の貴方と言葉が通じたり名前が似てたりするのはそのせいだと思うわ。」
リトスがそう説明してくれる。
ふむふむ、出身が同じ地球で偶然にも日本人が作った国。だから伝わっていする言語も日本語であったり、日本での風習等が残ってるってことか。
ただ、ユウやタクトみたいな感じの名前の人がいるってことは外国人も混ざってた可能性もあるな。
まぁ、よく知りもしない国の歴史なんぞどう
でもいいんだけど…
「難民ってのはどんな扱いを受けるんだ?異世界から来たわけだろ?」
「難民の地位は王国にとって有利な情報を持ってるかどうかで決まるわ。王国が見たこともない技術とかを献上すれば裕福な暮らしは出来ると思う。」
「現に、王国には無いような技術を献上して裕福な暮らしをしてる人もいるしね。」
マジかよ、俺そんな情報持ってねぇぞ!?
情報無いと王国で干されるとか、そういうのあるのかな…
マイナス思考がどんどん巡ってくると同時に自分の顔が青くなっていくのが自覚できる。
「だ、大丈夫ですよ!国の発展に繋がる事でなくても、異世界のお話というのはとても貴重なものですから!」
ユウが落ち込んでいた俺をフォローしてくれる。
「ま、異世界の技術とかも重要だけど、ユウの言う通り異世界の話そのものに価値があるからね。」
「それに、ユウがいるんだし悪いようにはならないでしょ。」
「?…何でユウがいると悪いようにはならないんだ?」
結構良いところのお嬢様でかなりの発言権とかがあるのだろうか?
「あぁそう言えばさっきも言ってなかったわね。ユウはね【ナスタリア】の姫様なのよ。」
ふふん、と何故かリトスが誇らしげに言った。
ユウは何故か顔を赤くして照れてる。
「え、お姫様?お姫様って王様の娘的な感じのお姫様!?」
信じられん、こんなぽわぽわした感じの子が姫様だって!?
だが、ユウが姫様なのと俺が無事なのはどう関係が…
「はい…私の父は【ナスタリア】の国王をしてまして…私は【ナスタリア】に迷い込んだ難民さんのお話を聞いたりするお手伝いをしているのです。」
なるほど、リトスはユウが俺のーーー難民の話を聞く担当だから変な処分は下さないって事を言いたかったのか。
「それなら、とりあえずは安心だな。変な扱いを受けるとかなさそうだし!」
ほっと胸を撫で下ろす。これで余計な心配はしなくて言い訳だ。
「難民の方達には、王国から学園か学園ギルドの入学権としばらくの住処が提供されるようになっているんです。」
「なら、俺もユウ達と同じクラスに入れるかもな!」
こんな美女達に囲まれて過ごす学園生活はさぞ楽しいだろうな、なんて考えてる俺に
「うーん、それは難しいかなぁ」
なんてリトスが返答する。
あれ!?ここでそんなこと言われる程高感度低いのか俺?
一緒になれたらいいね!位の返事を想像してた俺には意外とキツイ。
考えてることが顔に出てたのか
「いや、御影が嫌いって訳じゃないんだけど」
とリトスがフォローを入れてくれる。
あ、嫌われてないんだ良かった。
「春乃浦学園は昔からあるエリート学園だからね。魔法、武術、学業…全部において優秀な成績をおさめられる者が通えるんだ。」
「しかもボク達はSクラス!最下位のCクラスでさえ、入るのが難しいからこの世界に来たばかりの御影君には厳しいかな…」
タクトとクレアがリトスの言おうとしていた事を説明してくれる。
なんだそりゃ、ここにいるの全員天才ってことなんな…ちょっと肩身が狭い思いだわ…
「うーん、学業と武術には自信あるけど魔法はなぁ…」
そう、俺だって元の世界では学年TOP10には入る程には勉強ができたし、そこら辺のチンピラに負ける程やわではない。
「そういえば貴方は学生兵育成学校と言っていた。貴方の世界にも魔獣がいたの?」
リリアから質問が来た。よく覚えてるな…流石天才。
「そうだな…少し俺の世界の話をしようか。」