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とある異世界のクラス派閥①

「なんつーか…意外とえげつないのな。」


その2人組がスパイで弱らせたところを祖国と共に襲う。

何とも人間味が溢れてるというか…こういう感じの昔話は大体がおとぎ話で嘘っぱち、それでヒロインが酷い目に合わされてるとかそういうパターンじゃん!?

まさか、モノホンの昔話だとは…


「その時の2人組がオッドアイと白髪だったことから、【ナスタリア】ではその容姿をした者には厳しい扱いがあるんです…」


ユウが悲しそうに俯きながら話をする。

ふとそこで疑問が浮かぶ。


「あれ、ユウってオッドアイなんじゃ?」


「あれ?ユウちゃん、御影君にはオッドアイ見せたの?」


「いえ、変装魔法は解いてないのですが…」


俺の問に反応してクレアが乗っかってくる。

変装魔法とな?

?マークを頭上に浮かべ待機してると、リトスから説明が入った。


「…そりゃあ、ユウは国の姫様って立場だけど、オッドアイって事に変わりはない。ユウを慕う国民はいるけど、嫌う者もいるのが現状ってとこね。」


「それに、オッドアイを見て怖がる子供とかもいるから普段は変装魔法で両目の色を揃えてるのよ。」


姫様まで差別の対象になるのか…

俺が思ってたより【ナスタリア】が例の他国に持つ恨みは深いようだ。


「俺は普通にオッドアイに見えるけどなぁ…?」


ユウの方を見る。その瞳は綺麗な翠色と藍色をしている。


「うーん…御影はこの世界の人間じゃないから魔法が効きにくいとか?」


リトスが不思議そうな表情を浮かべ俺をジロジロ見てくる。

あの…あまり見ないで…。

今の俺の格好は短パンに半袖パーカーに痛tシャツなのであまり人様にジロジロ見られると恥ずかしいのだ。


なので、リトスが視線を写すとその部位を手で隠す様に動く。

その動きに合わせてリトスも視線を動かす。

といった変なやり取りが出来てしまった。

周りから見れば俺が変な創作ダンスを踊ってる風に見られるかも…


そんな奇妙なやり取りをしてるとバンッと音が部屋に響く。

音がした方を見ると、部屋の入口に赤髪の少年と青髪の少女が立っている。


「リトスそろそろ会議の時間だ。そんな余所者よそものと遊んでないで早く開けてくれないか?」


赤髪の少年が明らかに俺の方を見ながら言った。

伸びきった髪を後ろで結んでいる。髪と同じ色の赤い瞳はギラついており、見るからにヤンキーみたいな感じ。


「もうそんなに時間が経つのね。悪かったわね、シュウ。ユウ達は先にテントに戻ってていいわよ。」


シュウの嫌味にも表情一つ変えず俺達を小屋から出るように促す。

シュウっていうんだな、覚えたぞ。俺をそんな呼ばわりしたことをいつか後悔させてやるからな…


「龍ヶ崎さんも私達のテントでいいんですか?」


「…そうね。ユウが御影は外で寝かせたいなら話は別だけどね。」


「そんなことしませんよ!それじゃ、リリアさん、クレアさんに龍ヶ崎さん。私達は会議の邪魔になるので外に出てましょう。」


リトスと何やら話していたユウが俺達の方に向き直る。

…俺を外で寝かせるとか聞こえた気がしたけど!?


部屋から出ようとした時、ユウが青髪の少女とぶつかった。

いや、ぶつかったと言うよりは少し肩と肩が触れた程度だ。


「ちょっと、私に触らないでくれる?貴方の抱えてる不幸や災いが私に移ったらどうしてくれんの?」


青髪の少女が冷めた声でそう言い放った。


「あ、その…すいません…」


ユウが俯きがちに謝る。

ーーオッドアイと白髪は疎まれる。

さっきユウが説明してくれた事を思い出す。普通の奴らの態度はこんなもんなのか、おっかねぇな…

それにしても、災いが移るって何だよ。病気じゃないんだから移るわけないだろうに、小学生かよ…


「はぁ…もう行ってちょうだい?」


再度青髪の少女が口を開く。

いや、おま、いくらんでも姫様に対してその言い方はどうなんよ…


「…すいません。」


ユウも再度謝り部屋から出ていった。


「全く…。あら、貴方が難民だって人ね?今、クラスの話題は貴方のことでもちきりよ?」


少女はユウが触れた場所を手で払いながら、俺に気づいたのか話しかけてきた。


「そうかい、わけわからんまま異世界来て、いきなり沢山の女の子に人気だなんて幸せだね。」


少女から顔をそらしながら答える。

正直、さっきのやり取りを見てこの少女に良い印象は無い。。

いくらタチの悪いクレーマーでももうちょいマシな理由で因縁をつけるだろうに。


「私はアリア、よろしくね。」


俺の態度を特に気にするでもなく、アリアは手を差しのべてくる。


「…すまんな、服が少し触れた程度であんなキレる奴とはよろしくはできないわ。」


今度はアリアの顔をしっかりと見て、笑顔で答えてやる。


「…そう。ならいいわ、貴方もリトス達同様自分から災厄に飛び込むのね…愚かな人。」


アリアは俺の返答で興味を無くしたのか、そう言い残すとスタスタ椅子の方に歩いて行き腰をおろした。


「話は終わったか?ならさっさと出ていけ。」


シュウが俺らの方を見て言った。

その目は馬鹿を見るような蔑んだ目だ。


「…貴方に言われなくても出ていく。」


リリアがそう呟き、外に出ていった。

それに俺とクレアも続く。外ではユウが扉の側にもたれかかって待っていた。


「平気か?」


「はい、もうこんな風になってから10年以上は経ちますから…」


だから、大丈夫です。とユウは乾いた笑みを浮かべる。


「そうか…」


あんな意味のわからん因縁付けられて遠ざけられる様な扱いを10年以上もか…


「それじゃあ、私達のテントに向かいましょう。」


ユウがそう切り出す。

だが…


「タクトはどうするんだ?」


俺を除く唯一の男だったタクトが小屋から出てくる気配がない。


「あぁ、たっくんなら副委員長をやってるから中でリトス達と一緒に会議するんだ。」


え、何でさらっとあだ名で呼んでるのこの子は?タクトとクレアってそういう仲なの?


「へー…じゃあ、さっきの奴らは?」


「シュウは委員長、アリアは副委員長なんだー。」


「待ってくれ…何で委員長と副委員長が2人ずついるんだ?」


普通はクラスに1人ずつじゃないの!?それともこの世界では2人が普通なのか?


「うーん…このクラスにも色々あってねぇ…」


クレアがチラっとユウの方を見る。


「そうですね…歩きながら話ましょうか。」

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