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宿敵! パイナップル農家の長女!


 あけびの高校の学生食堂は、やや変わったシステムをとっている。出入りの業者がいて基本的に利益を追求しないという点は一般的な学食と同じだが、経営の大部分が生徒にゆだねられているのだ。これは生徒に経営を学ばせることが目的で、すべての議案が全校生徒の投票によって決定される仕組みになっている。

 とはいえ、『ラーメンを1杯1円にしましょう!』などという無茶な議案は通らない。あくまでも『経営を学ばせるため』なのだ。それでも、よほど無茶苦茶な案でなければとりあえず審議にはかけられるし、必要最低限の支持者さえいれば選挙はおこなわれる。

 そのシステムを管理するのが、学食運営委員会である。生徒会や父母会の指示をいっさい受けない独立組織であり、生徒会以上の権力を擁する集団だ。

 構成員は12名。

 いずれも学園トップレベルの成績を持つ有能な生徒で、人望も厚い。

 赤羽八朔はその一員で、自他ともに認める期待の新星だ。


「しかし……天王寺先輩がGPBに関与しているというのは、本当なんですか?」

 廊下を歩きながら、八朔は隼一に問いかけた

「関与どころか実質的に支配していると言っていい。それとも俺の言うことが信じられないか?」

「いえ、そういうわけでは……。でも、よりによって天王寺先輩みたいな人が……。たいへんなことですよ、もしも大森先輩の言葉が事実なら」

「その『たいへんなこと』が、もう1年近く続いてるんだよ。俺以外だれも気付いてないようだがな」

「証拠は……証拠は、あるんですか?」

「そんなものがあれば、とっくにリコールしてる」

「ということは……すべて先輩の憶測なんですね?」

「そのとおりだが、この憶測に間違いはない。……一応、コトをかまえる前に言っておくが……俺のことが信じられないなら付き合う必要はないんだぞ? 鬼の会計長サマに目をつけられるのは、新入りの運営委員としては得策じゃないだろう?」

「損得の問題ではありませんよ、これは。モラルの問題です。だいいちSPYの僕が大森先輩を信じなくてどうするんですか。いざとなれば、体を張ってでも先輩を支援しますよ!」

「ふ……たよりになるヤツだ」

 隼一は八朔の頭をかるく叩いた。

 それだけのことで、八朔は幸せそうな顔になる。


 そんなやりとりの間に、隼一たちは運営委員会本部室の前に立っていた。

 位置的には、学食の真下にあたる。

 そのドアを、隼一はノックもせずに開けようと手をかけた。そのとき──

 廊下の向こうから、ひとりの女生徒がやってきた。

 眼鏡の似合う、高い鼻梁に切れ長の瞳。真っ黒な髪をポニーテールにして、リボンで結い上げている。服装は学校指定のブレザー。だが、それよりもスーツのほうがしっくり来るような、大人びた雰囲気の女生徒だ。

 彼女こそ、天王寺万由梨。

 学食運営委員会の会計長にして、パイナップル農家の長女だ。ちなみにFカップである。これについては『フルーツ』の頭文字からという説が有力だ。さすがにPまでは行かない。


「……大森? 委員会に何の用? ここはあなたの来るような場所じゃないわよ?」

 なぜこんなところに粗大ゴミが落ちてるのかというような目で、万由梨は隼一を見た。

 すかさず隼一は切り返す。

「ちょうどよかった。GPBの黒幕である会計長サマに、訊きたいことがあってな」

「意味がわからないわね。なんのこと?」

「とぼけなくてもいい。GPBの責任者に、カレーライスのグリーンピースをレーズンと置き換える議案を提出させただろう? どういうつもりだ? カレーにレーズンなど、正気の沙汰とは思えんぞ」

「その議案は確かに受理したけれど、私は無関係よ。運営委員はいかなる形でも学食選挙にかかわることはできない。そんなことはあなたも知ってるでしょうに」

「ああ。だが何をやろうとバレなければいいだけだ。実際おまえはバレずにやってる。たいしたもんだ」

「くだらない言いがかりね。そんなことは、確たる証拠を持ってきてから言いなさい。私は忙しいのよ。そこをどいてくれる?」

「さすがの演技力だな。だが俺を欺くことはできない」

「あ、そう。……それで? まさか選挙の申し込みを却下しろだなんて、馬鹿げたこと言い出さないでしょうね?」

「いや、そのとおりだ。却下しろ」

 隼一は真正面から要求をつきつけた。

 と同時に、千果子がフォローする。

「そうだよ! そんな選挙やめて! レーズンカレー反対! そんなの間違ってる! カレーに平和を! ラブ&ピース&カレー!」


「……なに、あなた。見たことない顔だけれど。SPYの新入り?」

「ちがうよ! あたしは……そう、SRYのリーダー! 川崎千果子!」

「SRY……? さしずめ、『サラダのレーズンを許さない』ってところかしら?」

「ちがう! Sは『すべて』のS! あたしは、この世からすべてのレーズンを消し去るの!」

「できることとできないこと、よく考えてから発言したほうがいいわよ? 『身のほど』って言葉、知ってる?」

 万由梨は胸を強調するように腕組みし、貧相な千果子の胸を見下ろしながら鼻で笑った。

 ふたりの胸囲の格差は、まさに驚異だ。

 が、千果子は挫けない。

「こんなの小さいほうがいいんだよ! カレー食べるとき邪魔にならないし!」

「あ、そう。たしかに邪魔に感じるときはあるわね。……それと、赤羽君?」

「は、はいッ!?」

 唐突に名前を呼ばれて、八朔は慌てふためいた。

 万由梨とは毎日のように委員会で顔をあわせているが、いまの彼女はまるで雰囲気が違う。言葉のひとつひとつは刃物みたいに尖り、なにより目つきが氷のように冷めている。まるで別人だ。


「単刀直入に訊くけれど、これは私に対する造反なのかしら?」

「そ、そんな! とんでもないです! そんなつもりじゃありません!」

「じゃあ、どういう『つもり』なの? 大森の言葉を信じたから、そうしてそこにいるんじゃないの?」

「う……っ。で、では、僕も訊きます、単刀直入に! 天王寺先輩、GPBとかかわりがあるというのは事実なんですか? それとも大森先輩の勘違いなんですか!?」

「勘違いに決まってるでしょうに。あなたは付き合いが短いから知らないでしょうけれど、そこの大森という男は昔から自分勝手な思い込みだけで行動する迷惑千万な輩なの。そのイタリア人の個人的な味の好みだけで、いままで何軒の飲食店がつぶされてきたことか……」

「でも、大森先輩の料理センスは抜群です! いま学食で出してるメニューの半分以上は、大森先輩の作ったものじゃありませんか!」

「わかってないわね、赤羽君。その男がやってるのは、大衆に迎合して少数派を斬り捨ててるだけ。ナチスと同じよ」

「ナチスって……そこまで言いますか」

「考えてみなさい、そのイタリア人が『学食改善計画』と称して実行してきたことを。たとえば酢豚のパイナップル、または冷やし中華のスイカ、あるいはシーザーサラダのレーズン……すべて自分が気に入らないからという理由だけで排除してきたのよ? 『人類改良計画』と銘打って障害者やユダヤ人を虐殺したナチスと、なにが違うの?」

「……っ」


 八朔はもう、なにも反論できなかった。

 万由梨の言ったとおり、隼一がパイナップルやスイカを次々と葬ってきたのは事実だ。それをナチズムと言われてしまえば、反論は難しい。たしかに隼一の活躍によって学食は大幅に改善されたが、その陰で泣いた者も少なくはないのだ。酢豚にパイナップルが入っていることを望む者だっている。たとえば万由梨のように。


「ナチスだの何だの好き勝手なことを言ってるが……学食のメニューが現在の形になったのは、すべて選挙の積み重ねだ。それを否定するのは、運営委員会の会計長サマとして問題があるんじゃないか?」

 隼一が的確な口撃をくわえた。

 しかし万由梨は一向に動じない。

「私は選挙を否定してるわけじゃないわ。大森、あなたを否定してるだけよ」

「くく……。酢豚のパイナップルを取り除かれたことが、そんなに悔しかったか? だが、それが大衆の総意だ。あのときの選挙の結果を覚えてるか? おまえは『酢豚の伝統を守る会』などと称して選挙活動をしたが、結果は惨敗だったな。いいかげん気付いたらどうだ、酢豚にパイナップルなど不要だという真実に」

「あなたこそ、その不遜きわまる考えを改めなさい。酢豚にパイナップルは必要不可欠よ」

「いいや、不要だね。不要どころか害悪だ。酢豚のパイナップルほど俺をイラつかせるものはない。あんな昭和時代に発明された時代錯誤の代物をいまだにありがたがって食べてるのは、味覚障害児とパイナップル農家ぐらいのものだ」

「……聞き捨てならないわね。もういちど言ってみなさい。味覚障害児と、なに?」

「味覚障害児とパイナップル農家ぐらいのmごふゥゥ……ッ!?」


 セリフの途中で、隼一は後ろへ吹っ飛ばされていた。

 万由梨が一瞬のうちに間合いをつめて、隼一の鳩尾に拳をブチこんだのだ。体重の乗った、みごとな正拳突きである。

 彼女は非常に冷静かつ合理的なので、無駄な会話に時間など使わない。暴力で解決できるなら迷わず暴力を行使する女。それが天王寺万由梨! なにごとも暴力で解決するのが一番だ! 慈悲はない!


「勘違いしないで、いまのは私怨じゃないわ。あなたに人生を狂わされたパイナップル農家の長女全員の恨みをこめた拳よ。目ざわりだから、二度と私の前に姿を見せないで」

 吐き捨てるように言うと、万由梨は返事も聞かずに運営委員会本部室へ姿を消した。

 八朔と千果子は、あまりのことにポカーンとしている。

 まさかいきなり殴りつけるとは、思いもしてなかったのだ。しかも『パイナップル農家』という言葉ひとつで!


「ち……っ、あのバイオレンス女め……いきなりかよ……」

 腰をさすりながら、隼一が戻ってきた。

 頭から血が噴き出して、顔面が真っ赤になっている。

「だ、大丈夫ですか、先輩!」

 うろたえながら駆け寄る八朔。

「ああ、とくにケガはない。壁に脳天をぶつけたが、とっさに受身をとったからな」

「え、えええ……っ!? 顔が血だらけですよぉぉ……っ!?」

「どうってことはない。頭部からの出血は派手に見えるものだ」

「いや、でも……!」

「安心しろ。この程度のことで主人公は死なない」

 隼一の言うとおりだった。

 これはコメディ作品なので、そう簡単に登場人物は死なない。戦車に轢かれたって1ページ後には普通に交番勤務してるギャグ漫画の主人公と同じことだ。たかがダンプカーに轢かれたぐらいで即死して異世界に転生しちまうようなラノベの主人公とは格が違う!


「それにしても驚きました。天王寺先輩が、まさかあんな行動に出るなんて……」

 八朔は完全に震えていた。

「あれがあいつの本性だ。自分に逆らうヤツには容赦しない。あいつは俺のことをヒトラーみたいに言ったが、それを言うならあいつはスターリンだ」

「そんな……。クールでクレバーな人だと思ってたのに……」

「よく考えろ。酢豚にパイナップルを入れて食うようなヤツが、クールでクレバーなわけないだろ」

「…………」

 八朔は無言でうなずくしかなかった。


「それにしても最初からケンカ腰だったよね、あの人。あなたと仲悪いの?」

 千果子が訊ねた。

 隼一は肩をすくめて、「いま見たとおりだ」と一言。

「それって、酢豚のパイナップルのせい?」

「ああ。ほかにも色々あるがな」

「いろいろって? たとえば?」

「だから言ったとおりだ。いろいろだよ」

「だから、どんなの? ためしにひとつ話してみてよ」

「わかったよ。ひとつだけだぞ」

 千果子がしつこく食い下がると、隼一は仕方なく話しはじめた。


「知ってのとおり、俺は酢豚のパイナップルを根絶するために生きている。自慢するわけじゃないが、いままでに東京ドーム2杯分ぐらいのパイナップルを抹殺してきた」

「すご……っ!」

「だが、俺の活動のおかげで廃業に追い込まれたパイナップル農家も少なくない。天王寺の家も代々つづくパイナップル農家だったが、数年前に廃業した。ちょうど俺が中華街でパイナップル狩りをはじめた時期だ」

「ああ、それで恨まれてるんだね。きっとパイナップル農家をやめた天王寺さんのお父さんは、毎日ヤケ酒に溺れるようになって、見かねたお母さんは体がボロボロになるまで働いて……とか、そういうパターンでしょ!」

「いや、すこし違う。パイナップル農家を廃業した天王寺の親父は、次にホストをはじめたんだ」

「え? ホストって……、ホストクラブの!?」

「ああ。もともとフルーツ盛り合わせに使うパイナップルの取り引き先として交流があったらしい。そこで思い切って農家からホストへ転職したというわけさ」

「ずいぶん思い切ったね……。でもそんなオジサンがホストになって、うまくいったの?」

「それが思いのほか天職だったらしく、たちまちナンバーワンホストに上りつめたそうだ。パイナップル農家だったときより、はるかに年収もUPしたという」

「おおーー」

「ところがそこで、天王寺のオヤジは若い女性客とデキてしまった」

「え……っ!?」

「結果、天王寺の両親は離婚。以来あいつは俺を恨みつづけているというわけさ」

「それって逆恨みじゃない?」

「そのとおりだ」


 そこでふと何か気付いたように、千果子はデコを光らせた。

 頭の上には、新しい技でも閃いたかのように電球が灯っている。

「わかった! その恨みを晴らすために、レーズンカレーとか考え出したんだよ!」

「まさにそのとおり。酢豚の仇をカレーで討つとでも言いたいんだろう」

「でも、そんなの絶対に許せないよね! カレーにレーズンとか! カレー食べるなって言ってるようなものでしょ! あたしに死ねっていうの? あたし1日1回はカレーって決めてるんだよ!? 聖書にもそうするように書いてあるし! 学食で食べられなかったら、カレーとの出会いが減っちゃう! イヤだよ、そんなの!」

「カレーを食わなくても死にはしないが、思想的には賛同する」

「待って! カレー食べなかったら死ぬし! 死ぬから! 死ぬよ! 死ぬよね! 死なねば!」

「なんの活用法だ」

「あー、もー。レーズンとか最悪だよ、ホントに。なんなの、あれ。ブドウのミイラのくせに! あいつのせいで、うかつにサラダも注文できないし。マジ絶滅してほしいよ。このまえなんか、ピザの上に乗っかってたんだよ? 信じられる? オリーブだと思って口に入れたら、レーズンだったっていう! あの精神的ダメージ! あれはバイオテロだよ、もう!」

 いまにも泣きだしそうな顔で、千果子は頭をかかえた。ただでさえ広いデコが、よけいに広く見える。無論、本人は気付いてない。


「オリーブとレーズンを見間違えるのは正直どうかと思うが……そこまでレーズンを嫌うのには、なにか理由があるのか?」

「理由? 理由が必要? マズイっていう以外の理由が?」

 噛みつきそうな勢いで答える千果子。その目つきには殺意さえ宿っている。

「いや、よけいなことを訊いたな。まずいんじゃ仕方ない」

「あたしだって、そんなに好き嫌いが激しいほうじゃないよ。ただレーズンが嫌いなだけだし」

「……そうだな」

 ここで「じゅうぶん激しいぞ」と言えるほど隼一はヒマではなかった。また半狂乱にでもなられたら、なだめるのが面倒だ。

「ともかく今後の作戦を立てよう。天王寺がはっきりと敵にまわった以上、厄介な戦いになる」

「よーし、あたしの頭脳の出番だね! この天才軍師千果子さまに任せておいて!」

「……そうだな」

 この軍師は戦力外だな、と冷徹に判断する隼一。


「待ってください、僕のほうが頼りになりますよ!」

 負けじと八朔が声をあげた。

「おお。そうだな、赤羽。おまえのことは頼りにしてるぞ」

「はい! 天王寺先輩には何の恨みもありませんが、カレーにレーズンなんて認められません! 全力で阻止します!」

「よく言った! それでこそSPYの後継者だ! 力をあわせて、あの無知蒙昧・悪逆非道・傍若無人・味覚障害のパイナップル女に、天誅をくだしてやろうじゃアバァァッーー!?」

 どこからともなく(?)砲弾みたいなパイナップル缶が飛んできて、後頭部に食らった隼一は壁まで吹っ飛ばされた。


「いいかげんうるさいわよ。くだらない話は、よそでしなさい」

 という声の方向には、万由梨が立っていた。

 左手には1ダースほどのパイナップル缶。

 右手には、次に投げる缶が握られている。

「すみませんでした! 僕たちはこれで退散します! 先輩、保健室に行きましょう!」

 頭から血を流してグッタリしている隼一を、八朔は肩で抱えようとした。

 が、それは無理な相談だ。体格差がひどすぎる。

「ふたりでやれば、どうにかなる?」

 千果子が肩を貸した。

 こちらは少なくとも八朔よりはマシだ。


「ありがとうございます。……でも、礼は言いませんよ」

「え? いま『ありがとうございます』って言ったよね、ハッサクちゃん」

「……っ! 空耳! 空耳です! 私は! だんじて! 礼など言ってません! だんじて!」

 あまりの失態に、顔を赤くして両手を振る八朔。どことなく、猫耳カチューシャまで震えているようだ。

 わりとどうでもいいことだが、その拍子に隼一は床に落ちて頭を打っている。

 さらにどうでもいいことだが、投げつけられた缶詰は景気よく破裂して、あたり一面に甘いシロップとパイナップルの破片をばらまいていた。


「うんうん、空耳だよね。それはそれとして……カレーライスをレーズンの魔の手から守るために、がんばろうね!」

「そうですね。……でも勘違いしないでください、あなたのために頑張るわけではありませんので。あくまでも、カレーを守るためです」

「カレーを守るっていうことは、イコールあたしを守るっていうことだよね!」

「あなたの体には、カレーの血でも流れてるんですか?」

「そのとおりだよ! 体はカレーで出来ている! 血潮はルーで、心はライス! いくたびのココイチを越えて不敗! ただ一度の

「わかりました! もう結構です! 本当にわかりましたから!」


 なにやらワケのわからない呪文めいたことを口走り始めた千果子を、八朔が止めた。

 だが実際のところ、毎日欠かさずカレーを食べているどころか1日3食すべてカレーという生活を幼少のころから過ごしてきた千果子の場合、その体を構成する元素の大半はカレーと水からできている。けっして誇張表現ではないのだ。

 これこそが彼女の特殊能力、『無限のカレー(アンリミテッド・カレーワークス)』

 ただカレーを食べるだけの力だ! カレーを作り出す能力ですらなく! 言っておくが無駄に広いオデコ同様なんの伏線にもなってないので、いますぐ忘れていいぞ! ただカレー大好きってだけの話だ!



 まぁとにかくこのような形で、大森隼一と川崎千果子、赤羽八朔の3人は学食のカレーライスをめぐる抗争に巻き込まれていくことになるのだった。これがのちに『第二次カレー戦争』と呼ばれて学園全体を巻き込む争いに発展するなどとは、隼一も千果子も八朔も……そして作者も予想だにしていなかった。


 あと隼一の頭部に受けたダメージが深刻なので、次回登場時には記憶喪失になってたり脳挫傷で死んでたりするかもしれない。

 ……え? さっき『主人公は死なない』って書いただろって? いやいや不死身の人間なんているわけないだろ、常識で考えろよ。打ちどころが悪ければ誰だって死ぬに決まってるだろ。でもまぁグルメ小説で主人公がヒロインにパイナップル缶ぶつけられて死ぬぐらいフツーだよな! うん、フツーフツー!

 でもちょっと待て、万由梨ってヒロインなの!? あと凶器がパイナップル缶ってどうなの!?

 以上、どうでもいい感じで次回へ続く!



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