姉が二人と勇者もどき
会話が多いので、おかしな所があると思います。おかしな所を見つけたら指摘くださると嬉しいです
「……もう朝か」
俺は目を覚ます。昨夜は大変だった。
森で全裸生活を送っていた時とちがって目覚めが良い。そのままゆっくりと起き上る。はずなのだが……
――起き上れない。
手に何やら重圧がかかっている。しかも両手に。
何? 誰かが俺を束縛して……ないな。
「は?」
重圧の原因は二人の少女だった。
二人の少女はスヤスヤと安眠している。
しかも、そのうちの一人は俺の腕を抱き寄せている。
「チュン、チュンチュン」
――さて困った。何でイキナリ朝チュンなんだ。
俺はいつから夢遊病患者になったんだ? もちろん俺は何もした覚えは無い。
こうして俺は朝っぱらから頭を抱える羽目になった。
「……さて」
俺は昨日はここに来たら、すぐに寝たはずなんだが、一体ナゼ両隣に少女が横たわっている?
ダメだ何も思い当たらない。一体どこから手を付けたものか。
「危害は加えられていないようだな」
俺は自分の服装を見る。
昨日と同じく女装したままだ。服は荒らされていない。
つまり行為はしていないと……ちょっと残念。
「いけるか?」
俺は腕を抜くことを試みる。
彼女の安眠を妨げるわけにはいかない。
柔らかいモノが俺の手を包み込む。小さいが確かに柔らかい。やはり偉大だな……胸は。
ってこんなことをしている場合じゃないだろ!! 真面目にやれ俺。
なぜ朝から、こんな精神力使うことせにゃならんのだ。
「ふぃ……」
なんとか片腕は抜くことに成功した。ファーストミッション完了。
ゲームだったらSランク通り越してSSSランク貰ってもいいくらい頑張った思う。
問題はセカンドミッションの方だ。
こっちは俺の腕をガッシリと掴んでいる。
俺はゆっくりと少女の手に触れると一本ずつ指を外していく。手が汗ばむ。
これで自由だ。朝っぱらから、激しいイベントだったな
そして最後の小指を俺の腕から外していく。単なる作業だが地味に疲れる。
「あ……」
俺は間抜けな声を出してしまった。
少女の目がパチっと開き、俺と少女の目が合う。
あーやっちまった。気まずいなー。
「ど、どうもです」
「あ、トモくん起きてたの?」
は? 今トモくんって言ったのか。
面識は無いはずだが……あ、思い出した! 確かケインさんと一緒に働いていた人だ。
「初めまして…だよねトモくん。私はライル、13歳よ。トモくんのことはママから聞いたわ。よろしくね。」
「よろしくお願いしますライルさん」
ママというのはケインさんのことだろうか?
それにしても笑顔が可愛い。思わず見惚れてしまうところだった。いや、もう見惚れてた。
ライルと名乗る少女は俺よりも4歳年上らしい。長い青髪に金色の瞳が俺を見つめる。
「で? ライルさんは何で俺と一緒に寝ているんですか?」
「ちょっとライルさんと敬語はやめてよ~」
「じゃあなんと呼べば?」
「普通にライルで。いえ……ライルお姉ちゃん…それは長いか……ライル姉さんって呼んで!是非是非!!」
「じゃあライル姉さん?」
「よっしゃあ! ねえねえカーテ。私、姉さんって呼ばれちゃった!!」
ライルさ…ライル姉さんはそう言うと、もう一人の少女を揺さぶる。
眠たそうに目を擦りながら、もう一人の少女は布団から顔をピョコッと出して俺を凝視する。
カーテと呼ばれた少女もライル姉さんに負けず劣らず可愛かった。短い赤い髪の毛がとてもキレイだ。
「おいライル、朝っぱら安眠妨害はよしてくれよ」
「だって私、お、姉さんって呼ばれたんだよ!!」
「んーーーーってマジか!!?」
「はい、大マジですよ」
カーテと呼ばれた少女は勢いよく飛び起きて俺の方を向いて――――
「我が弟よーーーー!!」
勢いよく俺に抱きついてきた。
「ぐぉっ!」
俺は布団の上に仰向けに倒れる。
そしてカーテは俺の上にまたがった。よく見るとカーテにはネコ耳が付いていた。髪に隠れていて気付かなかったな。
赤いネコ耳をピョコピョコ揺らしながらカーテが俺に向かって口を開く。
「私はカーテ。ライルとは同い年よ。よろしくね! えっと…」
「モトキです。トモはあだ名です」
「そうトーモ!!よろしくねトーモ!!」
「よろしくお願いします……」
「で、カーテのことはカーテ姉さんね!!絶対よ!!」
「分かったよ…カーテ姉さん」
「お姉さん!お姉さん!今日からカーテはお姉さん!!」
なんかカーテ姉さんは変な歌を歌い始めた。そこまで嬉しかったのか。ていうか、早く俺の上から降りて欲しい。
「そいえば二人はなぜここで寝ていたんですか?」
「敬語……」
「あ、すいま…ごめんライル姉さん」
「よしよし」
ライル姉さんが俺の頭を優しく撫でる。ちょっと恥ずかしい。
俺は義姉ができたことで、また頭を抱える羽目になった。
「で、もう一回聞くけど、なんで二人はここで寝てたの?」
「なんでって言われても、ここ私達の部屋だし」
「え!? じゃあ俺が姉さんたちの部屋に連れてこられたってこと?」
「うん、ここなら寝れるスペースもあるし、カーテ達もいるから問題ないとママは考えたんだろうね」
なるほど。確かにここで寝たことで互いの自己紹介も済ませることができた。一石二鳥だな。
「さて。さっさと布団片付けて朝ごはん食べましょ、カーテ、トモくん」
「あ~い」
「うん」
俺は、自称姉達に連れられて部屋を後にした。
どうやら朝食は店のテーブルで食べるらしい。階段を降りたらテーブルの上に5人分の食事が置いてあった。
「お~オッス、トモ。よく寝れたか?」
「ああ、よく寝れたよ。」
「そういえばカーテとライルには挨拶したのか?こいつら、お前が来たっ聞いた時は弟ができるーって舞い上がってたからな」
「挨拶は済ませたけど、姉さんっていうのは慣れないな」
親父と軽い挨拶を済ませるとみんなが席に着く。
この世界に来てから始めての朝食だ。
「「「「いただきま~す」」」」
たくさんの人と一緒に飯を食べるのは久しぶりだ。ちなみに朝食の主食はパンだ。ごはんもあるらしいが、ここではパンらしい。
「あ、そうだ。トモには言い忘れてたが、お前を召喚した連中がいただろう。お前、あいつ等の他に城で誰かに会ったか?」
「いいや、部屋の窓から飛び降りたから部屋にいる連中としか会ってないけど、それがどうかしたのか?」
親父と話していると、あの時の出来事が鮮明に思い起こされる。
なんとか生き延びたが、もし、俺が窓の前で躊躇っていたら殺されるところだった。
「他に会ってなければ、怯える必要も無いだろう。あの手の連中はずっと城に引きこもって召喚の研究してるから捕まる心配はねえよ。」
「そうなのか!?」
「ああ、絶対に出ねえよ。もし出てくるとしたら勇者が召喚されて任から解かれる時くらいだろうな。だから、あんまり心配すんなよ。しかも、お前は奴らにとっては失敗作だから気にも留めてないぞ……たぶんな」
ほぉ。つまり奴らの追っ手を警戒することは無いと……そういうことか。
俺はミネストローネを一気に飲む。
温かい……安心できる味だ。
***
朝食を食べ終わると、俺はケインさんにちょっとした質問をした。
俺の自由行動時間についてだ。
「この店って何時に開くんですか?」
「11時くらいには開くわよ。あと昼と夜では店員は変わってくるわよ」
「そうなんですか。開店が11時ってことは、11時までは自由時間ということですか?」
「いいや、トモは夜働いてくれればいいよ」
「え?俺は、夜は眠くて使い物にならないですよ。そう考えると昼のほうがいいのでは?」
俺はケインさんに提案する。
正直この体は滅茶苦茶眠るのが早い。徹夜なんてできる筈も無い。
そんな俺に夜仕事をしろと……?
「昼やってもらっても今いる数で十分足りてるから昼の店員はこれ以上は要らないのよ」
「あ、そういうことですか。それなら夜に回ります」
「ふふ、ありがとね」
ケインさんと話終わると今度はライル姉さんが話しかけてきた。
「夕方まで暇なら町、案内しようか?それに服も買わないといけないし」
「それもそうか。じゃあ頼むよライル姉さん」
「リョーカイ」
「あ!カーテもライルとトーモと一緒に行く!」
「分かったわ。それじゃあ準備ができたらここに集合ね」
「オーケー」
「あーい」
そういえば、まだじっくりこの町を回っていなかったな。
この際、気になった場所は片っ端から見ていこう。色々な情報が入ってくるかもしれない。
こうして夕方まで姉さん達とショッピングをすることになった。




