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『 前衛魔の歩む道 』  作者: きあら3
- 第弐章 Crafter -
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第五話 - つかのまの休憩 -

「サキ。電車って怖いね。」


「…いきなりどうしたの、お兄ちゃん?」




僕はリスポーンを行って拠点のトリストラム王国で復活を果たした。そこでフラフラしているとサキが喫茶店でお茶を飲んでいる姿を発見。


そこで僕は相席をして店のNPCに注文を行った。注文が来るまで僕とサキが話し合っていたのだ。




「いや、さっきトレインに轢かれて死んじゃったんだ。経験値のロストが痛いよ…。」


「トレインってなぁに?。」




まずはそこからの問題だったか。サキに分かりやすいように専門的な言葉を抜いて分かるまで丁寧に教える。




「…って待って、サキ。背中から抜いた両手剣を持って何処へ行くつもりかな?」


「何処へ行くってそりゃぁもちろん、その男の人を死の線を切って十七分割に…。」


「やめなさい。本人もわざとしたわけじゃないんだから。」


「ぶー。」




口を尖らせて文句をいうんじゃないの。その行動力は怖いがどれだけ僕の事を大切に思ってくれているのかよくわかったこの瞬間だった。


…怖くなんかないよ?うん。義理とはいえどもヤンデレが付くまで愛されてまくるのもどうかと思うけどね。


ブツクサと呟くサキを椅子に座らせていると注文が届き、僕の目の前にシュークリームが二個とコーヒーが置かれた。


シュークリームを一つ掴み、食べるとゲームの世界とは思えない甘さが口の中で蕩けた。シュークリームうまし。


一口齧ってはコーヒーを飲みを繰り返して行う。やっぱり甘いものにはコーヒーがよく合う。


そんなおいしそうに食べる僕の姿を見て、サキも食べてみたいのか残っているシュークリームを見てうずうずしている様子。




「…あげるよ?」


「いいの!?ありがとう、お兄ちゃん大好きッ!」




僕の神の一言で飛びつくようにサキはシュークリームを掴み、食べはじめた。なんというか、これって餌付け?


しかも大好きっておい…。安いなぁ、その言葉。そうこうしているうちに僕は最後の一口を食べ終わり、残ったコーヒーを口の中に流し込む。


でも、さっきトラウマを植え付けられる様な死にかたをして痛んだ心を癒してくれる満面の笑みを浮かべる義妹を見ているとそんなことはどうでも良くなるな。守りたい、この笑顔。


最後の一口を食べて残っているコーヒーを飲み干す。




「ふぅ…ごちそうさまでした。んじゃぁね、サキ。また後で。」


「もぐもぐ…ん、じゃあねお兄ちゃん!」




店員に勘定を頼み、僕は店を出る。さて、先ずは今のステータスの確認を行おう。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


『Winds』♂ Lv.10 称号『コスプレ好き』


【アクティブスキル】

『両手Lv9』『射撃Lv5』『炎魔Lv6』『氷魔Lv6』『雷魔Lv6』

『聖魔Lv5』『調薬Lv3』『合成Lv1』『無し 』『無し 』


【パッシブスキル】


『知力Lv3』『敏捷Lv4』


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




全力で走って逃げたせいか、皮肉にもパッシブスキルの『敏捷』のレベルの伸びが良い。


スキルを育てるにはそれに応じた行動をとったら良く成長するのだろうと予想を付ける。


攻撃魔法もそろそろ新しいのを作ったほうがよさそうだ。攻撃方法が余りにも少なすぎる。


それはともかく…また調薬でも始めようか。レシピをどんどん開拓していこう。


…称号なんてものはどこにもなかったな、うん。カムバック、新参者。




□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□




「…うん。これで全部かな。なんというか、いっぱいだな。」




数十分後、ポーションやエーテル等の精製を終えて鞄の中身を整頓した。今回は素材の配分を少しずつ変えてみた。


その結果が…実にさまざまな効果をもたらす回復薬が調薬されてしまった。


薬草を多めにすることで純度が増して効果が良くなるのか普通のものよりも回復量が多い『ポーション+1』『ポーション+2』を次々と製作していった。


反対にグリーンハーブを多くすると回復速度が徐々に回復から瞬時に回復になってしまった薬が精製できた。


エーテルの場合も同じように霊草を多くすると良品の物がザクザクと作れてしまい、グリーンハーブが多い場合だとやはり魔力瞬時回復の物が作れる模様。


即効性のあるこれらの薬はライフ瞬時回復の物を『アムリタ』。マナ瞬時回復の物は『ソーマ』と名づける。名前の由来は伝説系の霊薬からだけどね。


ついでにお遊びで薬草+霊草+グリーンハーブ×3+蒸留水でレシピを作ったのだけど…。『バイルエリクサー』というのが出来ました。


エリクサー?えぇ、出番早くない?って思ったけど効果を見るとそんなことはなかった。バイルというのは英訳では劣悪な、という意味であり効果はいま一つだったという。


それでも効果はなかなか。ライフとマナを同時に瞬時回復である。一つの回復量は他と比べて劣るものの、ありがとう、いい薬です。


ちゃんとレシピには登録しておきました。これらはいつか売りだそうと思います。お金のもとになると良いのだけど…。


で、あれこれした結果、スキルはこうなりました。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


『Winds』♂ Lv.10 称号『薬剤師』


【アクティブスキル】

『両手Lv9』『射撃Lv5』『炎魔Lv6』『氷魔Lv6』『雷魔Lv6』

『聖魔Lv5』『調薬Lv5』『合成Lv1』『無し 』『無し 』


【パッシブスキル】


『知力Lv4』『敏捷Lv4』


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




「あれ、知力が上がってる?もしかして薬作りは知力スキルと関係あるのか?」



もしかして薬を作るっていうのは知識が必要だから?知識=知力ですかこのゲームは。まぁ似たものだとは思うけど…深くは追求すまい。


しかも、称号が思い出したくもないアレから変化している。やったね!


それにしても…あんまり銃を使ってないからか射撃スキルの伸びがあんまり良くない。しばらくは銃を使って過ごそうかなと思ってみたのでした。


せっかくの長物である『Mk14』があるのだからスコープを載せたい。その為にはパーツと改造が必要そうだ。


ついでに実弾も買っておこう。無くって困る事は多分無いだろうから。


早速武器屋に寄ってカタログを見て、スコープを探す。あったあった、お値段はっと。




『x8固定倍率スコープ』Tec 照準 Rank.1

銃に装着することにより、スコープを使用できるようになる。

値段 18.000Gold




「高ッ、スコープ高ッ!?」




思わず声を上げてしまうぐらいの値段の高さ。財布の中身がほとんどすっからかんになるけど…えぇい、この際仕方ないッ。


やや躊躇したが泣く泣くお金を払い、NPCの店員からスコープを貰った。またお金を集めないといけなさそうだ…。


鞄から『Mk14』を取り出し、取り付けようとしたのだが―――




「…マウントベースが無い。」




―――スコープを載せるところが無いのだ。


スコープを装着するためにはマウントベースというパーツが必要であり、これの上にスコープを固定して載せる事ができる。


最近の銃ならば、レール・インターフェイス・システム、略してR.I.Sが搭載されているものが多く、ライトやレーザーサイト等のアタッチメントを付ける事ができる。


そのため、現代の戦闘では必要不可欠となっているのだ。しかし、『Mk14』は旧世代の銃であり、はっきり言って年代物…。そんな便利な物は初期状態から付いているわけがなかった。


そんな古臭い物に現代技術は使われている訳がない。あわててNPCの店員に『Mk14』用のマウントベースは無いか聞き込んだが、駄目だった。


それもその筈。みなさん、お忘れかもしれないが『Mk14』はEX(エクストラ)アイテムだ。レアドロップの装備の改造パーツがそこらへんで売ってる訳が無い。


残された道は自作で作り出すだけ…、そういえば最近、製造職(メイカー)の人と知り合ったことを思い出す。




「アンネさんなら作れるかなぁ…?」




そんな淡い期待を持って僕は再びアンネさんのもとへと向かうのであった。



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