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『 前衛魔の歩む道 』  作者: きあら3
- 第弐章 Crafter -
12/17

第零話 - 採集とは面倒くさいもの -

「サキー!昼飯できたぞー!」


「はーい!」




昼食を作り終え、サキを呼ぶ。空腹だったのかサキはすぐに自分の部屋から出てきた。




「おにいちゃん!ご飯はなに?」


「チャーハン。」


「やたー!」




好物のチャーハンを食べれることを知り、嬉々として机に座るサキ。




「んじゃ。」


「「いただきます!」」




サキがチャーハンを口に運ぶ。一口食べるとぱぁぁ…!というようなご機嫌雰囲気が伝わる。




「おいしい!」


「それはよかった。」




サキの喜ぶ顔をじっくり堪能してから僕もチャーハンを食べ始める。


…うん。今日はいつもよりおいしくできたかな。




「ところでおにいちゃん。ゴブリンリーダーは強かったでしょ?」


「ぁー。強かったねぇ。何回か死にかけたし…。」


「よく倒せたね。で、何分かかったの?」


「20分35秒。」


「えッ?時間かかりすぎじゃない?3人でやったんでしょ?」


「いんや、ソロで倒した。」


「……………へ?」




さっきまですごい勢いで口にご飯を運んでいた右手を止める。


…なんだその顔は。信じられないものを見た、的な。




「……ちなみに何Lvだったの?」


「6Lv。」


「……………嘘でしょ?」


「本当だけど…何か不味かった?」


「いや…よくそのLvでソロで倒せたなぁ…って。」


「そうなの?」


「そうだよ。流石、と言うべきなのかなおにいちゃん。そのLvでよくソロで倒せたね?」


「…マジ?」




確認するようにサキの顔をしっかりと見て聞く。




「マジだよ。それで、何が手に入った?」


「えっと…。鉄鉱石、銅鉱石、Ex(エクストラ)の銃、カス指輪だったかな。」


「え、Ex(エクストラ)アイテム!?おにいちゃん運良すぎでしょ!?私なんかマジックアイテムしかでなかったんだよ?」




やっぱりExアイテムはなかなか手に入らないのか…大切にしないとね。




「おにいちゃんはこれからどうする予定?」




うーん…。生産系のスキルを試してみるのもわるくないかな…。




「…うん。これから生産系スキルを育てる為にちょっと素材集めにでも行こうと思ってるんだけど。」


「私も一緒に行っていい?お金が無いから製作で装備を作って売ろうかなぁ…と思ってるんだけど。」


「おお!なら一緒に素材集めに行こうか!」


「うん!」




▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲




Area トリストラム王国




「おにいちゃ~ん!お待たせ~!」




僕がログアウトしたところで待っていると、サキがやってきた。


「は~い。それじゃ、サキ。パーティを組もうか。」


「とっくにパーティ参加を申請してま~す!」




サキがそういうと僕の視界にウィンドウが開き、『サキさんからパーティの招待を受けました。Y/N』と表示された。


もちろんYesを選択し、サキとグループを組む。


グループを組んでいると経験値のボーナスが追加される。


敵を倒すと、経験値が味方全員に分配されるがその上にボーナスを得ることができる。


つまり、実質はソロで狩るより強い敵を楽して狩れる上、ボーナスを得られる地点で経験値がおいしいのだ。


はっきり言って、採集メインの今回はあんまり恩恵はない。


だが、パーティを組んでいることに意味がある。楽しいからね。




「いくぞサキ。草刈鎌の準備は十分か?」


「予備も合わせて1ダース買ってきましたおにいちゃん!大丈夫よ!問題ない!」


「オーケ!レッツゴー!」(カウンターでストライクなゲーム風に)


「散らばるな!」(同上)


「了解!」(ry




収集について説明をしておこう。


収集にはピッケルを使う採掘、草刈鎌を使う採集がある。


名前を見れば効果は誰でもわかると思うが、草刈り鎌は草を、ピッケルは採掘をするのに必要だ。


採集をすると、いくつかの確率でこれらのアイテムは壊れる。


だからこそ予備が必要なのだ。


僕とサキは草刈鎌を6つずつアイテムポーチの中に入れ、こんな軽いノリでリヘナ草原の奥地へと向かった。


っていうかサキ。なぜFPSがわかるし。




▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲




Area リヘナ草原 奥深く


ザッザッザッザッ…


薬草を手に入れた。


ザッザッザッザッ…


綿花を手に入れた。




「……。」




ザッザッザッザッ…


薬草を手に入れた。


ザッザッザッザッ…


霊草を手に入れた。

草刈り鎌が壊れてしまった。




「…地味だね。」


「…うん。」




リヘナ草原の奥深くでこそこそと草を刈る僕とサキ。


…最初はわいわいとやっていたのでまだよかった。


しかし、このような単調な仕事を続けていると途中途中に兎型モンスターやら羊型モンスターやら討伐していても高かったテンションも地にまで落ち、もはや作業となっていた。


ザッザッザッザッ…


薬草を手に入れた。


ザッザッザッザッ…


薬草を手に入れた。




「…疲れたね。ちょっと休憩しようか。」


「そうしようか、おにいちゃん。」




休憩することをサキに伝え、近くにあった大樹の根本に座り込む。


サキも草刈り鎌を片づけ、僕の隣に座った。




「サキ。素材、どれぐらい手に入った?」


「えっと…。薬草が15、、霊草が12、亜麻が7、綿花が5、グリーンハーブが18だよ。残りの草刈鎌は2個だけどね。」


「ふむ…。僕は薬草12、霊草8、亜麻6、綿花8、グリーンハーブが22。草刈鎌は残り3つ。」


「う~ん。おにいちゃんってさ『錬金』のスキル持ってたよね?」


「うん。持ってるよ。説明文を見る限り、回復薬の材料だよね。」




二つとも調薬することによって回復薬になるようだ。


薬草は体力、霊草は魔力を回復させる薬を作るようだ。


ちなみにハーブは薬を調薬するときに必要らしい。




「なら、私の薬草、霊草、ハーブをおにいちゃんの亜麻と綿花で交換してよ。」




なるほど。サキは確か製作のスキルを持っていた。


製作スキルは確か…装備を作り出す生産スキルだったかな。


おそらく亜麻と綿花で装備でも作るつもりなのだろう。




「うん。いいよ。はい。」


「ありがとう。おにいちゃん!」




素材を交換し、数を確認する。


薬草が27に、霊草が20、グリーンハーブが40。まだまだたくさん必要かな。


調薬スキルを発動させ、薬に必要な素材を確認する。




『ポーション』

使用することによってHPを回復する。

薬草1+グリーンハーブ1+蒸留水1


『エーテル』

使用することによってMPを回復する。

霊草1+グリーンハーブ1+蒸留水1




なるほど、薬を作るには回復したい方の素材とハーブ、蒸留水が必要なのか。


蒸留水はそこらへんの店で格安で売ってたような覚えがある。




「まぁ、回復薬を作るのはまた今度かな…っと。」




『調薬』のスキルを外し、もとのスキルに戻す。


ふぅ…と一息つき、採集を再開しようとしたその時だった。


がさッ…がさッっと森の奥から草をかぎ分けて進む大きなシルエットを見たのは。




(サキ。)


(分かってる。)




サキとアイコンタクトを交わし、すぐさま草葉の陰に潜り込み、隠れる。


気配を殺し、最大限の警戒をしてそのシルエットを確認する。


ふらふらと動いていたシルエットはこちらに向かってきて、その全貌が明らかとなる。


そこに現れたのは、普通サイズの数倍はある大きな羊型モンスターだった。


高さは3mといったところだ。モンスターを確認し、調べてみる。




眠れる大羊スリープ・ラージシープ』AreaBoss

眠れる大羊の強さを調べることはできない。




ウィンドウが開き、エリアボスと表示される。


エリアボス。それは一つのエリアに必ず存在するボスであり、こいつを倒さない限り次のエリアに向かう事はできない。


強さはふつうのモンスターと比べても段違いなのは言うまでもなく、苦戦を強いられるのは間違いはないだろう。


そんな相手が僕たちの目の前にいる。サキと顔を合わせて、小声で会話をする。




「サキ。あれ、エリアボスだ。どうする?」


「どうするって言われても…戦うか逃げるかの二択だよね?」


「まぁ…そうなんだけど…。逃げるのもあれだし…。戦ってみる?」


「…。そうだね。せっかくのこのこと相手から現れたんだもんね。戦わないと勝敗はわからないよね?」


「そうそう。んじゃ、僕は中衛で援護重視で行動するからサキは前衛で盾役をお願い。」


「了解。」




そして、僕とサキによる大羊を肴にする初めてのグループ戦闘が始まった。




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